テストステロン(ロンさんの投稿)
こんにちは。プロペシアはDHTを抑えこむことで、結果的に脱毛を食い止める薬ですが、それとはまた異なった作用で、受容体(レセプター)に先回りしてそれを塞いでしまうアンドロゲンブロッカーである個人輸入などでよく見かけるスピロノラクトン(経口、経皮)は、DHTだけでなくテストステロンまでも抑えこむとのことです。しかし、男性の場合テストステロンが毛髪を太くする役割があると聞いたのですが、このことを考えると、スピロノラクトンは脱毛を止められたとしても、既存の毛は細毛化(猫毛化)してしまう事になるのでしょうか?
ロン
お返事
ロン様へのお返事
Spironolactoneは歴史の長い臨床薬です。
私の以前の専門領域である心臓外科や循環器内科では、心不全や浮腫、高血圧などの治療の目的で大勢の患者さんたちに長年の間処方して外来で治療してきましたが、特に多毛や脱毛が問題になったことはありませんでした。最近は他にもっと優れた医薬品がたくさん開発されましたので、ほとんど出番のない薬になってしまいましたが。薬の副作用欄には、たくさんの可能性の一つとして多毛と書いてありますが、私の経験から判断すると、Spironolactoneで多毛になったという話は男性患者さんからも女性患者さんから聞いたことはありません。男性によく見られる副作用は、女性化乳房です。これは、男性の乳首とその周囲がふくれてしこり状に触れるようになるもので、この副作用が出ると内服を中止します。Spironolactoneはカリウムのバランスに影響し、利尿作用のある医薬品です。循環器専門医の診断のもとに慎重に使用すべき医薬品ですので、自分だけの判断で使用すべきではないと考えます。
毎年の国際毛髪外科学会でも、脱毛の薬物治療のセッションで、その他のたくさんの医薬品の一つとして必ずSpironolactoneが登場しますが、米国の専門医の結論でも、最後に勧められるのはMinoxidilとFinasterideの2剤のみです。
医師 柳生
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