第13回ヨーロッパ毛髪外科学会(ESHRS)のご報告


2010年5月27~29日に開催された第13回ヨーロッパ毛髪外科学会(ESHRS)で、紀尾井町クリニックの柳生元院長が研究発表をおこない、大きな反響を呼びました。
演題は”Management of Coronary Artery Disease and Arrhythmia in Hair Restoration Surgery”というテーマでした。これは、重症の心臓病でも安全な治療を実践している紀尾井町クリニックの優れた手術成績を発表したものです。この発表に対して、世界の多くの植毛医たちが驚いていました。

今回の発表では、狭心症の症例に安全な植毛手術をおこなうための詳細な注意点と工夫を解説しました。近年の医学の進歩に伴い、心臓病の治療も大きく変わったにもかかわらず、一般的には、古い知識にもとづいた治療方針が今でも広くおこなわれており、最新の治療指針が植毛医の間に普及していないのが現状です。循環器専門医の資格も持つ柳生元院長が、今回の発表の中で、狭心症を中心に、最新の薬剤管理のガイドラインのポイントを要約して解説しました。発表中は、会場に集まった世界中の植毛専門医たちが、熱心に聴き入って、必死にメモを取っていました。

「大変勉強になった。明日からの治療で、さっそく参考にしたい。」(ESHRS学会幹部ドイツNeidel博士)
「心臓病の患者さんの植毛手術は、誰も引き受けない。自分もこれまで断ってきた。高リスクの患者さんで安全な手術をおこなっていることは、素晴らしい。」(ESHRS元会長スペインVila Rovira博士)
「自分はこのような症例の経験がない。もし狭心症の症例を手術することがあれば、実用的で有効な知識として大いに役立つだろう。」(ISHRS元会長アメリカLeonard博士)
などのコメントが寄せられました。
明日からの実際の臨床で、これらの知識を役立ててもらえれば、発表の甲斐があったといえます。


ラウンドテーブル・ディスカッション



学会3日目のラウンドテーブル・ディスカッションでは、世界を代表する有名な植毛専門医たちと壇上に並んで、柳生元院長が討論に参加しました。

そこでは、植毛手術に関係した様々な合併症や副作用に関して、その原因と予防法について熱心な議論がかわされました。その中で、手術中の出血量を減少させるための様々な工夫について、紀尾井町クリニックで現在おこなっている具体的な方法を柳生元院長が紹介しました。この内容は、欧米の植毛専門医たちに大変参考になったと喜ばれました。翌日のライブ手術で、さっそくドイツの医師がその方法を取り入れて手術していました。


学会会場


第13回ヨーロッパ毛髪外科学会(ESHRS)は、5月27~29日の間ウィーンで開催されました。オーストリア・ハプスブルグ家の栄華の歴史と文化の香りにあふれた由緒ある町並みの都市で、学術研究発表とライブ手術がおこなわれました。

今回の学会は、ウィーンで最も格式の高いHotel Imperial Viennaが会場でした。歴史的にフランツ・ヨーゼフ I 世ゆかりの建物で、昔は公爵の宮殿だった建物で、各国の王室、貴族、元首やVIPが利用する、誇りと格式の高いパレス・ホテルです。日本の天皇陛下も宿泊されたことがあります。見事な大理石張りの内装と豪華な調度品に風格が漂う迎賓館のような内部でした。オペラ座と王宮もすぐそばにありました。かつてマイケル・ジャクソンがロイヤル・スイート・ルームのフロアー全部を借り切って宿泊したことでも有名です。

このホテルの大広間が、今回の学会会場に選ばれていました。今まで学会の会場に使用されたことのない大広間が、例外的に今回の会場に使用する許可が得られたものです。豪華で重厚な内装の室内は、これまでに世界各地で開催された各種の学会のなかでも特別な雰囲気でした。
今回の学会には、ヨーロッパを中心に世界各国から多くの植毛専門医が集まり、研究発表と熱心な討論が連日繰り返されました。

今回の学会での話題は、生え際のデザイン、頭皮の拡張法、目立たないドナー縫合、脱毛治療の今後の展望、植毛と審美外科、女性の生え際のデザイン、さまざまな技術、FUEとFUT、体毛の植毛、長髪の植毛、ギガセッション、眉毛やまつ毛の植毛、女性型脱毛の治療、毛乳頭細胞の遺伝子表現、薬物治療、ロボット式FUE無人採取機、プロペシアの効果のデジタル評価、株分けの工夫、株の飛び出しの予防、Trichophytic縫合、ドナー縫合の工夫、ドナー傷の修正、遺伝性脱毛、合併症の予防、などでした。さまざまな発表の中には、いくつもの新しい話題が含まれていました。