「何が良い」とされてFUTが認められて行ったのか(らくださんの投稿)
技術的な事も理解した上でお願いしたいので質問します。
サイトを隅々読んでみたのですが、すこし解りません。理解する為にを助けて下さい。
少し前の技術であるミニグラフトを使用した技術から、FUTの技術に世界的に移行する時期に「何が良い」とされてFUTが認められて行ったのでしょうか? 箇条書きで、評価された点をお願いします。
PS 双方の違いも詳しく教えて下さい。 回答をいただけましたら、また自分で勉強したいと思いますので、専門用語が入っても構いませんのでお願いします。
らくだ
お返事
らくだ様へのお返事
ご質問ありがとうございました。
当院のサイトを隅々までお読み下さいましてありがとうございます。
専門的な内容のご質問ですが、お答えいたします。
1970年代以降に奥田・オレントライヒ法としてパンチ・グラフト方式の植毛が世界的に広まりました。当時は画期的な技術でしたが、頭髪が束になって生える不自然さが難点でした。その他に、傷跡が残ること、密度が低いこと、生え際が不自然なこと、毛の生える向きを調節できないことなども問題でした。
その後、年々、グラフトのサイズを小さくしていく努力が世界的に広まっていきました。1992年に1度に1,000株以上移植するメガセッションが発表され、グラフトのサイズはさらに小さくなっていきました。移植株の大きさが小さくなるとともに、数10本単位の毛の移植だったものが、1〜4本と自然に生えている毛穴単位の移植に変わっていきました。こうしてFUTの考えが確立されてきました。
このように、歴史的には連続した努力が継続されてきまして、その過程で、ミニグラフトやマイクログラフトの考えが提唱されてきたものです。
ところで、ミニグラフトはグラフトのサイズだけを規定した概念です。それに対して、FUTは毛の生えている毛包単位を重視する概念です。両者は、厳密に言えば別の種類の概念の内容なのです。たとえば、FUTといっても、世界では1つずつの株をどれくらい細く小さくカットするかで、いろいろと議論が分かれているのが現状なのです。おなじFUTでも毛髪外科医によって最も良いと主張するサイズが違うのです。極端に細いグラフトを移植するグループもあります。
また現在の流行は極端に走りすぎているという指摘もありまして、グラフトのサイズを少し大きめにもどしたほうがいいのではないかという議論も一部で話されています。こうして毎年の国際毛髪外科学会では白熱した議論が繰り返されているのです。
ある極端から別の極端に振り子のように意見が振れながら、やがて、皆の意見が集約されていくのが医学の進歩の一面でもあるのです。
以上、少し生意気な点もあったかも知れませんが、自分なりの感想を交えながらお返事を書いてみました。
医師 柳生