第1回アジア毛髪外科医学会(AAHRS)のご報告


第1回アジア毛髪外科医学会(AAHRS)に、紀尾井町クリニック本院の柳生元院長が出席し、自毛植毛に関する3題の研究発表をおこないました。発表演題は「The Guide to Safe Surgery」、「Hair Direction and Angulation」、そして「Donor Skin Incision and Prevention of Hair Transection」でした。
最初の発表は、安全に自毛植毛手術をおこなうための循環器的指針を示したものです。ほかは、植毛の際の頭髪の角度と方向と配列、ドナー部の皮膚切開線と頭髪毛根の切断の予防法、などの発表です。
いずれも、自毛植毛に必要な基本的な知識を基礎的なデータの解析に基づいて解説したものです。


バンコク




第1回アジア毛髪外科医学会(AAHRS: Asian Association of Hair Restoration Surgeons)がタイ国の首都バンコクで6月24日~26日の3日間開催されました。近代的高層ビル群が林立し、あふれる車とほこり、大気汚染の中、若い人で混雑した、活気あふれる街でした。

発足1年目で各国から154人の医師が会員に登録し、今回の学会には医師と看護師の出席者が約190人におよびました。登録会員の数が多い国は、インドから28人、韓国が25人、イランが24人などで、日本の15人の会員数の中には、紀尾井町クリニックの医師5人全員が含まれています。ほかにも、台湾、タイ、シンガポール、中国、フィリピン、マレーシア、パキスタン、アメリカ、カナダ、サウジアラビア、トルコ、オーストラリアほか、エジプト、インドネシア、イラク、イタリア、ベトナムなどの国々からも会員が集まっています。

今回の学会には、アメリカやカナダ、オーストラリアなどからも著名な毛髪外科医が多数参加して、熱心な発表と、活発な討論が繰り返されました。第1回とは思えない、よく組織された運営で、内容の濃い発表と議論が終日繰り返され、大変に盛況で、大成功に終わった学会でした。

学会での話題は、毛髪外科に関する基礎的な知識を解説する講演に加えて、自毛植毛の手術手技に関するさまざまな工夫、新しい知見としてAcellを組み合わせたドナー傷の縮小効果、体毛をドナーに使うFUE手術の結果、女性型脱毛の植毛手術と生え際のデザイン、麻酔方法の工夫、眉の植毛、まつ毛の植毛、ひげの植毛、陰毛の植毛、自毛植毛後の合併症と対策・治療法、ケロイドと肥厚性瘢痕の治療、感染の対策、脂肪細胞由来の成長因子と育毛効果、特殊症例の植毛、などのテーマで発表がおこなわれました。