炎症

炎症(Inflammation)とは、外傷、感染、免疫反応などの刺激に対して、生体が恒常性を回復しようとして生じさせる防御的な組織反応を指す病理学的概念である。局所に生じる場合と、全身反応として現れる場合がある。

炎症の機序と組織学的特徴

炎症は、組織が損傷や異物侵入を受けた際に、血管反応と免疫細胞の動員を伴って成立する。刺激が加わると血管拡張および血管透過性の亢進が起こり、白血球などの免疫細胞が局所へ集積する。その結果、発赤、腫脹、熱感、疼痛といった所見がみられることがある。
炎症は経過により急性炎症と慢性炎症に分類される。急性炎症は短期間で終息し、原因除去とともに組織修復が進行する。一方、慢性炎症では炎症反応と修復過程が持続的に並行し、線維化や組織構造の変化が生じることがある。
頭皮においては、紫外線、物理的刺激、皮脂分泌の変化、免疫反応などが炎症の契機となる場合があり、赤みやかゆみ、落屑として認識されることがある。
炎症そのものは特定の疾患名ではなく、生体防御機構の一部として整理される基本的病理概念である。

炎症と毛包・脱毛症の関係

頭皮に生じた炎症が毛包周囲に及ぶと、毛周期の変化と関連することがある。円形脱毛症では自己免疫反応により毛包周囲へ炎症細胞が集積し、成長期毛が退行期へ移行する。瘢痕性脱毛症では慢性的な炎症により毛包構造が破壊され、線維化が進行する。
一方、AGAでは毛包の小型化と成長期短縮が中心的変化であり、炎症は主因として位置づけられているわけではない。ただし、毛包周囲の微細な炎症反応が併存することが報告される場合もある。
したがって、炎症は脱毛症の発症機序を理解するうえで重要な病理学的概念であり、免疫反応および組織構造変化と関連する背景要素として整理される。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師

植毛・自毛植毛に関する総合的な情報については、植毛・自毛植毛の総合ページをご覧ください。

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