成長因子

成長因子とは、細胞の増殖・分化・移動などを調節するタンパク質性の情報伝達物質であり、組織修復や再生過程に関与する生理学的因子である。

成長因子の種類と生物学的役割

成長因子は、血小板、マクロファージ、線維芽細胞などから分泌され、標的細胞の受容体に結合することで細胞内シグナル伝達を誘導すると整理される。代表例としてPDGF(血小板由来成長因子)、TGF-β(トランスフォーミング増殖因子β)、VEGF(血管内皮増殖因子)などが挙げられる。
これらは創傷治癒、血管新生、細胞増殖、分化調節などの生理過程と関連する。ホルモンが血流を介して遠隔臓器へ作用する内分泌因子であるのに対し、成長因子は主に局所環境で機能する傍分泌的シグナルとして整理される点に特徴がある。
毛包は活発な細胞分裂を行う組織であり、毛乳頭や毛母細胞の機能は周囲の成長因子環境と関連すると考えられている。毛周期の調節においても、局所シグナルの一部として成長因子が関与することが報告されている。

成長因子とPRP療法・毛周期の関係

PRP療法では、自己血液から抽出した多血小板血漿に含まれる成長因子を利用する。血小板由来成長因子が毛包周囲の微小環境へ作用する可能性が研究対象となっている。
一方、AGAはアンドロゲン作用と毛包の遺伝的感受性に基づく脱毛症であり、5α還元酵素やジヒドロテストステロン(DHT)を介するホルモン機序とは作用軸が異なる。
したがって、成長因子は再生医療的アプローチの基礎概念であり、PRP療法などを理解するための上位生物学概念として整理され、AGA治療薬のホルモン作用とは区別される。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師

植毛・自毛植毛に関する総合的な情報については、植毛・自毛植毛の総合ページをご覧ください。

関連用語

前の記事
PRP療法
次の記事
エクソソーム