栄養不足
栄養不足とは、身体の維持や機能に必要なエネルギーおよび各種栄養素の摂取量が不足し、生理機能に影響が及ぶ状態を指す概念である。特定の疾患名ではなく、栄養状態の偏りや欠乏を示す総称である。
栄養不足の生理的背景と身体への影響
栄養不足は、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの摂取量が必要量を下回ることで生じる。これらは細胞分裂、ホルモン合成、酵素活性、組織修復などに関与する基礎的栄養素である。
とくにタンパク質、鉄、亜鉛、ビタミン群などは、細胞増殖や角化過程と関連する栄養素として整理される。慢性的なエネルギー不足が続く場合、身体は生命維持を優先し、末梢組織への資源配分を相対的に抑制することがある。
その結果、皮膚や毛髪など代謝回転の速い組織では、外観上の変化として認識される場合がある。
栄養不足と毛周期・休止期脱毛症の関係
毛包は成長期に活発な細胞分裂を行うため、十分な栄養供給が必要とされる。栄養不足が持続した場合、成長期から休止期への移行が増加し、毛周期の再配分が生じることがある。その結果、一定期間を経てびまん性の脱毛として認識されることがあり、休止期脱毛症の一因として説明される場合がある。
ただし、栄養不足のみで脱毛が必ず生じるわけではない。個体差、ホルモン環境、遺伝的背景など複数要因が関与する。AGAのように毛包の小型化が持続的に進行する脱毛症とは発症機序が異なる。
したがって、栄養不足は薄毛や抜け毛と関連づけられることがある背景要因の一つであり、毛周期の変化を介して影響が現れる可能性がある概念として位置づけられる。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

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