移植痕

移植痕とは、自毛植毛において受容部位に毛包単位(株)を挿入した際に形成される微小な創部の痕を指す術後所見の用語である。

移植痕の形成過程と創部構造

自毛植毛では、スリット作成によって受容部位に毛包を受け入れるための切開孔を形成し、そこへ株(グラフト)を挿入する。この切開部は術直後には発赤や点状出血、痂皮形成として観察され、創傷治癒過程を経て上皮化すると整理される。
移植痕は、毛包を受容するために形成された微小創に由来する所見である。毛周期やアンドロゲン機序そのものに直接作用する概念ではない。
創部形状はスリット作成方法によって異なる。ホールスリットでは毛包単位ごとに点状の独立した切開孔が形成されるため、術後は点状痂皮として認識されることがある。ラインスリットでは一定方向に沿った線状の切開が形成されるため、術後に線状の創部として観察される場合がある。
これらはいずれも毛包受容構造の違いを示すものであり、創部形状の差異を示す分類概念である。

移植痕と採取痕・自毛植毛の関係

移植痕は受容部位に形成される創部所見であり、ドナーエリアに形成される採取痕とは工程および位置が異なる。
FUT法やFUE法がドナー側の採取方法を示す術式概念であるのに対し、移植痕はスリット作成および株挿入という受容工程の結果として生じる術後所見である。
したがって、移植痕は自毛植毛における受容工程に伴う創部所見を示す用語であり、供給工程に伴う採取痕と対比される概念として整理され、AGAのホルモン機序とは独立した術後所見概念として位置づけられる。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師

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