瘢痕性脱毛症

瘢痕性脱毛症(Cicatricial Alopecia)とは、炎症などにより毛包が不可逆的に破壊され、線維性瘢痕組織へ置換されることで脱毛が生じる脱毛症群の総称である。毛包構造そのものが消失する点を本質的特徴とする。

瘢痕性脱毛症の発症機序と構造的特徴

瘢痕性脱毛症では、毛包が炎症、自己免疫反応、感染、外傷などの影響を受け、構造的に破壊される。通常、毛包は成長期・退行期・休止期を繰り返すが、炎症が持続し毛包周囲に線維化が進行すると、毛母細胞や毛乳頭を含む毛球構造が消失する。その結果、毛周期を再開する基盤が失われ、新たな毛幹形成は起こらなくなる。
臨床的には、脱毛部位において毛孔が消失し、平滑で光沢のある皮膚面として認識されることがある。これは毛包開口部自体が失われていることを示唆する所見である。
瘢痕性脱毛症は単一の疾患名ではなく、発症機序により原発性と続発性に分類される。原発性では毛包が炎症の主標的となり、続発性では外傷、熱傷、感染症など他の皮膚障害に続発して毛包が二次的に破壊される。

瘢痕性脱毛症と円形脱毛症・AGAの関係

瘢痕性脱毛症は、毛包構造が不可逆的に消失する点で、円形脱毛症やAGAとは明確に区別される。
円形脱毛症では自己免疫反応により毛周期が急激に変化するが、毛包構造自体は保持されることが多い。AGAでは毛包の小型化と成長期短縮が進行するが、毛包は完全には消失しない。
これに対し、瘢痕性脱毛症では毛包が線維性瘢痕組織へ置換されるため、自然回復や毛周期再開は期待できない。したがって、炎症の進行を早期に制御することが重要となる。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師

植毛・自毛植毛に関する総合的な情報については、植毛・自毛植毛の総合ページをご覧ください。

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