タンパク質不足
タンパク質不足とは、身体の維持や組織形成に必要なタンパク質の摂取量が不足し、細胞機能や組織再生に影響が及ぶ状態を指す概念である。特定の疾患名ではなく、栄養状態の偏りを示す用語である。
タンパク質不足の生理的背景と組織への影響
タンパク質はアミノ酸から構成され、筋肉、皮膚、酵素、ホルモンなど、多くの生体構成要素の材料となる。毛幹は主にケラチンという線維状タンパク質で形成されており、毛母細胞が分裂・分化する過程で合成される。
タンパク質摂取が不足すると、体内で利用可能なアミノ酸量が減少し、細胞分裂やタンパク合成が相対的に抑制される。慢性的な不足が続く場合、身体は生命維持を優先するため、末梢組織への資源配分が抑えられることがある。その結果、皮膚や毛髪など代謝回転の速い組織で外観上の変化として認識される場合がある。
急激なダイエットや偏食によりタンパク質摂取量が低下した場合、抜け毛が増えたと感じられることがあるが、これは毛幹そのものの損傷ではなく、毛周期の変化と関連して整理される。
タンパク質不足と毛周期・休止期脱毛症の関係
毛包は成長期に活発な細胞分裂を行うため、十分なアミノ酸供給を必要とする。タンパク質不足が持続した場合、成長期から休止期への移行が増加し、毛周期の再配分が生じることがある。その結果、一定期間を経てびまん性の脱毛として認識され、休止期脱毛症の一因として説明される場合がある。
ただし、タンパク質不足のみで脱毛が必ず生じるわけではない。総合的な栄養状態、ホルモン環境、遺伝的背景など複数要因が関与する。AGAのように毛包の小型化が持続的に進行する脱毛症とは発症機序が異なる。
したがって、タンパク質不足は薄毛や抜け毛と関連づけられることがある栄養学的背景要因の一つであり、毛周期の変化を介して影響が現れる可能性のある概念として位置づけられる。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

植毛・自毛植毛に関する総合的な情報については、植毛・自毛植毛の総合ページをご覧ください。
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