遺伝子治療について(医師 林さんの投稿)

男性型脱毛の遺伝子治療に対して医師としての個人的な意見を述べます。
医学は日進月歩です。まだ一般的ではありませんが、特殊な疾患に対して高度な医療研究機関で遺伝子治療が試みられております。従って、薄毛の遺伝子治療が行われるようになることも決して夢ではないと思いますし、医者としても男性型脱毛の遺伝子治療に期待はしています。しかし、ここ6-7年で実現するかというとはなはだ疑問です。
薄毛の原因遺伝子が発見されたとしても、薄毛治療として確立されるまでに数十年はかかるように思います。ガンの遺伝子が発見されたとか、アルツハイマーの遺伝子が特定されたとか、世界中の医学者が遺伝子の研究報告をしていますが、これは医学者の研究報告であり、すぐに遺伝子治療に結びつくものではありません。世界中で生命に関わるような疾患に対しては国や財団が予算つけて研究機関で委託研究をさせ、研究機関は研究報告を毎年しており、この研究の積み重ねで医学は進歩していきます。
残念ながら薄毛の遺伝子や治療に国や財団が研究費をだすことは考え難く、今後も薄毛の研究に国が積極的に取り組むことも期待できません。個人や法人レベルでの研究費では限界がありますし、薄毛の研究をしている学者の数も極めて少ないのが現状です。このような現状を考えた場合、優れた研究報告が世界中からどんどん発表されるとは到底考えられません。研究費が全てではありませんが、遺伝子治療の研究には莫大な研究費が必要であることも事実なのです。また、薄毛の遺伝子治療が実現したとしても治療費はいくらかかり、だれが支払うかと言った問題もあります。
当然のことながら医療保険は適応外、特殊な難病でないので国は無関係。個人レベルで支払える程度ならば問題ありませんが、遺伝子治療となると如何でしょうか。育毛の帝王様は遺伝子治療に期待されているようですが、残念ながら10年単位では、誰もが気軽に受けられる治療方法になるとは思えません。
ひで様のご質問ですが、自毛移植を受けていても遺伝子治療に支障をきたすことは医学的にはないと思います。もっとも、通常は自毛移植を受けていれば、更に遺伝子治療を受けることはないように思います。
なぜならば、薄くなった部位には移植毛が生えています。

以上、参考にして下さい。

医師 林

前の記事
鋪榛ンさんの投稿
次の記事
風間様へのお返事