エストロゲン

エストロゲン(Estrogen)とは、主として卵巣から分泌されるステロイドホルモン群の総称で、女性の生殖機能だけでなく、骨・皮膚・毛包など全身の組織機能に関与する内分泌因子である。

エストロゲンの種類と作用機序

エストロゲンには複数の分子型があり、代表的なものとしてエストラジオール(E2)、エストロン(E1)、エストリオール(E3)が知られている。分泌の中心は卵巣であるが、副腎や脂肪組織などでも産生がみられる。
血中に放出されたエストロゲンは標的細胞内のエストロゲン受容体と結合し、核内で遺伝子発現を調節する。この作用を通じて、月経周期の制御、骨代謝の維持、皮膚の水分保持などが調整される。
毛包においては、エストロゲンは成長期の維持と関連するホルモンとして語られることが多い。妊娠期に毛量が増えたように感じられる現象や、出産後に一時的な脱毛が生じる現象は、ホルモン濃度の急激な変動に伴う毛周期の再配分として説明される。

エストロゲンとFPHL・毛周期の関係

エストロゲンは毛周期のバランス、とくに成長期の割合と関係づけて説明されることがある。更年期に分泌量が低下すると、毛周期の構成比が変化し、頭皮全体で毛量が減少したように見える場合がある。
一方、FPHL(女性型脱毛症)では毛包の小型化や成長期短縮が持続的に進行するが、エストロゲン低下のみで発症が規定されるわけではない。アンドロゲン受容体感受性や遺伝的背景など、複数因子の組み合わせとして理解される。
したがってエストロゲンは、女性の毛周期環境を構成する重要な内分泌要素の一つであり、脱毛症の直接原因というよりも、毛包応答に影響を与える背景ホルモンとして位置づけられる。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師

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