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INDEX
1.はじめに

男性型脱毛の主な原因は、男性ホルモン遺伝年齢の3つです。思春期から壮年期以降に遺伝的要素と男性ホルモンが原因になって、男性型脱毛が始まるのです。その特徴は、毛包の小型化と、毛の成長サイクル(毛周期)の成長期が短縮して休止期が長くなることです。正常の髪の成長期は4〜6年ですが、それが数か月にまで短くなることがあります。その結果、毛髪が細くなり、色が薄くなって、髪の隙間から地肌が透けて見えるようになるのです。そして、ついにはうぶ毛ばかりになり、毛が無くなったように見える禿髪の状態になるのです。この場合も、顕微鏡で頭皮を観察すると、うぶ毛が生えており、単位面積当りの毛根の数は以前とあまり変わりません。つまり、髪の毛がうぶ毛化する現象が男性型脱毛の本質なのです。
女性にも体内に少量の男性ホルモンが流れていますので、それが原因になって男性と同様の仕組みで薄毛が進行します。 男性ホルモンが原因の脱毛が女性にみられた場合、女性型脱毛といいます 。

2.男性型脱毛のメカニズム

それでは、男性型脱毛の起こる仕組みを説明してみましょう。
人の頭髪のなかでも、後頭部の毛(後ろの髪)は男性ホルモンの影響を受けません男性ホルモンの影響を大きく受けるのは前頭部や頭頂部の髪(前髪やつむじ周囲)です。それは、なぜでしょうか。
前額部や頭頂部(前髪やつむじ周囲)の毛髪には、毛根に5-アルファリダクターゼ(5-α.reductase)という酵素があります。血液の中に流れてきた男性ホルモンテストステロン)は、この酵素によってデハイドロテストステロン(DHT)に変えられます。このDHTが毛根に作用すると、頭髪が細くなり、色素も薄くなって、やがて、うぶ毛に変わるのです。その結果、頭髪の隙間から地肌が透けて見えるようになります。これが男性型脱毛です。つまり、DHTが男性型脱毛の犯人なのです。それに対して、後頭部(後ろの髪)や側頭部(左右の耳の上から耳の後)の毛根には5-αリダクターゼの活性が弱いので、薄毛になりにくいのです。ですから、ほとんどの人で、後頭部と側頭部の頭髪は、ほぼ生涯にわたって生え続ける性質を持っているのです。髪の毛は頭全体を覆っていますが、実は2種類の性質が全く違う毛が頭を覆っているのです 。

 
3.女性型脱毛

男性ホルモンが原因の脱毛は男性と女性で発症に差はありませんが、程度や分布が違います。男性の脱毛は主として、生え際の後退(左右のそり込みの拡大)頭頂部(つむじ周囲)の薄毛が特徴であるのに対して、女性の場合は、生え際(前髪)が残り脱毛しにくいのに対して、生え際の後ろから頭頂部にかけて広範囲(前髪の後からつむじまでの範囲)の薄毛になることが特徴です。女性の頭皮では種々の酵素の活性や分布が男性とは異なっているので、このような性による差が生じるのです。
男女どちらの場合も、毛包の中の酵素5-αリダクターゼの作用で男性ホルモンのテストステロンから作られるDHTが原因で薄毛になることは同じです。

 
4.メカニズムの詳細
さらにもう少し詳しく、専門的に説明してみましょう。5-αリダクターゼには I 型と II 型の2種類があります。男性ホルモンが細胞に影響して薄毛化の原因となるためには、テストステロン II 型5-α.リダクターゼ男性ホルモン受容体(リセプター)の3者が必要です。男性ホルモン受容体はひげ、腋毛、前頭部の毛乳頭の細胞に存在しますが、後頭部の毛乳頭細胞にはほとんど見られません。また、顎ひげ、前頭部の毛乳頭細胞には I 型と II 型の5-αリダクターゼが存在していますが、後頭部の毛乳頭や腋毛には I 型の5-αリダクターゼしか存在しません。これらの違いから、ひげや男性型脱毛などの特徴的な変化が生じてくるのです。すなわち、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞には II 型5-α.リダクターゼ男性ホルモン受容体の両者が存在するので、テストステロンを5-αDHTに代謝して薄毛が進行していくのですが、後頭部と側頭部の毛乳頭細胞にはT型5-α.リダクターゼしかなく男性ホルモン受容体も少ないので薄毛になりにくいのです 。
5.ドナードミナント

後頭部の毛根を前額部や頭頂部に植毛すると、どうなるでしょうか。実は、ドナードミナント donor dominantという性質があり、後頭部から植毛された毛は、移植部の環境に影響されず、もともとの性質を最後まで持ち続ける特徴があるのです。
後頭部の頭髪は、ほとんどの男性で生涯にわたって生え続けますので、植毛された毛も生涯生え続けることになります。たとえ、前額部や頭頂部にもともとあった毛が薄毛になって見えなくなっても、後頭部から植毛された毛だけは、後頭部に毛がはえている限り、前額部や頭頂部で生え続けるのです。
この原理を応用して、ご自分の後頭部の頭髪を、前額部や頭頂部に植毛することで薄毛を治療する方法が、自毛植毛です 。

6.拒絶反応が起きません
自毛植毛は、自己の組織を自分に植毛するので自家植毛といい、拒絶反応が起きません。しかも、発毛効果は生涯持続するのです。その意味で、自毛植毛は、男性型脱毛の理想的な治療といえます 。
7.薬による治療

男性型脱毛の治療薬として、アメリカの食品医薬品局(FDA)が有効性を認めている薬は、現時点では2種類だけです。それは、ミノキシジルとフィナステライドです。これ以外の薬については、男性型脱毛に対する効果は明確には認められていません。欧米では、自毛植毛の手術後にも、植毛の効果増強と脱毛の進行予防の目的で、ロゲインの塗布とプロペシアの内服を併用する方法が一般的に推奨されています。
フィナステライド(プロペシア) II 型5-.αリダクターゼを特異的に阻害する作用があり、男性型脱毛の治療に有効なことが認められています。毎日1mg内服すれば、半年〜1年後から発毛効果が現れますが、中止すれば数カ月〜半年で効果が消失します。副作用が発生する頻度は低く、男性の数%以下に性機能抑制がみられることがありますが、内服を中止すればもとにもどります。女性は胎児に異常を生じる可能性があるので内服が禁止されています。
ミノキシジル(ロゲイン、リアップ)
血管拡張作用により毛乳頭の血流を増加する作用があります。その他に、毛乳頭細胞や線維芽細胞を刺激して育毛作用を示す可能性も指摘されています。主として頭皮に塗布して使います。アメリカでは男性用ロゲインとして5%ミノキシジル溶液、女性用ロゲインとして2%溶液が発売されており、欧米で広く使われています。日本では男性用、女性用ともリアップは1%ミノキシジル溶液です 。

8.他の原因による脱毛

男性ホルモン以外の原因で脱毛が起こることもあります。
たとえば、いくつかのホルモンは毛周期に影響して薄毛の原因になることが知られています。ホルモンの種類によって毛乳頭細胞に対する影響の程度はそれぞれ異なっています。後頭部の髪や眉毛の成長には性ホルモンはほとんど影響しません。

専門的になりますが、副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)の使用は多毛を招き、甲状腺ホルモンの過剰や減少は薄毛の原因になります。女性ホルモンのエストロゲンは毛乳頭細胞に作用して毛の成長を抑制し、休止期から成長期への移行を遅らせますので、妊娠中には女性の頭髪の伸びが抑制され、休止期が延長します。
また、妊娠中は成長期の毛髪が増えて毛の量が増えますが、出産後には逆に脱毛が増加して約半年後に脱毛数が正常にもどることや、経口避妊薬を中止した後に脱毛が増えるのは、すべて女性ホルモンの影響によるものです 。他に、鉄欠乏性貧血も薄毛の原因になることがありますので、過度なダイエットは要注意です。

その他にも、脱毛や薄毛の原因にはいろいろなものがあります。
医学的な専門用語になりますが、円形脱毛症や、抜毛癖(頭髪、眉毛、睫毛など)、薬剤による脱毛(抗癌剤、その他の薬剤)、種々の感染症による脱毛(皮膚糸状菌などカビによる頭部白癬、ブドウ球菌やレンサ球菌による毛包炎、梅毒、ハンセン病、帯状疱疹など)、腫瘍による脱毛(母斑、粉瘤やイボなどの良性腫瘍、皮膚癌や転移性腫瘍など悪性の癌)、牽引摩擦圧迫などの機械的原因による脱毛(ポニーテールや特殊な髪型などで髪を強く引っ張る牽引による薄毛、ヘアピースの固定金具による脱毛、新生児後頭脱毛、やけどや手術時の圧迫による術後脱毛、鉗子分娩や吸引分娩による脱毛など)、外傷による傷の脱毛、生まれつきの全身病が原因の先天性脱毛などです。

この項目で述べた原因で起こる薄毛や脱毛には、もとの病気を治療すれば薄毛も治る場合が多いので、専門医による正しい診断適切な治療を受けることが大切です。

なお、カビによる感染は診断が遅れると永久脱毛を残すことがあります。頭髪に感染したカビが、頭髪のタンパク質を栄養源にして増殖し、頭髪から毛根や頭皮にカビの感染が拡大し、それが一定期間以上続くと永久脱毛瘢痕性脱毛となってしまうことがあります。足の水虫や脱毛斑のあるネコなどのペットから感染することもあります。ヘアピースを長期間使用すると蒸れてカビがはえて感染しますので、短時間の使用に限定するか、感染が軽症のうちに早めに使用を中止することをおすすめします。

以上の病気がなくて、男性型脱毛あるいは女性型脱毛と診断された場合、自毛植毛で治療することになります。なお、自毛植毛をお受けになる際は、後頭部(頭の後ろ)から側頭部(耳の上)までの範囲のご自分の髪を長さ4cm以上に伸ばしておいて下さい。

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自毛植毛のご案内 : 自毛植毛とは
自毛植毛とは、今あるご自身の側頭部から後頭部の頭髪を採取し、薄くなった部位へ再配分する医療技術です。
どんなに薄毛が進行した人でも、ほとんどの場合、側頭部から後頭部の頭髪は残っています。
側頭部から後頭部にかけての頭髪は、薄毛を誘発する男性ホルモンの影響を受けにくいようにできており、ほぼ生涯に亘って発毛し続ける性質を持っています。
この頭髪の性質は、身体の他の部位(髪の毛・眉毛・陰毛・ヒゲなど)に植え替えても変化することはなく、植毛された頭髪は、植え替えられた部位で生涯にわたって発毛し続けます。(詳しくは「イラストでわかる 薄毛のしくみ」のページをご覧ください)
この頭髪の特徴はドナードミナントと呼ばれます。
それを男性型脱毛などの薄毛治療に利用したのが自毛植毛です。
 
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