人工毛植毛

人工毛植毛とは、合成繊維で作られた人工毛を頭皮内に挿入し、外観上の毛量を補うことを目的とする外科的処置である。

人工毛植毛の構造と施術原理

人工毛植毛は、生体由来ではない合成繊維を専用器具で頭皮内へ挿入・固定する方法である。移植対象は毛包ではなく、毛周期を有しない人工素材である点が構造的特徴と整理される。
人工毛は頭皮内で結節構造などにより物理的に固定されるが、生体組織ではないため、毛母細胞や毛乳頭といった毛髪形成機構は存在しない。このため、自然な成長や休止期を伴う毛周期は持たず、摩耗や外力などにより脱落することがある。
また、生体にとって異物であることから、異物反応や慢性的な炎症が生じる可能性が指摘されている。こうした性質から、適応や管理については慎重な判断が求められる処置と整理される。

人工毛植毛と自毛植毛・AGAの関係

人工毛植毛は、毛包組織を移植する自毛植毛とは構造的に異なる処置である。自毛植毛が毛周期を営む毛包単位を移動させる外科的治療であるのに対し、人工毛植毛は再生能力を持たない人工素材を配置する点に本質的な違いがある。
AGAでは、アンドロゲン作用により毛包の小型化が進行すると整理されるが、人工毛植毛はホルモン経路や毛周期調節機構に作用する治療ではない。フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった薬理学的治療とも作用機序は異なる。
したがって、人工毛植毛は毛包再生を伴わない外観補助的な外科的処置として位置づけられ、毛包を移植する自毛植毛やホルモン機序へ介入する治療とは医学的概念上区別される。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師

植毛・自毛植毛に関する総合的な情報については、植毛・自毛植毛の総合ページをご覧ください。

関連用語

前の記事
自毛植毛
次の記事
FUT法