「プロペシア」は内服する薄毛治療薬です。現在すでに世界60ヵ国以上で承認されており、日本では厚生労働省の承認を得て、2005年12月14日より万有製薬(現: MSD株式会社)から提供されています。2015年4月からは「プロペシア」のジェネリック医薬品(後発医薬品)も処方可能になりました。

日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでは、デュタステリドやミノキシジルと共に強く推奨されており、国際毛髪外科学会(ISHRS)も、内服して薄毛を改善する薬として有効性を認めています。

元々は前立腺肥大症の治療薬で、副作用として毛が濃くなることから、男性型脱毛症(AGA)治療薬として使用されるようになりました。男性ホルモンのテストステロンがAGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)へ転換するのを阻害する作用があり、その結果、薄毛の症状が改善されます。

発毛効果

毎日1mg内服すると、半年から1年後には育毛効果が現れます。6~7割の人に効果があると言われています。アメリカでの臨床試験では、軽度及び中程度の前頭部や頭頂部のAGAの方の半数が、3~5ヵ月間服用を続けたところ効果が認められたという結果が出ています。そして2年間服用を続けたところ、約8割の人は薄毛の進行が止まり、その内の67%は毛が濃くなったと報告されています。

効果は年齢や薄毛の部位によって異なります。年配者よりも20~40代に効果が現れやすく、薄毛が始まって間もないほうがよく効くとされています。部位ではつむじ周囲の頭頂部には比較的よく効きます。生え際やM字の後退にも、ある程度効果があります。ただし、うぶ毛にまで進行してしまった薄毛の場合にはあまり効果がないと言われています。

服用を中止すると数ヵ月から半年で効果が消失します。薬の効果によって薄毛の進行を止めたい、現状を維持したいのなら、飲み続ける必要があります。

副作用

「プロペシア」の内服による副作用としての性欲減退や勃起障害は、実際にはほとんど問題になりません。若い人ではこれらの症状はあまり出ず、高齢の人に性欲減退の傾向が多少見られることもあります。しかし、これらの副作用も薬の服用を中止すれば改善します。その他に胃の不快感や軽い肝機能障害などの副作用が見られる場合があります。これらの症状も内服を中止すれば元に戻ります。

使用上の注意

妊娠中の方は男の子の胎児に異常が発生する可能性があるために服用はできません。薬剤のコーティングが取れているものに触れるだけでも有害となります。妊娠中や妊娠する可能性がある女性は取り扱いには充分に注意しなければなりません。一方、男性が服用する場合は精子には影響しませんので、子供に異常がでることはないと言われています。

前立腺癌の腫瘍マーカー(PSA)の数値に影響を与えるため前立腺ガンの検査時は医師に報告してください。また、服用中の献血も出来ません(使用中止後も6ヵ月は避けてください)。

服用方法

「プロペシア」をAGAに投与する場合、諸外国では1日1mgが基本です。日本人よりも体重の重い欧米人男性でも1日1mgで効果は充分といわれています。日本では0.2mgと1.0mgが発売され、0.2mgと1.0mgの効果比較をメーカーが報告していますが、有意差は認められなかったということです。

当院では「プロペシア」とその後発医薬品(ジェネリック医薬品)を取り扱っています。