牽引性脱毛症
牽引性脱毛症(Traction Alopecia)とは、毛髪が持続的に引っ張られることにより毛包に機械的負荷が加わり、脱毛が生じる外因性脱毛症である。
牽引性脱毛症の発症機序と構造的特徴
牽引性脱毛症は、髪を強く結ぶ、編み込む、長期間同一方向に引っ張るといった物理的刺激が反復・持続することで生じる。毛包は頭皮内に固定された構造であるが、継続的な牽引力が加わると、毛根部に機械的ストレスが蓄積する。
初期段階では、成長期にある毛髪が外力により脱落しやすくなる状態として整理される。この段階では牽引要因を除去することで再発毛が期待されることが多い。
しかし、牽引が長期間持続すると、毛包周囲に炎症反応や線維化が生じ、毛包構造が不可逆的に変化する場合がある。このような状態では、瘢痕性脱毛症へ移行することもある。
したがって、牽引性脱毛症は毛幹内部の異常ではなく、外部から加わる機械的負荷により毛包が二次的に影響を受ける脱毛症として整理される。
牽引性脱毛症と円形脱毛症・AGAの関係
牽引性脱毛症は物理的要因による脱毛症であり、自己免疫機序が関与する円形脱毛症や、毛包の小型化と毛周期変化が進行するAGAとは発症機序が異なる。
円形脱毛症では免疫反応が中心となり、AGAでは成長期短縮と軟毛化が進行する。一方、牽引性脱毛症では外力が主因であり、脱毛部位は牽引が加わりやすい生え際や側頭部に一致する傾向がある。
長期持続により毛包が線維化した場合には瘢痕性脱毛症に類似した状態へ移行することがあるが、初期段階では可逆的である点が特徴である。
したがって、牽引性脱毛症は外的機械刺激に基づく脱毛症として、炎症性脱毛症やホルモン性脱毛症とは明確に区別される。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

植毛・自毛植毛に関する総合的な情報については、植毛・自毛植毛の総合ページをご覧ください。
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