第4回アジア毛髪外科医学会(AAHRS)で座長と講演発表を担当しました


第4回アジア毛髪外科医学会(Asian Association of Hair Restoration Surgeons, AAHRS)の学術集会とライブ手術ワークショップがバンコクで開催されました。会場はSofitel Hotel Bangkok Sukhumvitで、2015年3月28~29日の2日間、熱心な討議が繰り返されました。バンコクは車とバイクの渋滞が終日続く、活動的な街でした。昨年の政変の影響は見られず、ほほえみの笑顔と合掌の挨拶で出迎える人々がいて、物価の安い街でした。

今年のAAHRS学会では、柳生元院長は、2つのセッションの座長と、講演発表をおこないました。発表の演題は「Hairline Design in East Asia」でした。
自毛植毛の手術では、生え際のヘアラインは、顔の印象を決める、重要な部位です。アジアの中でも、東アジア、西アジア、インドなどの地域間で、頭の形や顔の特徴など人種の差によって、へアラインのデザインにも違いがあります。

今回の発表では、柳生元院長が東アジア人のヘアラインのデザインを解説し、イランのAbbasi博士が中東人のデザインを解説し、インドのVasa博士がインド人のヘアラインを解説しました。それぞれ地域によって、好みのデザインに差があり、興味深いセッションでした。

今回のAAHRSには、アジア各国以外に、オーストラリア、アメリカ、イタリアなどからも参加者があり、世界各国から約100人以上の参加がありました。アジアで最大の自毛植毛専門の医学学会です。学会の参加者は世界各国から集まった植毛専門医とスタッフたちで、早朝から夜遅くまで、真摯で熱心な討論が繰り返されました。初日は、早朝から夕方までたくさんの発表が続きました。第2日目はバンコク市内の赤十字病院の手術室を借りて、4つの手術室で6件のライブ手術が早朝から夕方まで行われました。






学会発表では、FUEのパンチ先端が鋭的なパンチと鈍的なパンチとどちらが優れているか、ロボット手術の実情、FUTとFUEの組み合わせ手術、FUEの適応と不適応、ヘアラインのデザイン、栄養と薄毛、眉毛やまつ毛の植毛、ボツリヌス毒素のドナー部注入、側頭部の植毛、移植株の長期保存液、FUT傷痕の最小化、移植スタッフと広報、などが話題になりました。

ライブ手術では、3件のFUE手術がジョージアのJohn Cole博士、マドリッドのJose Lorenzo博士、コロラドのJames Harris博士によって行われ、1件のFUT手術がバンクーバーのJerry Wong博士によって行われました。いずれも世界でFUE手術の達人といわれる彼らのFUE手術の実技を、間近で見学できて、得るものが多くありました。超音波ガイド下のFUEデモ手術も行われました。さらに若い女性の症例で、生え際を下げる手術がオーストラリアのMario Marzola博士によって行われました。

見学者の目の前で、患者さんの手術を行って見せるライブ手術は、どこの学会でも熱心な参加者が多数出席する人気のプログラムです。実際の症例に合わせて、各外科医がいろいろ細かな工夫を凝らしながら手術をスムーズに進行させる様子を見ると、学会では公表されない独自の細かな工夫が分かるので、とても参考になります。さらに気になる疑問点を質問すれば、その場で直接答えが聞けるので、勉強にもなります。

毎年各地の学会に出席している柳生元院長は、学会で吸収した最新の知識を、そのつど日常の診療に反映させてきました。今後も紀尾井町クリニックでは、日本の皆様に、薄毛治療の新しい技術をご提供し続けていくつもりです。


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