AGA治療薬
薬で薄毛は回復できる?
男性型脱毛症(AGA: Androgenetic Alopecia)の主な原因は、ジヒドロテストステロン(DHT: Dihydrotestosterone)です。男性ホルモンのテストステロンは5α還元酵素(リダクターゼ)によってDHTに変えられ、テストステロンよりもホルモンの活性が10~30倍も強くなったDHTがアンドロゲン受容体と結合することでAGAの原因になっています。

5α還元酵素にはI型とII型の2種類があり、I型は頭髪部全域に分布しているのに対し、II型は前頭部と頭頂部に集中的に分布して特に悪い影響をもたらしています。AGA治療薬にはこのII型の5α還元酵素を阻害する働きがあります。

DHTが毛根に存在するアンドロゲン受容体と結合すると、毛周期の4~6年にわたる成長期が1年から数ヵ月にまで短くなってしまいます。そのため頭髪が長く太い丈夫な毛に成長できなくなり、頭髪が細く色も薄くなって、やがて産毛に変わります。そして頭髪の隙間からは地肌が透けて見えるようになります。

育毛剤は毛周期の成長期を若干長くし、休止期を短くすることで、髪が少し太めに成長する可能性を増やします。育毛剤の使用をやめると効果が消え、元の状態に戻ってしまいます。継続して使う薬だからこそ、予算的に無理のないものを選ぶことが大切です。当院では先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能をもつ後発医薬品(ジェネリック医薬品)も取り揃えています。
使い始めて半年~1年くらい経たないと、本当に育毛剤が効いているかを判断できません。頻繁に種類を替えるのはやめましょう。効果や服用量など、ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。AGA治療薬についてのご相談は無料です。プライバシーを配慮して予約制にしていますので、事前にお申し込みください。
日本皮膚科学会の診療ガイドライン
日本皮膚科学会は脱毛症治療について以下のようにまとめています。『男性型脱毛症診療ガイドラインでは「フィナステリド」や「デュタステリド」という内服治療薬、さらに「ミノキシジル」を含有したローションが推奨されています。フィナステリドとデュタステリドは5α還元酵素の作用を抑えて、毛包のミニチュア化を防ぎます。「ミノキシジル」は毛乳頭細胞を刺激して毛母細胞の増殖を促す成長因子を出させる作用があります。
インターネットで類似品が廉価で販売されているようですが、品質、安全性や効果は定かではないものが多く、そういったものは使用するべきではありません。「ミノキシジル」には内服薬もあるようですが、不整脈や多毛症など副作用が懸念され、何より「ミノキシジルローション」と比較したデータがないので、わざわざ内服するリスクを冒す意義が示されてはいません。
自毛移植も有効で、後頭部などの自分の毛を毛包ごと移植する方法です。自分の組織ですので問題なく生着して、元の部分の毛の性質を保ったまま、生え変わりもします。一方、ナイロンなどの人工毛を頭皮に植え付けるようなことは厳禁です。異物反応を多かれ少なかれ起こして、化膿したり脱落したりして、安全とはいえません。』