皮脂異常
皮脂異常とは、皮脂腺から分泌される皮脂の量または性状が生理的範囲から逸脱し、頭皮や皮膚の表面環境に変化が生じている状態を指す概念である。疾患名ではなく、頭皮環境の状態変化を示す用語として用いられる。
皮脂異常の種類と頭皮環境への影響
皮脂は真皮内に存在する皮脂腺で産生され、毛包を介して皮膚表面へ分泌される。通常、皮脂は角質層を被覆し、水分蒸散を抑制するとともに、皮膚表面のバリア機能維持に関与する。
皮脂異常には、分泌量が増加する状態(皮脂過剰分泌)と、分泌量が低下する状態の両側面が含まれる。分泌量が過剰な場合には、毛包開口部周囲への皮脂停滞や酸化脂質の増加がみられることがあり、頭皮のべたつきや炎症反応と関連づけられることがある。一方、分泌量が低下した場合には、角質層の水分保持機能が低下し、乾燥頭皮として認識される状態が生じることがある。
さらに、皮脂の脂質組成変化や酸化も皮脂異常の一側面と整理される。これらはいずれも頭皮表面環境の変化を示すものであり、毛幹そのものの構造異常を意味するものではない。
皮脂異常と炎症・脱毛の関係
皮脂異常が持続した場合、毛包周囲の環境変化や炎症反応と関連することがある。慢性的な炎症環境が形成された場合、毛周期の分布に影響を及ぼし、成長期毛の割合に変化がみられる可能性がある。
ただし、皮脂異常そのものがAGAの主因と整理されているわけではない。AGAはアンドロゲン作用と毛包の遺伝的感受性を基盤とする脱毛症であり、皮脂異常とは発症機序が異なる。
したがって、皮脂異常は頭皮環境を構成する一要素であり、炎症や皮膚状態と関連し得る背景概念として位置づけられる。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

植毛・自毛植毛に関する総合的な情報については、植毛・自毛植毛の総合ページをご覧ください。
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