質問(Sさんの投稿)
貴院のHPおよびカリフォルニア本院のHPを拝見し、イマイチ理解出来ない点がありますのでご質問させていただきます。
1、FUの定義は1つの場所(株)から1本〜4本毛が生えている単位と理解しますがよろしいでしょうか?また、「NHT式自毛移植の特徴 7.3種類のグラフト併用」の解説で、マイクログラフト・フォリキュラーグラフト・ダブルフォリキュラーグラフトという3種類のサイズのグラフト〜との記述がありますがここで言うマイクログラフトとは1本毛のフォリキュラグラフトという事ですか?それとも2〜3本毛のフォリキュラグラフトを1本毛に裁断したものですか?前者とするとこの解説はフォリキュラグラフトとダブルフォリキュラグラフトと2種類のグラフトを使い〜という説明が正確だと思うのですが?
2.MFU=ダブルフォリキュラグラフトと理解して宜しいですか。
3.10%以上の毛髪が休止期にあるため目に見えないとありますが、どのように休止期の毛根を移植し発毛に導くのでしょうか?
細かい事かもしれませんが、ご回答お願いいたします。
S
お返事
S様へのお返事
お問い合わせありがとうございます。
当院のHPやカリフォルニア本院のHPをかなり詳しくお読み下さっているようで、ありがとうございます。内容がかなり専門的な詳細な事項に及びますので、できるだけ分かりやすく説明してみます。
1.NHT方式でいうマイクログラフトとは、主として1本毛の移植株です。1本毛の株を用意する場合、1本毛のフォリキュラーユニットを使う場合と、2〜3本毛のフォリキュラーグループから1本毛の株を作る場合とがあります。フォリキュラーグループとは、それぞれの毛がフォリキュラーユニットよりも距離が離れて生えているが同じ毛包グループとして解剖学的に扱われるものです。1つのフリキュラーグループから1本毛の株を作ることは、顕微鏡下の株分け作業では容易にできます。NHT式自毛植毛では、手術の開始前の最初のデザインの段階で、1本毛の株の必要数を計算します。その予定の数だけまずマイクログラフトを準備します。それと平行して、フォリキュラーグラフトとダブルフォリキュラーグラフトを作る作業を進めます。
自然の頭髪は、すべてがフォリキュラーユニットになって生えているわけではありません。かなりの数の毛が、フォリキュラーグループとしても生えています。現在、世界的に行われている毛包単位の移植手術FUTでは、正確にいうと、フォリキュラーユニットFUとフォリキュラーグループFGとの両方を使用しています。
2.NHTカリフォルニア本院でいうMFU(modifyed follicular unit)は、当院でいうダブルフォリキュラーグラフトと同じものです。
3.休止期の毛根は、古い毛が抜け落ちてしまった後は、顕微鏡下の株分けでも、存在を確認することは困難です。そのため、全てのフォリキュラーユニットあるいはフォリキュラーグループを、肉眼でその存在を確認できる毛根だけに削り落としてスリム化してしまうと、たまたまそのとき休止期で目で見えなかった毛根組織を捨ててしまう可能性が高くなります。
NHT方式でいう、ダブルフォリキュラーグラフトあるいはMFUは、隣同士の約2つのフォリキュラーユニットあるいはフォリキュラーグループをまとめて一つのグラフトにしますので、残っている毛根のそばに隠れている目で見えない休止期の毛根組織を助ける可能性が高くなるのです。その結果、NHT方式の自毛植毛では、約1年後の発毛率が100〜110%という結果が得られているのです。
このデータは、カリフォルニア本院の研究結果や、当院での研究結果から得られたもので、2004年に開催された国際毛髪外科学会で発表しました。同じ結果は、2001年のコラシンスキー博士の研究発表、2002年のSeager博士の発表、2005年のBeehner博士の研究発表でも確認されています。さらに、自毛植毛の世界的権威であるW.P. Unger博士も、彼の論文の中で同様の記述をしています。
内容がかなり専門的になりすぎてしまいました。文字だけの説明では限界があります。もっと詳細な説明をお聞きになりたい場合は、直接クリニックにお越しくだされば、ゆっくりご説明いたします。
医師 柳生