自毛植毛の仕組み・方法 人工毛植毛との違いも解説【医師監修】

薄毛や抜け毛の進行が気になり始めると、薄毛治療に関心を持つ方も少なくありません。なかでも「植毛」という治療法は耳にすることはあっても、具体的な内容まではイメージしにくいという方も多いでしょう。なかでも「自毛植毛」は、自身の後頭部や側頭部など薄毛の影響を受けにくい部位から毛根を採取し、髪のボリュームが減った部分に移植する医療技術で、自分自身の毛髪を使用するため拒否反応が起こりにくく、移植後も自身の他の髪と同じように成長するため、特別なメンテナンスを必要とせず自然な仕上がりが期待できる方法です。代表的な術式にはFUT法とFUE法があり、それぞれに特徴や適したケースがあります。本ページでは、自毛植毛の基本的な仕組み、代表的な方法であるFUT法・FUE法、人工毛植毛との違い、メリット・デメリットを中心に解説します。
紀尾井町クリニックの植毛・自毛植毛について、費用、症例、治療の流れ、東京本院・新大阪院の情報まで総合的に確認したい方は、「植毛・自毛植毛」をご覧ください。
- 1. 自毛植毛を理解する前に知っておきたい植毛の種類
- 2. 自毛植毛の基本的な仕組み
- 3. 人工毛植毛との違い
- 4. 自毛植毛の代表的な方法
- 4.1. FUT(Follicular Unit Transplantation)植毛
- 4.2. FUE(Follicular Unit Excision)植毛
- 5. 自毛植毛の基本的な流れ
- 6. 自毛植毛後に注意したいこと
- 7. 自毛植毛の副作用やリスク
- 7.1. ドナー採取部の傷痕
- 7.2. 術後すぐに見られる症状
- 7.3. 術後、数日経ってから見られる症状
- 7.4. 術後、数週間から数ヵ月後の間に見られる症状
- 7.5. その他
- 8. 自毛植毛の留意点
- 9. 自毛植毛の費用の考え方
- 10. 自毛植毛を検討する際の確認点
- 11. 自毛植毛に関するFAQ
- 11.1. 自毛植毛をした10年後はどうなっていますか?
- 11.2. 自毛植毛するならFUT法とFUE法のどちらが良いのですか?
- 11.3. FUT法とFUE法の移植毛を採取した後の傷痕はどうなりますか?
- 12. まとめ
自毛植毛を理解する前に知っておきたい植毛の種類
植毛(しょくもう)とは、AGA(男性型脱毛症)などで起こる薄毛や脱毛に対する治療法の1つで、自身の健康な毛髪を移植する自毛植毛(じもうしょくもう)と、合成繊維でつくった毛を頭皮に植え込む人工毛植毛(じんこうもうしょくもう)があります。他のAGA・薄毛治療との違いは、その名の通り「毛髪(自毛or人工毛)を薄毛が気になる部分に植えこむ」という点です。
日本で「植毛」といえば「人工毛植毛」を思い浮かべる方もいらっしゃいますが、世界では「植毛」といえば「自毛植毛」を指すことがほとんどです。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」においては、自毛植毛手術は、男性型脱毛症は推奨度B(行うよう勧める)、女性型脱毛症は推奨度C1(行ってもよい)と医学的にも効果が認められておりますが、人工毛植毛は推奨度D(行うべきではない)とされていますので、現在では日本でも「植毛」といえばほぼ「自毛植毛」を指します。本記事でも自毛植毛を中心に解説していきます。
自毛植毛と人工毛植毛は、同じ植毛というカテゴリに属していますが、その特徴は大きく異なります。まずはそれぞれどのような特徴を持っているのかを見ていきましょう。
自毛植毛の基本的な仕組み
自毛植毛は、自身の後頭部にある健康な髪の毛を採取し、薄毛が気になる部分に移植する医療技術です。移植する後頭部の毛は、薄毛を誘発する男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の影響を受けにくく、AGAに強い髪の毛になるため、生涯太い髪のまま生え続ける事が期待できます。自毛を毛包ごと移植する為、移植された髪の毛は他の髪の毛同様に伸びてきます。詳しくは「自毛植毛とは」でも紹介しています。
■メリット
・自然な仕上がり
自身の毛髪を使用するため、他の髪の毛とも馴染みやすく移植後も自然な見た目を保てます。
・拒絶反応が起こらない
自身の毛髪を使用する自家移植なので拒絶反応は起こらず、炎症も起こりにくいのが特徴です。
・永続的な効果
移植する毛髪はホルモンの影響を受けにくくAGAに耐性があるため、移植後も長期間にわたって生え続け、永続的な効果が期待できます。
・メンテナンスが容易
移植した毛髪が定着した後は、他の髪の毛同様の管理で済みます。洗髪やドライヤー、パーマやカラーリング、整髪料も楽しめます。他の髪の毛同様伸びてきたら散髪して整えるだけです。
■デメリット
・比較的費用が高額
施術には高い技術と手の込んだ作業、時間が必要なため、1度の治療費が他のAGA治療に比べて高くなる傾向があります。ただし、その後の追加コスト(維持費・メンテナンス費など)の発生はありません。
・傷痕が残る
FUE法ではドナー株をくり抜いた数と同数の点状の傷痕、FUT法ではドナー株を採取した長さの細い線状の縫合痕が一本残ります。いずれも周囲の髪の毛を数センチ伸ばす事で隠す事ができます。(「自毛植毛の傷痕について」|FUTでの縫合の傷痕|くり抜く植毛FUEの傷痕)
・効果を感じる時間がかかる
基本的に移植から約1ヶ月後には移植毛は一旦抜け落ちて、手術後5~6ヶ月頃から毛髪が伸び始めます。術後の毛が効果を感じる長さまで生え揃うにはおよそ1年ほどかかります。時間をかけて生え揃うため、周囲からは植毛したことを気付かれにくいという特徴があります。
・生涯で採取可能な株数に制限
自毛を使用する為、際限なくドナーを採取できるわけではありません。移植に使用できる毛髪は限られています。薄毛が進行してもっと移植したい、より広範囲に移植したいと希望されたとしても、限度を超えて移植することは出来ません。
人工毛植毛との違い
人工毛植毛とは、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維でつくった毛を頭皮に植え込む増毛法です。表面に人体の頭髪にあるキューティクルと似た構造をつくることで、自然に近い艶を出し、黒、グレー、茶色などさまざまな色を組み合わせ、できる限り本人の頭髪と違和感のないように仕上げています。人工毛植毛は、移植直後から見た目のボリュームを出しやすい一方で、異物反応、感染、炎症、定期的なメンテナンスなどのリスクがあります。なお、植毛先進国であるアメリカでは、人工毛植毛は問題のある増毛法と判断され、現在では法律で禁止されています。日本ではまだ禁止されていませんが、日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版でも記載があるように、薄毛の治療としてはお勧めできない方法です。
そのため、本ページでは自毛植毛を中心に、代表的な術式や注意点を解説します。人工毛植毛について詳しく知りたい方は、「人工毛植毛」をご参照ください。
自毛植毛の代表的な方法
それでは、主流の「植毛」法である「自毛植毛」を更に詳しくみていきましょう。自毛植毛は主にFUT植毛とFUE植毛の2つの方法によって実施されています。
FUT(Follicular Unit Transplantation)植毛
代表的な自毛植毛法の1つがFUT(Follicular Unit Transplantation)植毛です。FUSS(Follicular Unit Strip Surgery)とも呼ばれます。広範囲の薄毛治療や大量の毛髪の移植、例えば1,500~2,500株のドナー株を一度に移植したい場合には、FUT植毛が向いています。生涯には最大で約5,000~7,000株の植毛が可能です。FUTであれば前頭部から頭頂部等への広域へ移植するのにも充分なドナー株数が確保できる可能性が高いので、術後にAGAが進行してしまったとしても、対応しやすいです。「ボリューム植毛FUT」でも詳しくご紹介していますので、ご参照下さい。

■メリット
・大量の移植が可能
ドナーエリア(後頭部や側頭部)より切り取ったストリップ(帯状にした頭皮の組織)から多くの株を取得できるため、多量の株が必要な高密度・広範囲の薄毛などの治療に効果的です。
・生涯に採取出来るドナー株数が多い
ドナーを帯状に採取して縫合するため、手術後のドナー採取部は密度の低下がありません。そのため生涯に採取できるドナー株数がFUEの約2倍(約5,000~7,000株)ほどになります。
・高い有効採取率
ストリップから、双眼実体顕微鏡を使用して手作業によって切り分けることができるため、毛根切断率を限りなく低く抑える事が出来ます。即ち採取したドナーのほぼすべてを移植毛として有効活用する事ができます。
・FUE法と比べた費用の傾向
自毛植毛は自由診療のため、値段はクリニックごとに異なりますが、一般的にFUTは、FUEという手術方法に比べて費用が低く(約半分~2/3程度)抑えられる傾向があります。
・手術時間
自毛植毛は通常日帰りの手術となりますが、FUTは同じ株数であれば、FUEよりも手術時間が短い傾向があります。
■デメリット
・後頭部に横方向に走る傷跡が残る
FUTでは、後頭部の頭皮を帯状に切り取って縫合するため、採取部分に横に走る線状の傷痕が残ります。この傷は横方向の傷なので、後頭部の髪をある程度(約2~3cm以上)伸ばしていただければ外からは見えません。トリコフィティック法という縫合方法を用いる事で、通常よりも目立ち難くしたり、SMP(Scalp Micro Pigmentation)というヘアタトゥーのようなものやFUEで傷をより目立たなく修正することもできます。
・メスで頭皮を切る
FUTでは、後頭部の頭皮を帯状に切り取って縫合する(頭皮表面から数ミリの深さの処置するだけで、切り傷の処置と同じようなものです)ため、くり抜いて採取するFUEに比べると回復期間が若干長い傾向があります。
・採取数は頭皮のゆとりに左右される
頭皮がつっぱっていて、ゆとりがない状態だとたくさんのドナーを採取する事はできません。ですので頭皮の硬い方は採取できるドナー株数が限られてしまう傾向があります。手術前には頭皮マッサージで頭皮を伸ばしていただくと、よりたくさんのドナー採取ができることがあります。
FUE(Follicular Unit Excision)植毛
代表的な自毛植毛法のもう1つがFUE(Follicular Unit Excision)植毛です。「くり抜く植毛FUE」でも紹介しておりますが、少量のドナー株で充分な、眉毛、ヒゲや傷痕などの植毛にはFUEの治療が向いています。頭皮が硬くて可動性が少ない方や、FUTの縫合痕修正をしたい場合にもFUEが適しています。生涯には最大で約2,000~3,000株の植毛が可能で、FUTのように切るのではなく、直径1mm前後のパンチ(鋭利な筒状の刃物)で毛根ごとくり抜いてドナー株を採取していきます。通常ドナー株を採取する範囲を刈り上げて実施されますが、刈り上げずに実施する方法やロボットで実施される方法などもありますので、興味のある方は対応している医療機関にてご確認ください。

■メリット
・傷跡が目立ちにくい
後頭部から毛包を1つずつ専用の機械を使ってくり抜いてドナー株を作成します。くり抜いた部分は毛根が無くなるため、傷跡は1mm前後のサイズの白い斑点のようになります。1つ1つの傷は米粒大と非常に小さいため、1~2cm以上髪を伸ばす事で隠す事ができます。
・頭皮が硬く可動性が少ない方でも可能
FUTのように頭皮を切除して縫合する必要がなく、個々の毛包を取得するため、ドナーエリアの採取範囲を散らす事によって頭皮が硬い方でも株を採取することが可能な場合があります。
・手術後の回復期間が比較的短い
1つ1つの傷口が小さいため、手術後の回復期間が比較的短い傾向があります。
■デメリット
・くり抜きすぎてしまうと後頭部の髪の密度が下がる
1つ1つの傷痕は米粒大と小さいのですが、移植した株数と同じの数の傷が残りますので、採り過ぎてしまうと採取部(後頭部や側頭部)の髪の毛の密度が低下してしまうので注意が必要です。例えば、1000株を採取した場合は、後頭部~側頭部に小さな傷痕が1000個残ります。
・生涯で採取可能な株数が少ない
見た目の違和感が出ることなく採取できるのは、生涯で2000~3000株程度といわれており、FUTのおよそ半分となります。つまりこの数に近付くほど通常のドナー範囲から逸脱してAGAに耐性の無い毛髪を採取されてしまったり、著しい密度低下の可能性が出てきますので、注意が必要です。
・FUTよりも高額な費用傾向
自毛植毛は自由診療であるためクリニック毎に手術費用は異なりますが、一般的にはFUTよりもFUEの方が高額になる傾向があります。
・バリカン幅が広い
基本的にFUEではドナーを採取する範囲の髪をバリカンで短く刈る必要があります。採取した部分の髪の密度が下がるため、広い範囲から少しずつ株を採取する必要がありますが、その分バリカンを入れる面積が広くなります。クリニックによっては髪にバリカンを入れずにFUEを行うところもありますが、費用がその分高額になる傾向がありますので、希望の方は事前に確認しておきましょう。
自毛植毛を検討される際に、「FUT植毛とFUE植毛のどちらが良いのか」というお悩みを持たれる方がいらっしゃいますが、どちらが優れているということではなく、上記のようにそれぞれにメリット・デメリットがあり、向き不向きもありますので、無理をせずにケースによって使い分けることをおすすめします。詳しくは「FUT植毛とFUE植毛どちらが良いのか」でご紹介させて頂いておりますので、興味のある方は是非ご一読ください。
自毛植毛の基本的な流れ
自毛植毛は、診察・カウンセリング、移植範囲や株数の確認、ドナー採取、株分け(主にFUT法)、移植、術後説明という流れで進みます。詳しい治療の流れは、FUT植毛手術の流れ・FUE植毛手術の流れの各ページでご案内しています。
医師によるカウンセリングと診断
まずは医師とのカウンセリングを行い、ご自身の薄毛の診断や治療のご希望などを相談します。医師より植毛及び術式(FUTやFUEなど)の効果やメリット・デメリット、副作用やリスク、植毛デザイン、費用の概算等の説明や、ドナー部位(通常は後頭部や側頭部)の健康状態をチェックし、移植に適した毛根の量を確認したりします。ここで重要なのは、患者の薄毛の原因や進行具合を正確に診断して、植毛についての理解を深めていただいた上で、無理のない治療計画を患者と一緒にたてていくことです。
※当院でのカウンセリングの大凡の流れは「カウンセリングの流れ」よりご参照いただけます。
手術を受けることが決定したら、採血などの術前検査を受け、手術日程を決定します。
植毛デザインの最終確認
手術当日にドナー株数、移植範囲や密度配分について、ご希望をお伺いして最終的なデザインの確認・決定を行います。今だけではなく、移植後の薄毛の進行を加味しながら将来的にも自然なヘアスタイルになるよう植毛デザインをします。
ドナー部位の毛根採取
手術室に移動し、後頭部のドナー株を採取するエリアからドナー採取範囲にバリカンを入れ、1mm程度に刈ります。そして、ドナー採取部を消毒し局部麻酔を行なった後、ドナー株の採取が行われます。
・FUT法:後頭部のドナー範囲(AGAの影響を受けにくく生涯生え続ける事が期待できる毛髪が生えている範囲)の髪の密度を測り、必要な株数を採取するのに必要な幅と長さで頭皮を帯状に切除します。1回の手術で採取できる上限の株数は、密度にもよりますがだいたい2000~2500株程度です。傷を縫合して閉創します。
・FUE法:後頭部のドナー範囲(AGAの影響を受けにくく生涯生え続ける事が期待できる毛髪が生えている範囲)から直径1mm前後のFUE専用のパンチ(鋭利な筒状の刃物)を使用して皮下の毛根を傷つけないように毛根ごとくり抜きドナー株を1株づつ採取します。ドナー株採取後は、特に縫い合わせる等の処置を行わない為、小さな米粒大の傷痕が採取した数だけ残ります。
株分け
ドナー採取後は、移植用に株分けを行います。
・FUT植毛:採取した帯状のドナー頭皮を毛根単位の小さな株に切り分けていきます。より自然な移植を実現するために、1本~数本サイズの株へと生えている向きが個々に異なる毛根を傷めないように、看護師が手作業で慎重に切り分けていきます。手作業ゆえに毛根の切断(ドナーロス)はほぼありません。
・FUE法:採取した時点で既に毛根単位の小さな株にはなっていますが、より自然な仕上りを達成するため、植毛デザインに応じて1本~数本のサイズにドナー株を切り分けます。
スリット作成
ご希望されたデザインに沿って、自然な仕上がりとなるように、医師が移植する範囲に1mm前後の小さなスリット(切れ目)を開けていきます。髪の生えてくる角度や方向を考えながら、既存毛を傷つけないように毛根と毛根の隙間を狙いつつなるべく高密度になるように、慎重に根気強くスリットを開けていきます。なお、このスリットはラインスリット(線状)もしくはホールスリット(穴状)のいずれかで行なわれます。ラインスリットは、より自然な仕上がり、高密度に向いており、ホールスリットは、大きな株の移植や時間短縮に向いていると言われています。
ドナー株の移植
スリット開けが終ったところに、準備したドナー株、1株ずつ手作業で植え付けていきます。虚血時間(ドナーの血流が停止してから移植後に血流が再開されるまでの時間)が短いほどドナー株の鮮度を保ち定着率が高まるため、「スピードの速さ」と「正確性」が求められる工程となります。全ての株を植え終わったら縫合部の最終チェックを行い、患部をきれいに洗い、包帯を巻いて手術終了です。
術後の説明
手術後に副作用や痛みを緩和する薬の飲み方の説明、移植したドナー株にダメージを与えないための生活面での注意点、洗髪方法などについて、詳しい説明があります。
アフターケア
植毛後のアフターケアはカウンセリングや手術同様に、植毛においては大変重要です。移植毛がしっかり根付く術後1週間を過ぎれば特段気を遣う必要なく、普段通りの生活(洗髪含む)に戻れます。通常、移植後約半年の間に移植した毛髪は生え始め、1年後には自毛植毛の効果が実感できるようになります。効果を実感するまでに時間がかかるため、その間に様々なご心配が出てくる事もあるかと思います。その際は遠慮せずに手術を行なったクリニックにご相談下さい。
詳しくは「植毛手術後の過ごし方【医師監修】」を参照下さい。
自毛植毛後に注意したいこと
自毛植毛治療の効果は、術後の生活習慣やケアによって左右されることがあります。移植した毛髪を定着させるため、また術後にできた傷をできるだけ早く、きれいに回復させるためにも、術後の過ごし方は重要です。術後の過ごし方は、術式、移植範囲、体質、医師の判断などによって異なるため、手術を行ったクリニックから案内された内容に従ってください。
一般的には、術後しばらくは移植部をこすらない、頭皮を清潔に保つ、洗髪方法に注意する、激しい運動やサウナを控える、飲酒・喫煙に注意する、処方薬を指示通りに服用する、といった点に注意が必要です。
また、術後の腫れ、赤み、かゆみ、かさぶた、移植毛の一時的な脱落などが見られることがあります。気になる症状や不明点がある場合は、自己判断せず、手術を行ったクリニックに相談しましょう。
詳細やそれ以降につきましては「治療後の過ごし方」や「植毛手術後の過ごし方【医師監修】」をご参照ください。
自毛植毛の副作用やリスク
自毛植毛は自分の髪の毛が伸びてくる魅力的な治療法ですが、他の手術と同様に副作用やリスクがないわけではありません。その発生率や程度は、年齢、体質、持病、移植範囲や植毛回数によって個人差があります。大部分が一時的なもので、時間の経過とともに、改善します。ときには、症状の緩和のためにお薬を内服していただく場合もあります。治療を検討される際はこれらについてのご理解をいただいた上で、治療をお受けになるよう心掛けてください。人によっては自毛植毛が適さない場合もありますので、予めご理解ください。
ドナー採取部の傷痕
FUT植毛およびFUE植毛のいずれにおいてもドナー採取部(後頭部から側頭部)の傷は必ず残ります。採取範囲や傷の大きさ、数、などは、体質やご希望の移植数などによって違いがあります。どちらの傷痕も坊主やスキンヘッドのような極端に短い髪型にすると見えやすくなってしまいますが、髪を伸ばす事で隠す事ができます。
- FUT:後頭部を横に走る1本の細い線状の縫合痕が残ります。周囲の髪の長さがおよそ2cm以上あれば、傷を隠す事ができます。
- FUE:後頭部に1mm程度の小さな米粒大のくり抜き痕が、採取した数分だけ(1000株採取なら1000個のくり抜き痕)残ります。周囲の髪の長さがおよそ1cm以上あれば、傷を隠す事ができます。
術後すぐに見られる症状
痛み、出血、吐き気、移植部位のかさぶたや赤み
術後、数日経ってから見られる症状
額やまぶたの腫れ、かゆみ、しゃっくり、しびれ、移植毛のくせ
術後、数週間から数ヵ月後の間に見られる症状
一時的な脱毛(ショックロス)、感染症・膿胞、移植毛のくせ
その他
手術において、通常ではみられない合併症や偶発症が発生することがごく稀にあります。これは植毛手術のみならず外科手術全般に考えられる事であり、どんな医療施設でもその可能性をゼロにはできません。軽症例では抗生物質や消炎鎮痛剤に起因するアレルギーで発疹が出現したり、重症例では麻酔薬のアナフィラキシー・ショック(血圧低下や意識障害など生命に危険が及ぶ過敏反応)などが発生する可能性もあります。自毛植毛手術においては、まれに移植株の生着不良例が報告されていますが、その原因は明らかではありません。
自毛植毛の留意点
自毛植毛を検討する際は、メリットだけでなく、治療計画や術後経過に関する注意点も理解しておくことが大切です。例えば以下のような留意点があります。
- 将来的な薄毛の進行を見据えて、移植範囲やデザインを検討する必要がある
- FUT法、FUE法のいずれも、ドナー採取部には傷痕が残る
- 移植できる毛髪数には限りがあるため、ドナーを計画的に使う必要がある
- 手術である以上、副作用やリスクがあり、体質や状態によっては適さない場合がある など
治療を検討する際は、メリット・デメリット、副作用・リスクの医師からしっかり説明を受けたうえで判断しましょう。詳細やその他については、カウンセリングなどのご相談の際に医師にご確認ください。
自毛植毛の費用の考え方
自毛植毛の費用は、術式、移植株数、移植部位、診療内容によって異なります。また、自毛植毛は自由診療のため、クリニックごとに費用・料金が異なります。費用を確認する際は、料金の内訳、最終的な支払い総額、追加費用の有無などもあわせて確認しておくと安心です。
紀尾井町クリニックでは、診察時に頭皮や毛髪の状態、移植範囲、必要株数、術式などを確認したうえで、手術費と移植費の合計として治療費をご案内しています。
具体的な料金表、株数ごとの費用目安、FUT法・FUE法、眉毛・ヒゲへの植毛費用については、「植毛の費用・料金」ページで詳しくご案内しています。
自毛植毛を検討する際の確認点
自毛植毛を検討する際は、術式の違い、移植株数、費用、傷痕、術後経過、将来的な薄毛の進行などを含めて確認することが大切です。治療方針は、頭皮や毛髪、ドナー部の状態、希望する仕上がりなどを踏まえて判断されます。相談時には、FUT法・FUE法それぞれの特徴や適応、費用の内訳、術後の相談体制などについて確認しておくとよいでしょう。
クリニック選びについて詳しく知りたい方は、「おすすめの植毛クリニックとは?【医師監修】」や「植毛で失敗しないための5つのポイント」などもご参照ください。
当院の治療方針や症例については、総合ページ「植毛・自毛植毛」でもご案内しています。
自毛植毛に関するFAQ
自毛植毛に関するFAQをまとめました。詳細は各項目のリンクからご確認ください。また、その他のFAQは「よくある質問」を参照下さい。
自毛植毛をした10年後はどうなっていますか?
自毛植毛はAGAの影響を受けにくい後頭部などの毛を使うため、10年後も生え続けていることが期待されます。ただし移植毛以外の既存の毛は薄くなる可能性もあるため、将来的に追加治療が必要な場合もあります。将来を見据えた自然な見た目に仕上げるには、経験豊富な医師と看護師によるデザインが重要になります。
詳細は「自毛植毛をして10年経ったらどうなる?【医師監修】」を参照下さい。
自毛植毛するならFUT法とFUE法のどちらが良いのですか?
結論から言えば、自身の体質や症状、ご希望等のケースによって、それらを使い分けるべきです。FUT法は大量の移植に適し、コストが比較的低く、狭い範囲の刈り取りで済みますが、線状の傷跡が残ります。一方、FUE法は少量の移植に適し、傷跡が目立ちにくく回復が早いものの、採取できる株数が少なく、費用や手術時間が増える傾向があったり、移植毛の採取数に比例して傷痕が残るため、採取部の密度が低下していきます。それぞれにメリット・デメリットや向き・不向きなどがありますので、体質や状況、希望などによって使い分けることが重要です。
詳細は「FUT植毛とFUE植毛どちらが良いのか【医師監修】」を参照下さい。
FUT法とFUE法の移植毛を採取した後の傷痕はどうなりますか?
大前提として、FUT法とFUE法のどちらも皮膚に刃を入れてドナー株を採取するので必ず傷痕は残ります。FUT法であれば後頭部を横に走る細い線状の縫合痕が1本、FUE法であれば直径1mm程度の小さな米粒大のくり抜き痕が採取した分だけ残ります(1,000株採取なら1,000個)。個々の体質や状況、ご希望、クリニックのノウハウや技術などによって傷の状況は異なりますので、必ず移植数と同等の傷痕の症例写真(採取部)などを確認するようにしておきましょう。
詳細は「自毛植毛の傷痕について【医師監修】」を参照下さい。
FUT法の傷痕
FUE法の傷痕
植毛に関する全体的な情報は、総合ページ「植毛・自毛植毛」をご参照ください。
まとめ
自毛植毛は、自分自身の毛包を採取し、薄毛が気になる部分へ移植する医療技術です。人工毛植毛とは異なり、自分の毛髪を使うため、定着後は周囲の髪と同じように伸びることが期待できます。
代表的な方法にはFUT法とFUE法があり、それぞれ採取方法、傷痕、採取できる株数、費用の傾向などに違いがあります。どちらが適しているかは、頭皮や毛髪の状態、ドナー部、希望する仕上がり、将来的な薄毛の進行などを踏まえて判断されます。
紀尾井町クリニックでは、FUT法・FUE法の両方に対応しています。自毛植毛を検討する際は、それぞれの方法の違いやメリット・デメリットを理解したうえで、医師に相談しながら治療方針を確認することが大切です。
紀尾井町クリニックの植毛・自毛植毛について、費用・症例・治療の流れなどを総合的に確認したい方は、「植毛・自毛植毛」ページをご覧ください。
第三者サイトに掲載されている当院の評価(Caloo)
紀尾井町クリニックの自毛植毛や薄毛治療については、
医療口コミサイト「Caloo」にて、
実際に受診した方による評価・口コミが掲載されています。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

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