髪のハリ・コシ

髪のハリ・コシとは、毛髪が外力に対して形状を保持しようとする弾性および曲げ抵抗性の程度を示す性状概念であり、主に毛幹構造に由来する物理的特性を指す。

髪のハリ・コシの構造的要因

一般に「ハリ」は毛髪が曲げられた後に元の形状へ戻ろうとする弾性(elastic recovery)を指し、「コシ」は曲げや圧力に対する抵抗性(stiffness)を指すことが多い。
これらの特性は、毛幹内部のコルテックスの発達度や、ケラチン線維束の配列密度によって規定される。コルテックスは毛幹の大部分を占める中間層であり、その内部構造が毛髪の弾力性や機械的強度に直接関与する。
また、毛幹の直径(毛径)も重要な要素である。毛径が大きい毛髪は曲げに対する断面二次モーメントが大きくなるため、相対的に剛性が高くなる。一方、細い毛では外力に対して変形しやすく、柔らかい印象となる。
さらに、キューティクルの配列状態や毛幹内の水分含有量も触感に影響する。過度な乾燥や損傷は弾性の低下につながることがある。
このように、髪のハリ・コシは単一の細胞活動によって決定されるものではなく、毛幹の構造的完成度と物理特性の総合として理解される。

髪のハリ・コシと毛径・毛周期の関係

髪のハリ・コシは完成した毛幹の性状として観察されるが、その形成は毛包内部における毛母細胞の分化過程に由来する。毛周期の変化により成長期が短縮した場合、形成される毛幹の毛径が小さくなることがあり、その結果としてハリ・コシの印象が変化する場合がある。
ただし、髪のハリ・コシは診断名ではなく、毛幹の物理的特性を示す記述概念である。毛包内部の形成過程と、外観上の質感評価とは階層的に区別される。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師

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