術後経過について(ZOUMOUさんの投稿)
去年の9月に手術を受け7ヶ月が過ぎました。術前、術後先生及びスタッフの方にはとても親切にしていただき感謝しています。さて、頭頂部の手術でしたが、今現在あまり生えてきているような感じがしません。今でも指で撫でるとひっかかるところがあり強くこすってそれを採ってみると黄透明の三角形の2㎜くらいの物質で私の考えでは、それはスリットに埋め込んだ毛根ではと勘ぐってしまいますが術後2週間もすると安定するとのことなので定着はしていると思うのですが、術後すぐは、かさぶたと一緒に短い毛の付いた同じような物質が採れましたが、問い合わせたところ定着には問題ないとのことでした。1年経つまで様子を見るつもりですが、他の人も同じような経験をしているのでしょうか?貴院では何千の症例があるのでこのような報告は受けておられるでしょうし、個別に電話などと言わずにこの掲示板で適切にお答えくださるようお願いします。私は日本のクリニックのなかでは貴院を一番に信頼しており再度手術を受ける予定です。この掲示板を読んでいる初心者の方に不安を与えるつもりはありませんし、情報を共有するつもりで投稿していますので誤解のないようにお願いします。
ZOUMOU
お返事
ZOUMOU様へのお返事
6〜7ヶ月後に本当に生えているのかと御心配になりお問い合わせや診察にいらっしゃる方の殆どが貴殿と同じ頭頂部の移植をされた方です。私達も頭頂部のみの移植をされた方がこの時期(産毛程度が生えた頃)に確認し難く御心配になると思います。
【頭頂部の移植の方が御心配になる理由】
・全く(或いはそれに近い状態で)既存の毛髪がない方以外は、ある程度の毛髪があり産毛程度の移植毛は確認し難い。
・頭頂部は患者様御自身でよく肉眼で見る事が出来ない。
・毛髪は旋毛を中心に放射状に生える(昨年紀尾井町クリニック院長柳生医師が国際毛髪外科学会で報告しました。)為、毛が重なり難く産毛程度では効果を得難い。
・移植密度が低かったケースは、産毛では殆ど判断出来ないでしょう。また、結果が出た時期でも効果を得難いと考えます。
・移植術が非常に技術が高く自然さが得られ、どれが移植毛か判断し難い。
・術前の状態を患者様自身が忘れてしまっているので、移植毛が生えていても産毛ではまだ効果が薄く自覚し難い。
・ネットなどの早く効果が出たなどの情報に振り回されてしまう。
以上が過去にご相談頂いたケースです。
最低判断なさるには術後10ヶ月待って下さい。この時期に同じ状態でしたら再度ご相談下さい。また、現在御心配ならば手術をお受けになった医師の診察を遠慮なくお受け下さい。(高い治療費をお支払いになっている訳ですから、遠慮なさる必要はございません。)拡大鏡でどれが移植毛かを御見せ致します。また、効果を早く得たい場合は、ロゲイン・プロペシアを御使用下さい。
また、「今でも指で撫でるとひっかかるところがあり強くこすってそれを採ってみると黄透明の三角形の2㎜くらいの物質」と言うのは、拝見していないので正確なお返事ではございませんが、小さなにきび状の物(のう胞)が出来ている可能性があります。これは珍しい物ではございません。(副作用の用紙に記載されています。)それが潰れた後にかさぶた状になっていた物でしょう。術後1〜2週間後にも同じ物が認められたと思います。擦り傷などの後にも認めるように同じ物です。対策としては、以前お使いになっていたゲンタシンクリームがございましたらそれをその部位に御使用下さい。(なければ直ぐに無料でお送り致しますので、お電話で手術をお受けになったクリニックへご連絡下さい。)尚、御心配でしたら一度ご診察をお受けになる事をお勧め致します。
術後にかさぶたに付着して抜けた移植毛は休止期脱毛の始まりです。皆様が多かれ少なかれ生じる事です。普通の経過ですので問題ございません。
私も時々手術後に患者様にお話致しますが、術後の経過での御心配事はまず私にお電話でご相談下さいと申し上げております。この理由は、術後の状態には個人差があり掲示板やメールでは患者様の一方的な経過説明しか記載されておりません。つまり、私達が知りたい情報が正確に伝わり難いです。特に掲示板はどなたか解りませんので、予測が更に付き難く一般論でのみのお返事になり、重大な状態になっていたとしても見逃さざるを得ない状況です。(医療ですので、早めの対処が一番です。)もし私達を一番信頼頂けるならば、是非担当医或いは当クリニックの医師にご相談になる事をお勧め致します。私達は手術をお受け頂いた患者様が少しでも最良の結果が出る事を望み手術に携わっております。当クリニックで手術をされ、お一人で御心配になっているのは心苦しいのが本音です。御理解下さい。
余談になりますが、昨日日本皮膚科学会があり私は発表をして来ました。その時ある皮膚科医から個人的にご質問を頂きました。その医師は昔パンチグラフトの手術をなさっていた経験が少しあったようです。現在自毛移植術を再度始めようかと思っていらっしゃるようです。「男性型脱毛症に対し自毛移植術の手術を数多く行うと、トラブルやクレームが多いのではないでしょうか?」とご質問されました。私は「自毛移植術の中でもFUT法はトラブルがないと言っても過言ではない位です。また、術後経過の中で患者様からのクレームなどがあってもこの術式は必ず結果が付いてくるので、しっかり対応すれば結果が出る時期には全ての患者様が最低でもある程度の満足をして頂ける。もし自毛移植術を行うならば、術前から結果が悪いと判断できる術式を行うのは避け、世界の最新の標準術式である手作業で行うFUT法を行い、経験は大切ですが経験が少なくても医師や看護師が手を抜かずまじめに丁寧に手術に取り組めば必ず結果は付いて来ます。この手術は芸術と同じように思います。」とお答え致しました。学会発表では抜毛症への自毛移植についての物でしたが、私は発表の最後に『脱毛症に対し効果を得られない薬物療法を永遠と行う事は止め、戦前世界で初めて皮膚科医奥田医師がこの手術を行い報告しているので、日本の皮膚科医、特に若手が是非この自毛移植術を行い国内の脱毛症でお悩みになっている方を治療して下さい。そしてもう一度日本から新しい医療情報を発信し盛り上げて頂きたい。』とお願いして来ました。
医師 富永