自己免疫
自己免疫(Autoimmunity)とは、本来は外敵から身体を防御する免疫系が、自身の正常な組織や細胞を標的として反応してしまう現象を指す免疫学的概念である。自己と非自己の識別機構が破綻することで生じる。
自己免疫の仕組みと免疫学的背景
免疫系は、細菌やウイルスなどの異物を認識し排除する防御機構であり、通常は「免疫寛容」と呼ばれる仕組みによって自己組織への攻撃が抑制されている。しかし、この識別機構に異常が生じると、自己抗原に対してT細胞やB細胞が活性化し、炎症反応が誘導される。
自己免疫反応が持続すると、標的となった組織で炎症や機能低下が生じることがある。発症には遺伝的背景、感染などの環境要因、免疫調節機構の変化が関与すると整理されるが、単一因子のみで説明されるものではない。
自己免疫は疾患名そのものではなく、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどに共通する病態機序を示す上位概念である。
自己免疫と円形脱毛症・炎症の関係
円形脱毛症では、毛包に対する自己免疫反応が関与すると整理されている。毛包は通常、免疫特権を有する組織とされるが、この均衡が破綻すると毛包周囲に炎症細胞が集積する。
その結果、成長期にあった毛包が退行期へ移行し、円形または楕円形の脱毛斑が形成される。一方、AGAはアンドロゲン作用と毛包の遺伝的感受性を中心とする脱毛症であり、自己免疫機序とは発症基盤が異なる。
したがって、自己免疫は円形脱毛症をはじめとする炎症性脱毛症を理解するための基礎的病態概念として位置づけられる。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

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