頭頂部・つむじの植毛 必要株数・費用・難しさ・経過を解説【医師監修】

結論サマリー
頭頂部・つむじにも自毛植毛を行うことは可能です。後頭部や側頭部などから採取した毛髪を、薄毛が気になる頭頂部へ毛包単位で移植します。ただし、必要な株数は一律ではなく、薄毛の面積、既存毛の量、毛髪の太さ、希望する密度などによって大きく異なります。
頭頂部への自毛植毛は可能ですが、生え際や前頭部とは異なる難しさがあります。これは、頭頂部では移植毛が生着しにくいという意味ではありません。つむじを中心とした複雑な毛流れや移植する方向・角度を考慮する必要があり、さらに頭頂部は薄毛の範囲が広くなりやすいため、生え際や前頭部とのドナー配分も重要になります。将来的にAGAが進行する可能性も考えながら、限られたドナーをどの範囲へどの程度使用するかを計画する必要があります。
頭頂部への植毛では、500株程度の比較的小規模な移植から、1,000~1,500株程度、薄毛範囲によっては2,000株以上を検討する場合もあります。ただし、同じ株数を移植しても薄毛の面積や既存毛、髪質によって見た目の変化は異なります。費用についても必要株数やFUT法・FUE法などの術式によって変わり、移植した毛髪が成長して仕上がりを評価できるようになるまでには一定の期間が必要です。
【要点】
・頭頂部・つむじにも自毛植毛を行うことは可能
・必要株数は薄毛の面積、既存毛、髪質、希望する密度などによって異なる
・小範囲では500株程度から、状態によっては1,000~1,500株、2,000株以上を検討する場合もある
・頭頂部では、つむじ特有の毛流れや移植する方向・角度を考慮したデザインが重要
・頭頂部は薄毛範囲が広くなりやすく、多くのドナーを必要とする場合がある
・生え際や前頭部にも薄毛がある場合には、限られたドナーをどこへ配分するかを考える必要がある
・FUT法、FUE法のどちらでも頭頂部への植毛は可能で、必要株数やドナーの状態などから術式を検討する
・移植後すぐに完成するわけではなく、毛髪が成長して仕上がりを確認できるまでには時間がかかる
本コラムでは、頭頂部・つむじへの自毛植毛に必要な株数、頭頂部への植毛が難しいといわれる理由、つむじのデザイン、500株・1,000株・1,500株・2,000株での考え方、FUT法とFUE法の違い、費用、術後の経過、AGAの進行との関係、症例などについて詳しく解説していきます。
- 1. 結論サマリー
- 2. 頭頂部・つむじへの自毛植毛とは
- 2.1. 頭頂部にも自毛植毛はできる
- 2.2. 後頭部・側頭部の毛髪を頭頂部へ移植する
- 2.3. AGA治療薬と自毛植毛の違い
- 3. 頭頂部の自毛植毛は何株必要?
- 3.1. 「株(グラフト)」とは
- 3.2. 頭頂部の状態による必要株数の目安
- 3.3. 必要株数は薄毛の面積だけでは決まらない
- 4. 500株・1,000株・1,500株・2,000株ではどのくらい違う?
- 4.1. 頭頂部に500株移植する場合
- 4.2. 頭頂部に1,000株移植する場合
- 4.3. 頭頂部に1,500株移植する場合
- 4.4. 頭頂部に2,000株以上移植する場合
- 4.5. 株数が多ければ多いほどよいわけではない
- 5. 頭頂部への自毛植毛が難しいといわれる理由
- 5.1. つむじの毛流れが複雑
- 5.2. 頭頂部は薄毛の範囲が広くなりやすい
- 5.3. 既存毛のAGA進行も考える必要がある
- 5.4. 生え際・前頭部とのドナー配分が重要
- 6. 頭頂部の植毛ではつむじのデザインが重要
- 6.1. つむじの位置を確認する
- 6.2. 毛流れに合わせて移植する方向を変える
- 6.3. 移植する角度も見た目に影響する
- 6.4. 既存毛とのつながりを考える
- 6.5. 密度だけを高くすれば自然になるわけではない
- 7. 頭頂部はなぜ同じ株数でも薄く見えることがある?
- 7.1. つむじから毛髪が放射状に広がる
- 7.2. 頭頂部は薄毛が「面」として広がりやすい
- 7.3. 上からの光で頭皮が目立ちやすい
- 7.4. 毛髪の太さや1株あたりの毛髪数でも見え方が変わる
- 7.5. 「生着率」と「見た目の密度」は別に考える
- 8. 頭頂部への自毛植毛はFUT法とFUE法のどちらが適している?
- 8.1. FUT法による頭頂部への自毛植毛
- 8.2. FUE法による頭頂部への自毛植毛
- 8.3. 必要株数が多い場合はドナーの使い方も重要
- 8.4. FUT法とFUE法に一律の優劣はない
- 9. 頭頂部への自毛植毛の費用
- 9.1. 費用は必要株数と術式によって変わる
- 9.2. 500株・1,000株・1,500株・2,000株の費用例
- 9.3. 頭頂部40~60cm²では約1,300~1,500株が目安となるケースもある
- 9.4. 頭頂部だけでなく頭部全体の費用も考える
- 10. 頭頂部への自毛植毛の経過
- 10.1. 手術直後
- 10.2. 術後1~2週間
- 10.3. 術後1~3か月
- 10.4. 術後3~6か月
- 10.5. 術後6~9か月
- 10.6. 術後9か月~1年
- 10.7. 頭頂部の仕上がりは短期間で判断しない
- 11. 頭頂部への植毛後もAGAは進行する?
- 11.1. 移植毛と既存毛は分けて考える
- 11.2. 周囲の既存毛が薄くなると再び地肌が目立つことがある
- 11.3. 将来のAGA進行を想定して移植範囲を決める
- 11.4. 植毛後にAGA治療薬を併用する場合もある
- 12. 頭頂部への自毛植毛が向いているケース・慎重に検討したいケース
- 13. 頭頂部への自毛植毛のデメリット・リスク
- 13.1. 希望する密度まで改善しない場合がある
- 13.2. ショックロスが起こることがある
- 13.3. 赤み・腫れ・痛みなどが生じることがある
- 13.4. ドナー部分に傷跡が残る
- 13.5. つむじの毛流れが不自然になる可能性がある
- 13.6. AGAが進行すると周囲の既存毛が薄くなることがある
- 13.7. 使用できるドナーには限りがある
- 13.8. 結果が分かるまで時間がかかる
- 14. 頭頂部への自毛植毛で後悔・失敗のリスクを減らすために確認したいポイント
- 15. 頭頂部・つむじの自毛植毛症例
- 16. 症例
- 16.1. 症例の株数をそのまま自分に当てはめない
- 17. 頭頂部・つむじの自毛植毛に関するよくある質問
- 17.1. Q. 頭頂部やつむじにも自毛植毛はできますか?
- 17.2. Q. 頭頂部の植毛には何株くらい必要ですか?
- 17.3. Q. つむじに500株では少ないですか?
- 17.4. Q. 頭頂部に1,000株植毛するとどのくらい変わりますか?
- 17.5. Q. 頭頂部に1,500株必要になるのはどのくらいの範囲ですか?
- 17.6. Q. 頭頂部への自毛植毛は難しいですか?
- 17.7. Q. 頭頂部は他の部位より生着率が低いのですか?
- 17.8. Q. つむじの毛流れは自毛植毛で再現できますか?
- 17.9. Q. 頭頂部にはFUT法とFUE法のどちらが適していますか?
- 17.10. Q. 頭頂部への自毛植毛はいくらかかりますか?
- 17.11. Q. 頭頂部の植毛はいつ頃から生えてきますか?
- 17.12. Q. 頭頂部へ植毛した後もAGA治療は必要ですか?
- 17.13. Q. 生え際と頭頂部を同時に植毛できますか?
- 17.14. Q. 頭頂部へ追加植毛することはできますか?
- 18. まとめ
頭頂部・つむじへの自毛植毛とは
頭頂部・つむじへの自毛植毛とは、後頭部や側頭部などから自身の毛髪を毛包単位で採取し、薄毛が気になる頭頂部へ移植する治療です。AGA(男性型脱毛症)によって頭頂部の毛髪が減少し、地肌が目立つようになった場合にも、自毛植毛によって毛髪を補うことができます。
移植には自身の毛髪を使用するため、移植した毛髪が生着した後は、その場所で毛周期を繰り返しながら成長していきます。一方で、頭頂部に残っている既存毛については、その後もAGAの影響を受ける可能性があるため、現在の薄毛だけでなく将来の進行も考えた治療計画が重要です。
頭頂部にも自毛植毛はできる
自毛植毛は生え際や前頭部だけでなく、頭頂部やつむじ周囲にも行うことができます。
ただし、頭頂部ではつむじを中心として毛髪が放射状や渦状に生えているため、生え際とは異なるデザインが必要になります。また、薄毛の範囲が広い場合には多くの株数が必要になることもあり、使用できるドナー量とのバランスを考える必要があります。
そのため、頭頂部への自毛植毛では「薄くなっている部分へ毛髪を追加する」というだけではなく、既存のつむじの位置や毛流れ、薄毛範囲、既存毛の状態などを確認しながら移植範囲や株数を決めていきます。
後頭部・側頭部の毛髪を頭頂部へ移植する
自毛植毛では、一般的に後頭部や側頭部などの毛髪をドナーとして使用します。これらの部位の毛髪は、AGAの影響を比較的受けにくい性質を持っています。
採取した毛包は1株ずつ頭頂部へ移植し、移植後に生着すると、その毛包から再び毛髪が成長します。移植した毛髪は、採取元である後頭部や側頭部の性質を維持するため、AGAの影響を受けにくいことが自毛植毛の特徴です。
一方で、採取できるドナーには限りがあります。特に頭頂部だけでなく、生え際や前頭部にも薄毛がある場合には、頭部全体を見ながら限られたドナーをどこへどの程度使用するかを考える必要があります。
AGA治療薬と自毛植毛の違い
AGAによる頭頂部の薄毛には、フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジル外用薬などの薬物治療が用いられることがあります。
薬物治療は、AGAの進行を抑えたり、残っている毛髪の成長を促したりすることを目的とした治療です。一方、自毛植毛は、毛髪が少なくなった部分へ自身の毛包を移植し、毛髪そのものを補う治療です。
そのため、薬物治療と自毛植毛はどちらか一方が優れているというものではなく、薄毛の進行度や既存毛の状態、希望する改善の程度などによって役割が異なります。既存毛が多く残っている場合には薬物治療を中心に検討し、薄毛が進行して毛髪が少なくなった部分では自毛植毛を選択肢として検討することがあります。
また、自毛植毛を行った場合でも、移植していない既存毛ではAGAが進行する可能性があるため、状態によっては植毛後もAGA治療薬を併用することがあります。
頭頂部の自毛植毛は何株必要?
頭頂部への自毛植毛に必要な株数は、薄毛の範囲や既存毛の状態によって異なります。つむじ周囲の比較的小さな範囲であれば500株程度から検討される場合がありますが、頭頂部の薄毛がある程度広がっている場合には1,000~1,500株程度、さらに広範囲になると2,000株以上が必要になることもあります。
ただし、「頭頂部なら何株」と一律に決めることはできません。同じ面積であっても、既存毛がどの程度残っているか、毛髪の太さ、1株に含まれる毛髪数、希望する密度などによって、必要な株数や仕上がりの見え方は変わります。
また、頭頂部だけでなく生え際や前頭部にも薄毛がある場合には、頭頂部だけに多くのドナーを使用するのではなく、将来的なAGAの進行も考慮しながら頭部全体への配分を検討することが重要です。
「株(グラフト)」とは
自毛植毛で使用される「株(グラフト)」とは、毛髪そのものの本数ではなく、毛包単位を数える単位です。
1つの毛穴から生えている毛髪は必ずしも1本とは限らず、1株に1本の毛髪が含まれることもあれば、2本や3本以上の毛髪が含まれることもあります。そのため、例えば1,000株を移植したからといって、移植される毛髪が1,000本という意味ではありません。
自毛植毛では、必要株数だけでなく、各株に含まれる毛髪数や毛髪の太さなども、移植後の密度感や見た目に影響します。
頭頂部の状態による必要株数の目安
頭頂部への自毛植毛では、おおよそ次のような株数が検討される場合があります。
| 頭頂部の状態 | 必要株数の考え方 |
| つむじ周囲の比較的小さな範囲 | 500株前後から検討される場合がある |
| つむじ周囲を中心とした薄毛 | 1,000株前後が必要になる場合がある |
| 頭頂部の一定範囲に薄毛が広がっている | 1,000~1,500株程度を検討する場合がある |
| 頭頂部の広い範囲に薄毛がある | 2,000株以上が必要になる場合がある |
| 前頭部から頭頂部まで広範囲に薄毛がある | 頭部全体の配分や複数回の手術を含めて検討する場合がある |
これらはあくまで目安であり、同じ程度の薄毛に見えても必要株数は個人ごとに異なります。特に頭頂部では、つむじから毛髪が放射状に広がるため、移植する面積だけでなく、毛流れや既存毛との重なりも考慮して株数を決める必要があります。
必要株数は薄毛の面積だけでは決まらない
自毛植毛では、薄毛になっている面積が広いほど必要株数も多くなる傾向がありますが、面積だけで株数を決めることはできません。
例えば、同じ大きさの頭頂部の薄毛でも、既存毛がある程度残っている場合には、その間へ毛髪を補うことで見た目の密度を改善できることがあります。一方、既存毛が少ない場合には、同じ範囲でもより多くの株数が必要になることがあります。
また、毛髪が太い方と細い方、直毛とくせ毛、頭皮と毛髪の色の差などによっても、同じ株数を移植した際の見え方は異なります。
そのため、必要株数を考える際には、「頭頂部の面積が何cm²だから何株」と単純に計算するのではなく、薄毛の範囲、既存毛、髪質、希望する密度、使用できるドナー量などを総合的に確認することが重要です。
500株・1,000株・1,500株・2,000株ではどのくらい違う?
頭頂部への自毛植毛では、移植する株数によって対応できる薄毛の範囲や、期待できる密度感が異なります。ただし、同じ株数でも薄毛の面積、既存毛の量、毛髪の太さ、1株に含まれる毛髪数などによって仕上がりは変わるため、「○株なら必ずこの程度改善する」と一律に考えることはできません。
ここでは、頭頂部へ500株・1,000株・1,500株・2,000株を移植する場合について、それぞれどのようなケースで検討されることがあるのかを解説します。
頭頂部に500株移植する場合
500株は、自毛植毛としては比較的小規模な移植です。つむじ周囲の限られた範囲に薄毛があり、既存毛がある程度残っている場合には、500株程度でも密度を補う目的で検討されることがあります。
一方、頭頂部全体に薄毛が広がっている場合には、500株を広い範囲へ分散して移植すると、1cm²あたりの移植密度が低くなり、十分な変化を感じにくい可能性があります。
そのため500株の場合は、「頭頂部全体を改善する」というよりも、つむじ周囲など改善したい範囲を限定して移植するケースに向いていることがあります。
頭頂部に1,000株移植する場合
1,000株になると、つむじ周囲を中心としたある程度の範囲へ移植できるようになります。
既存毛が残っている頭頂部では、その間へ移植毛を加えることで密度感を補える場合があります。一方、既存毛がほとんど残っていない場合や、薄毛の範囲が広い場合には、1,000株でも十分な密度を確保できないことがあります。
また、同じ1,000株でも、狭い範囲へ集中して移植する場合と、広い範囲へ分散する場合では仕上がりの見え方が大きく異なります。
頭頂部に1,500株移植する場合
1,500株程度になると、つむじ周囲から頭頂部にかけて一定の範囲に薄毛が広がっているケースでも検討されることがあります。
特に、頭頂部の面積がある程度広く、既存毛の密度も低下している場合には、1,000株程度では移植密度が不足するため、1,500株前後が必要になることがあります。
ただし、1,500株すべてを頭頂部へ使用するかどうかは、生え際や前頭部の薄毛、今後のAGA進行、使用できるドナー量なども含めて判断する必要があります。
頭頂部に2,000株以上移植する場合
頭頂部の薄毛が広範囲に及んでいる場合には、2,000株以上の移植が検討されることがあります。
頭頂部は、生え際のような線ではなく「面」として薄毛が広がるため、範囲が大きくなると必要株数も増えやすくなります。また、前頭部から頭頂部まで薄毛が連続している場合には、2,000株以上でも頭部全体を十分な密度でカバーできないことがあります。
このような広範囲の薄毛では、1回の手術ですべてを改善しようとするのではなく、生え際・前頭部・頭頂部のどこを優先するかを決めたり、将来的な追加植毛を想定してドナーを残したりすることも重要です。
株数が多ければ多いほどよいわけではない
頭頂部の薄毛を改善するうえで、移植株数は重要な要素ですが、単純に株数を増やせばよいというものではありません。
自毛植毛に使用できる後頭部や側頭部のドナーには限りがあります。AGAが進行すると、将来、生え際や前頭部など別の部位にも追加植毛が必要になる可能性があります。
そのため、現在の頭頂部だけに多くのドナーを使用するのではなく、薄毛の範囲や希望する仕上がり、今後のAGA進行などを踏まえて、必要な範囲へ適切な株数を配分することが重要です。
また、同じ株数でも、どの範囲に、どの密度で、どのような毛流れをつくって移植するかによって見た目の印象は変わります。頭頂部への自毛植毛では、単純な株数だけでなく、移植範囲と密度、つむじのデザイン、将来のドナー計画まで含めて考える必要があります。
頭頂部への自毛植毛が難しいといわれる理由
頭頂部への自毛植毛は可能ですが、生え際や前頭部とは異なる点を考慮して治療計画を立てる必要があります。 特に、つむじ特有の複雑な毛流れを再現すること、広い薄毛範囲に対して限られたドナーをどのように配分するか、将来的なAGAの進行まで考えることが重要です。
「頭頂部への植毛は難しい」といわれることがありますが、これは必ずしも頭頂部では移植毛が生着しにくいという意味ではありません。主に、自然なつむじを再現するためのデザインや、必要株数とドナー量のバランス、移植後の見た目の密度などを考慮する必要があるという点で、生え際とは異なる難しさがあります。
つむじの毛流れが複雑
頭頂部の毛髪は、つむじを中心として渦を描くように生えています。一定方向へ毛髪が流れる生え際などとは異なり、つむじの周囲では場所によって毛髪の向きが少しずつ変化します。
自毛植毛では、この既存の毛流れに合わせながら移植する毛髪の方向や角度を調整する必要があります。毛流れを十分に考慮せずに移植すると、毛髪が成長した際につむじ周囲だけ流れが不自然に見える可能性があります。
そのため頭頂部では、単に薄い部分へ一定の密度で植えるだけではなく、つむじの位置や回転方向、周囲の既存毛とのつながりまで考えたデザインが重要になります。
なお、紀尾井町クリニック所属医師らは、つむじの毛流れと複数の毛髪を含む毛包の自然な配向について、100名の男性を対象として調査した研究を2006年に医学誌「Dermatologic Surgery」で報告しています。頭頂部への自毛植毛では、つむじの回転方向だけでなく、自然な毛包の向きも考慮して移植することが重要です。
頭頂部は薄毛の範囲が広くなりやすい
AGAによる頭頂部の薄毛は、つむじの中心だけでなく、その周囲へ円形や楕円形に広がることがあります。
薄毛の範囲が広がるほど、同じ移植密度を確保するために必要となる株数も増えていきます。そのため、生え際の一部分を改善する場合と比較すると、頭頂部では多くのドナーが必要になるケースがあります。
限られた株数を広い範囲へ分散して移植すると、1cm²あたりの密度が低くなり、十分な変化を感じにくくなる場合があります。どこまでを移植範囲とするかも重要な治療計画のひとつです。
既存毛のAGA進行も考える必要がある
自毛植毛で移植した毛髪はAGAの影響を受けにくい性質を維持しますが、頭頂部に残っている既存毛については、その後もAGAによって細くなったり、抜けたりする可能性があります。
手術時には自然な密度に見えていても、その後周囲の既存毛が減少すると、移植毛だけが残って再び地肌が目立つことも考えられます。
そのため頭頂部への自毛植毛では、現在薄く見えている範囲だけではなく、今後どのようにAGAが進行する可能性があるのかまで考えたうえで、移植範囲や株数を決めることが重要です。
生え際・前頭部とのドナー配分が重要
AGAでは、頭頂部だけでなく、生え際や前頭部にも薄毛が進行する場合があります。
自毛植毛に使用できる後頭部や側頭部のドナーには限りがあるため、頭頂部だけに多くの株数を使用すると、将来的に生え際や前頭部への植毛を希望した際に使用できるドナーが不足する可能性があります。
特に薄毛が広範囲に及んでいる場合には、「現在もっとも気になる部分」だけで移植範囲を決めるのではなく、生え際・前頭部・頭頂部を含めた頭部全体のバランスと、将来的に必要となる可能性のあるドナーまで考えて治療計画を立てることが重要です。
このように、頭頂部への自毛植毛では、生着そのものだけではなく、つむじの毛流れ、移植範囲、密度、既存毛のAGA進行、限られたドナーの配分まで含めて計画する必要があることが、頭頂部への植毛が難しいといわれる主な理由です。
頭頂部の植毛ではつむじのデザインが重要
頭頂部への自毛植毛では、移植する株数や密度だけでなく、つむじ本来の毛流れをどのように再現するかが自然な仕上がりを左右します。
つむじ周囲の毛髪は、中心から一定方向へまっすぐ生えているわけではありません。つむじを中心として渦を描きながら方向が少しずつ変化し、周囲の毛髪へとつながっています。そのため、頭頂部へ一律の方向や角度で移植すると、毛髪が成長した際に周囲の既存毛となじまず、不自然に見える可能性があります。
つむじの位置を確認する
頭頂部への植毛では、まず既存のつむじがどこにあるのかを確認することが重要です。
AGAが進行すると、つむじ周囲の毛髪が細くなったり失われたりすることで、つむじの中心や毛流れが分かりにくくなる場合があります。しかし、残っている毛髪の方向などを確認することで、もともとのつむじの位置や流れを推測できることがあります。
自然な仕上がりを目指すためには、単に薄毛部分の中央につむじを新しくつくるのではなく、既存の毛流れとのつながりを考えてデザインする必要があります。
毛流れに合わせて移植する方向を変える
つむじでは、中心から離れるにつれて毛髪が少しずつ異なる方向へ流れています。
そのため自毛植毛では、移植範囲全体へ同じ方向に毛髪を配置するのではなく、それぞれの位置に応じて移植する方向を変えていきます。
既存毛が残っている部分では、その毛流れに合わせることも重要です。移植毛と既存毛の方向が大きく異なると、成長後に毛髪同士が交差したり、一部分だけ流れが不自然に見えたりする可能性があります。
移植する角度も見た目に影響する
毛髪は頭皮から垂直に生えているわけではなく、頭皮に対して一定の角度を持って生えています。
頭頂部でも、つむじを中心とした毛流れに合わせて移植する角度を調整する必要があります。毛髪を立てすぎると頭皮が透けて見えやすくなる場合があり、周囲の毛髪とのなじみにも影響します。
反対に、適切な方向と角度で毛髪が重なることで、限られた株数でも頭皮を覆うような見え方をつくりやすくなります。
既存毛とのつながりを考える
頭頂部の薄毛では、毛髪が完全になくなっているケースだけでなく、細く短くなった既存毛が残っているケースも多くあります。
このような場合には、既存毛を避けながら移植するとともに、成長した移植毛が周囲の毛髪となじむように方向や配置を考える必要があります。
また、既存毛はその後もAGAによって薄くなる可能性があります。そのため、現在残っている毛髪だけを基準にデザインすると、将来的に既存毛が減少した際に移植部分との境界が目立つことがあります。現在だけでなく、将来的なAGAの進行まで考えたデザインが重要です。
密度だけを高くすれば自然になるわけではない
自毛植毛では、1cm²あたりに多くの株を移植すれば、それだけ自然な仕上がりになるとは限りません。
特に頭頂部では、つむじの位置、毛流れ、移植する方向や角度、周囲の既存毛との重なりによって、同じ株数でも見た目の密度感が変わります。
限られたドナーを有効に使用するためにも、単純に高密度で移植することだけを目的とするのではなく、どの位置に、どの方向で、どのように毛髪を配置すれば自然に頭皮を覆えるかまで考えることが重要です。
頭頂部はなぜ同じ株数でも薄く見えることがある?
頭頂部では、同じ株数を移植しても、生え際や前頭部と比べて密度が低く見える場合があります。 これは、移植毛が生着しにくいという意味ではなく、頭頂部特有の毛流れや薄毛の広がり方、髪質、頭皮とのコントラストなどによって、見た目の密度感が変わるためです。
そのため、頭頂部への自毛植毛では「何株移植したか」だけで仕上がりを考えるのではなく、どの範囲へどのように配置するかまで含めて治療計画を立てることが重要です。
つむじから毛髪が放射状に広がる
生え際や前頭部では、毛髪がおおむね後方や斜め方向へ重なることで頭皮を覆いやすくなります。
一方、頭頂部ではつむじを中心として毛髪が複数の方向へ放射状に広がります。そのため、同じ本数の毛髪を移植しても、一定方向へ毛髪が重なる部位と比べると、頭皮を覆う効果が分散しやすくなります。
特に、つむじの中心部分では毛髪がさまざまな方向へ分かれるため、正常な状態でもある程度地肌が見えることがあります。自毛植毛後も、つむじ本来の構造を再現すると中心部分の頭皮が完全に見えなくなるとは限りません。
頭頂部は薄毛が「面」として広がりやすい
頭頂部のAGAは、つむじ周囲から円形や楕円形に薄毛が広がることがあります。
例えば1,000株を狭い範囲へ移植する場合と、広い範囲へ移植する場合では、1cm²あたりに配置できる株数が異なります。薄毛範囲が広いほど同じ株数を分散して配置することになるため、見た目の密度も低くなりやすくなります。
そのため、頭頂部の広範囲に薄毛がある場合には、限られた株数を全体へ薄く広げるのか、改善したい範囲を絞って密度を確保するのかといった判断も必要になります。
上からの光で頭皮が目立ちやすい
頭頂部は、照明や太陽光などが上から直接当たりやすい部位です。
そのため、実際には一定の毛髪が生えていても、強い光が当たる環境では毛髪の隙間から頭皮が透けて見えやすくなります。特に毛髪が細い場合や、頭皮と毛髪の色の差が大きい場合には、この傾向が目立つことがあります。
自毛植毛の仕上がりを確認する際にも、撮影する場所や照明、髪の長さ、髪が濡れているかどうかなどによって見え方が変わるため、できるだけ同じ条件で比較することが重要です。
毛髪の太さや1株あたりの毛髪数でも見え方が変わる
同じ1,000株を移植しても、移植される毛髪の総本数や太さは個人ごとに異なります。
1株に含まれる毛髪が1本中心の場合と、2~3本毛が多く含まれる場合では、同じ株数でも移植される毛髪の総本数に差が生じます。また、太い毛髪は細い毛髪よりも頭皮を覆いやすいため、見た目の密度感にも違いが出ます。
そのため、「1,500株だから十分」「1,000株だから少ない」と株数だけで仕上がりを予測することはできません。
また、頭頂部に残っている既存毛は、その後もAGAによって細くなったり減少したりする可能性があり、移植後の見た目の密度にも影響します。植毛後のAGA進行については、後述の「頭頂部への植毛後もAGAは進行する?」で詳しく解説します。
「生着率」と「見た目の密度」は別に考える
頭頂部が薄く見えるからといって、必ずしも移植毛の生着率が低かったということではありません。
移植した毛髪が生着していても、薄毛範囲が広い、毛髪が細い、つむじから毛髪が放射状に広がっている、周囲の既存毛がAGAによって減少しているなどの理由によって、期待したほど密度が高く見えない場合があります。
頭頂部への自毛植毛では、移植した株数や生着だけでなく、薄毛の面積、毛髪の太さ、毛流れ、既存毛の状態などを含めて仕上がりを評価することが重要です。
頭頂部への自毛植毛はFUT法とFUE法のどちらが適している?
頭頂部への自毛植毛は、FUT法・FUE法のどちらでも行うことができます。 どちらか一方が頭頂部に必ず適しているというものではなく、必要な株数、ドナーの状態、傷跡に対する希望、過去の植毛歴、将来的な追加植毛の可能性などを考慮して術式を選択します。
特に頭頂部は、薄毛の範囲によって1,000株を超える移植が必要になることもあり、前頭部や生え際にも将来的な植毛が必要になる可能性があります。そのため、現在の手術だけではなく、長期的にどの程度のドナーを確保できるかという視点も重要です。
FUT法による頭頂部への自毛植毛
FUT法は、後頭部などの頭皮を帯状に切除し、そこから毛包単位に株を分離して移植する方法です。
一定の範囲からまとまった数の毛包を採取できるため、頭頂部など比較的多くの株数が必要となるケースでも選択肢になります。また、ドナーエリア全体から毛包を一つずつ抜き取る方法ではなく、生涯にわたって採取できる株数もFUE法より多くなる傾向があるため、将来的に追加の植毛を検討する場合を含めて、ドナーをどのように使用していくかという点でも検討される術式です。
一方で、採取した部分には線状の傷跡が残ります。通常は周囲の毛髪で隠れますが、後頭部を非常に短く刈り上げる髪型では傷跡が見える可能性があります。
FUE法による頭頂部への自毛植毛
FUE法は、専用のパンチを使用して後頭部や側頭部などから毛包単位で1株ずつ採取する方法です。FUT法のような線状の切開・縫合痕は生じませんが、採取した部位には、採取した株数と同数の小さな点状の採取痕が残ります。
FUE法は、比較的小範囲で少ない株数を移植する場合に適した方法のひとつです。一方、採取株数が増えるほど採取範囲も広くなり、後頭部や側頭部の毛髪密度が低下して見える可能性があります。
なお、紀尾井町クリニックでは、こうしたドナー部分への影響や将来的な追加植毛も考慮し、原則として1,000株以上の頭髪への植毛ではFUT法を推奨し、FUE法による植毛は基本的に1,000株未満としています。 実際の術式は、必要株数やドナーの状態、希望する髪型などを確認したうえで判断します。
必要株数が多い場合はドナーの使い方も重要
頭頂部への植毛では、薄毛範囲が広いほど必要株数が増える傾向があります。
例えば、現在は頭頂部だけが気になっていても、AGAが進行すると将来的に生え際や前頭部への植毛を希望する可能性があります。そのため、1回の手術で採取できるかどうかだけではなく、今後も使用できるドナーをどの程度残しておくかを考える必要があります。
特に2,000株以上など比較的大きな移植を検討する場合には、現在の頭頂部だけに多くのドナーを使用することが、将来の治療計画にどのような影響を与えるかまで確認することが重要です。
FUT法とFUE法に一律の優劣はない
FUT法とFUE法は、ドナーを採取する方法が異なる術式であり、どちらが常に優れているというものではありません。
例えば、傷跡の形、希望する髪型、必要株数、頭皮の状態、ドナーの密度、過去の植毛歴などによって適した方法は異なります。また、複数回の自毛植毛を想定する場合には、1回目の手術だけでなく、将来的にどの程度のドナーを使用できるかまで考える必要があります。
頭頂部への自毛植毛では、「頭頂部だからFUT法」「小範囲だから必ずFUE法」と単純に決めるのではなく、必要株数とドナーの状態、将来のAGA進行を含めて術式を検討することが重要です。
ただし、必要株数が多くなる場合には、FUE法によるドナー部分の密度低下や、将来的に使用できるドナー量も考える必要があります。そのため、当院では目安として1,000株以上の頭髪への植毛ではFUT法を推奨しています。
頭頂部への自毛植毛の費用
頭頂部への自毛植毛の費用は、必要な株数と採取方法によって変わります。 頭頂部の薄毛は範囲が広くなるほど必要株数も増えやすいため、500株程度の小規模な移植と、1,500~2,000株以上を移植する場合とでは費用に大きな差が生じます。
また、同じ頭頂部への植毛でも、FUT法とFUE法ではドナーの採取方法が異なるため、料金設定が異なる場合があります。そのため、費用を比較する際には総額だけでなく、必要株数や術式、基本料金などを確認することが重要です。
費用は必要株数と術式によって変わる
自毛植毛では、一般的に移植する株数が多くなるほど費用も高くなります。
例えば、つむじ周囲の比較的小さな範囲であれば500株程度から検討される場合がありますが、頭頂部に薄毛が広がっている場合には1,000~1,500株程度、さらに広範囲では2,000株以上が必要になることもあります。
ただし、必要株数は薄毛の面積だけで決まるものではありません。既存毛の量や毛髪の太さ、希望する密度、将来的なAGAの進行などによっても変わるため、実際の費用は診察で必要株数を確認したうえで算出する必要があります。
500株・1,000株・1,500株・2,000株の費用例
紀尾井町クリニックでは、頭髪の自毛植毛について、FUT法は「手術費22万円+660円×移植株数」、FUE法は「手術費22万円+990円×移植株数」で費用を算出しています。
この料金をもとにした株数別の費用目安は以下のとおりです。
| 移植株数 | FUT法 | FUE法 |
| 500株 | 55万円 | 71万5,000円 |
| 1,000株 | 88万円 | 121万円 |
| 1,500株 | 121万円 | 170万5,000円 |
| 2,000株 | 154万円 | 220万円 |
※ いずれも税込の目安です。別途、術前の感染症チェックのための血液検査が必要となります。現在、院内で受ける場合は4,000円(税込)です。
※ FUE法の金額については、当院の料金体系に基づいて算出した費用の目安です。当院では、原則として1,000株以上の頭髪への植毛ではFUT法を推奨しています。FUE法が適しているか、また何株まで採取できるかについては、ドナーの状態などを診察したうえで判断します。
※ 最新の料金については「植毛の費用・料金」をご確認ください。
このように、同じ株数でもFUT法とFUE法では費用が異なります。ただし、費用だけで術式を決めるのではなく、必要株数やドナーの状態、希望する髪型、傷跡に対する考え方、将来的な追加植毛の可能性などを含めて検討することが重要です。
頭頂部40~60cm²では約1,300~1,500株が目安となるケースもある
頭頂部の薄毛がある程度広がっている場合には、1,000株を超える移植が必要になることがあります。
当院の費用例では、頭頂部(つむじ周囲)の植毛について、植毛範囲40~60cm²、植毛株数約1,200~1,800株をひとつの目安として掲載しています。この場合、FUT法では約101~140万円、FUE法では約140~200万円が目安となっています。なお、この程度の株数が必要となる場合、当院では原則としてFUT法を推奨しています。
ただし、これはあくまで一例です。同じ40~60cm²程度の範囲でも、既存毛が多く残っている場合と、ほとんど毛髪が残っていない場合では必要株数が異なる場合もあります。
頭頂部だけでなく頭部全体の費用も考える
AGAが進行している場合には、現在は頭頂部だけが気になっていても、将来的に生え際や前頭部への植毛が必要になることがあります。
そのため、頭頂部の費用だけを見て「何株まで植えられるか」を考えるのではなく、将来的な追加植毛の可能性や、使用できるドナー量も含めて治療計画を立てることが重要です。
特に広範囲の薄毛では、1回ですべての範囲へ高い密度で移植するのではなく、優先する部位を決めたり、複数回に分けたりする場合もあります。自毛植毛の費用を考える際には、今回の手術費用だけでなく、今後のAGA進行とドナー計画まで含めて検討することが大切です。
頭頂部への自毛植毛の経過
頭頂部への自毛植毛は、手術直後に完成する治療ではありません。 移植した毛髪はいったん抜け落ちた後、移植した毛包から新しい毛髪が成長し、徐々に太く長くなっていきます。個人差はありますが、一般的には術後3~6か月頃から変化が現れ始め、6か月以降に毛量が増え、1年前後を目安に仕上がりを確認していきます。
頭頂部では、つむじから毛髪が放射状に広がることや、上から光が当たりやすいことなどから、毛髪が成長していても生え際や前頭部と比べて変化を感じにくい場合があります。そのため、術後の経過は短期間だけで判断せず、一定期間をかけて確認することが重要です。
手術直後
手術直後は、移植した株が頭皮に定着する前の段階です。移植部分には小さなかさぶたや赤みがみられ、採取したドナー部分にも術式に応じた傷があります。
この時期は、移植した毛包を安定させることが重要です。頭皮を強くこすったり、移植部分に強い刺激を加えたりしないよう、術後の指示に沿って過ごします。
頭頂部には移植した短い毛髪が残っているため、一時的に毛量が増えたように見えることがありますが、この毛髪の多くはそのまま伸び続けるわけではありません。
術後1~2週間
術後1~2週間程度すると、移植部分のかさぶたや赤みは徐々に落ち着いていきます。
移植した毛包が頭皮に定着してくる時期でもあり、通常の洗髪や日常生活へ段階的に戻っていきます。ただし、頭皮の状態や術式によって経過には個人差があるため、具体的なケア方法については手術を受けた医療機関の指示に従うことが重要です。
術後1~3か月
移植した毛髪は、術後数週間から数か月の間にいったん抜け落ちることがあります。
これは移植した毛包そのものが失われたという意味ではなく、毛髪が新しい毛周期へ移行する過程でみられる変化です。見た目としては手術前と近い状態に戻ったように感じることもあります。
この時期はまだ発毛が目立たないため、「植毛したのに増えていない」と感じやすい時期ですが、短期間の見た目だけで手術結果を判断することはできません。
術後3~6か月
術後3~6か月頃になると、移植した毛包から新しい毛髪が徐々に生え始めます。
生え始めの毛髪は細く短いことが多く、一度にすべての移植毛が生えてくるわけではありません。そのため、頭頂部全体の密度が急に高くなるのではなく、時間をかけて少しずつ変化していきます。
頭頂部は上から確認しないと変化が分かりにくいため、術前と同じ照明・角度・髪の長さなど、できるだけ同じ条件で写真を撮影して比較すると経過を確認しやすくなります。
術後6~9か月
術後6か月を過ぎると、生えてきた毛髪が徐々に長く太くなり、頭頂部の見た目にも変化を感じやすくなってきます。
ただし、すべての毛髪が同じ時期に成長するわけではないため、6か月の時点ではまだ完成途中です。つむじ周囲では、毛髪が放射状に広がることで地肌が見えることもあるため、単純な毛髪の本数だけでなく、毛流れや既存毛との重なりも含めて変化を確認します。
術後9か月~1年
術後9か月から1年頃になると、移植毛の多くが成長し、毛髪の太さや長さも安定してくるため、頭頂部全体の仕上がりを評価しやすくなります。
自毛植毛の完成時期には個人差がありますが、一般的には術後1年前後をひとつの目安として結果を確認します。その後も毛髪の太さやなじみ方などが変化する場合があります。
頭頂部の仕上がりは短期間で判断しない
頭頂部では、移植毛が順調に成長していても、薄毛範囲の広さやつむじの毛流れ、毛髪の太さ、照明などによって、変化を感じにくい場合があります。
また、頭頂部に残っている既存毛ではAGAがその後も進行する可能性があります。そのため、移植毛の成長だけではなく、周囲の既存毛の変化も含めて経過を確認することが重要です。
自毛植毛は、数週間や数か月だけで結果を判断するのではなく、一般的には1年前後の経過を見ながら仕上がりを評価していく治療です。
頭頂部への植毛後もAGAは進行する?
自毛植毛を行っても、AGA(男性型脱毛症)そのものが治るわけではありません。 移植した毛髪はAGAの影響を受けにくい性質を維持しますが、頭頂部や前頭部に残っている既存毛では、その後もAGAが進行する可能性があります。
そのため、頭頂部への自毛植毛では、現在薄くなっている範囲だけを改善するのではなく、将来的に既存毛がどのように変化する可能性があるかまで考えて移植範囲や株数を決めることが重要です。
移植毛と既存毛は分けて考える
自毛植毛では、一般的にAGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の毛髪を採取して、頭頂部へ移植します。
移植した毛包は、採取元の性質を維持したまま移植先で成長するため、頭頂部へ移した後もAGAの影響を比較的受けにくいという特徴があります。
一方、もともと頭頂部に生えている既存毛は、移植を行ったことによってAGAの影響を受けなくなるわけではありません。そのため、移植毛が成長した後も、周囲の既存毛が徐々に細く短くなることがあります。
周囲の既存毛が薄くなると再び地肌が目立つことがある
既存毛が残っている頭頂部へ自毛植毛を行う場合、移植後は既存毛と移植毛が組み合わさることで密度が高く見えることがあります。
しかし、その後AGAが進行して既存毛が減少すると、移植した毛髪が残っていても、その周囲の地肌が目立つようになる場合があります。
特に頭頂部では薄毛が円形や楕円形に広がることがあるため、現在薄くなっている部分だけに移植すると、将来的にその外側の既存毛が薄くなり、移植部分との境界が目立つ可能性もあります。
将来のAGA進行を想定して移植範囲を決める
頭頂部への自毛植毛では、現在の薄毛範囲だけを基準に治療計画を立てるのではなく、今後AGAがどの程度進行する可能性があるかを考慮する必要があります。
例えば、頭頂部だけに薄毛がみられる段階でも、将来的に前頭部や生え際まで薄毛が進行する可能性があります。その場合、追加植毛が必要になることも考えられます。
自毛植毛に使用できるドナーには限りがあるため、1回の手術で頭頂部へ多くの株数を使用しすぎると、将来ほかの部位へ移植するためのドナーが不足する可能性があります。
そのため、現在の見た目の改善だけではなく、将来的な薄毛の範囲や追加植毛の可能性まで含めて、長期的なドナー配分を考えることが重要です。
植毛後にAGA治療薬を併用する場合もある
自毛植毛後も既存毛のAGA進行を抑える目的で、フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジル外用薬による治療を併用する場合があります。
自毛植毛は毛髪が少なくなった部分へ毛包を移植する治療であり、AGA治療薬は既存毛の進行を抑えたり、発毛を促したりすることを目的とするため、それぞれ役割が異なります。
そのため、植毛を行えば必ずAGA治療が不要になるわけでも、すべての方に薬物治療が必要になるわけでもありません。年齢やAGAの進行状況、既存毛の状態、副作用のリスクなどを確認したうえで、必要性を判断します。
頭頂部への自毛植毛では、「移植毛を生やすこと」と「周囲の既存毛を今後どう維持するか」を分けて考えることが、長期的な仕上がりを考えるうえで重要です。
頭頂部への自毛植毛が向いているケース・慎重に検討したいケース
頭頂部の薄毛が気になるすべての方に、自毛植毛が適しているわけではありません。植毛が向いている人・向いていない人については別記事でも詳しく解説しています。薄毛の進行度、既存毛の状態、AGA治療による改善の可能性、使用できるドナー量、希望する仕上がりなどを総合的に確認して検討することが重要です。
| 区分 | 主なケース |
| 自毛植毛を検討するケース | 薬物治療だけでは希望する改善が得られない |
| 頭頂部の毛髪が少なくなっている | |
| 必要なドナーを確保できる | |
| 希望する移植範囲・密度と使用できる株数のバランスが取れている | |
| 慎重に検討したいケース | AGAの今後の進行範囲を予測しにくい |
| 前頭部から頭頂部まで広範囲に薄毛がある | |
| 使用できるドナーが少ない、または過去の植毛で多くのドナーを使用している | |
| 限られた株数で非常に高い密度を希望している | |
| AGA以外の脱毛症や頭皮疾患が疑われる |
既存毛が多く残っている場合やAGAの進行状況を確認する必要がある場合には、薬物治療などで経過を確認したうえで自毛植毛を検討することもあります。また、薄毛が広範囲に及ぶ場合には、生え際・前頭部・頭頂部のどこを優先するかを考える必要があります。
頭頂部への自毛植毛では、単に「植毛できるか」だけではなく、「今この範囲に、この株数を使用することが長期的に適切か」まで考えて治療計画を立てることが重要です。
頭頂部への自毛植毛のデメリット・リスク
頭頂部への自毛植毛は、薄毛部分へ自身の毛髪を移植できる治療ですが、手術である以上、デメリットやリスクもあります。また、移植できる毛髪には限りがあり、希望する密度や薄毛の範囲によっては、1回の手術だけで希望する仕上がりに至らない場合もあります。
特に頭頂部では、つむじの毛流れや広い移植範囲、将来的なAGAの進行などを考慮する必要があるため、手術前に期待できる改善の程度やリスクを確認しておくことが重要です。
希望する密度まで改善しない場合がある
自毛植毛では、薄毛になる前と同じ毛髪量をそのまま再現できるとは限りません。
頭頂部は薄毛が広い範囲へ広がりやすく、つむじから毛髪が放射状に生えるため、一定数の株を移植しても地肌が完全に見えなくなるとは限りません。
特に広い範囲へ限られた株数を分散して移植する場合には、改善はみられても、強い照明の下などでは頭皮が透けて見えることがあります。
ショックロスが起こることがある
自毛植毛後には、移植部分の周囲に残っている既存毛が一時的に抜ける「ショックロス」が起こることがあります。
特に頭頂部に細く弱った既存毛が多く残っている場合には、手術後に一時的に薄毛が目立つことがあります。
多くは一時的な変化ですが、もともとAGAによって著しく細くなっていた毛髪では、その後十分に回復しない場合もあります。
赤み・腫れ・痛みなどが生じることがある
自毛植毛は外科手術であるため、術後には移植部やドナー採取部に赤み、腫れ、痛み、かさぶたなどが生じることがあります。
症状の程度や続く期間には個人差があります。また、まれに出血、感染、毛包炎などが生じる可能性もあります。
術後は医師の指示に従い、移植部分やドナー部分へ強い刺激を与えないようにすることが重要です。
ドナー部分に傷跡が残る
自毛植毛では、後頭部や側頭部などから毛包を採取するため、採取部分には術式に応じた傷跡が残ります。
FUT法では線状の傷跡、FUE法では採取した株数と同数の小さな点状の採取痕が残ります。通常は周囲の毛髪で隠れますが、髪を非常に短くした場合などには傷跡が見える可能性があります。
つむじの毛流れが不自然になる可能性がある
頭頂部では、つむじを中心として毛髪が複雑な方向へ流れています。
移植する方向や角度が既存毛と合っていない場合には、成長後の毛流れが不自然に見える可能性があります。
また、一度移植した毛髪の向きを後から簡単に変更することはできないため、頭頂部では手術前のデザインが特に重要になります。
AGAが進行すると周囲の既存毛が薄くなることがある
自毛植毛によって移植した毛髪はAGAの影響を受けにくい性質を維持しますが、周囲の既存毛ではAGAが進行する可能性があります。
そのため、手術後しばらくは自然に見えていても、数年後に既存毛が減少すると、移植毛との間に新たな薄毛部分が生じたり、頭頂部全体の密度が再び低下して見えたりする場合があります。
こうした変化を考慮し、将来のAGA進行まで想定して移植範囲を決めることが重要です。
使用できるドナーには限りがある
自毛植毛では、自身の後頭部や側頭部の毛髪を別の場所へ移動させるため、使用できるドナーは無制限ではありません。
特に頭頂部は広い面積へ多くの株数が必要になる場合があるため、現在の頭頂部だけに多くのドナーを使用すると、将来的に生え際や前頭部へ追加植毛を希望した際に使用できる株数が不足する可能性があります。
そのため、頭頂部への自毛植毛では、今回の仕上がりだけでなく、生涯にわたって使用できるドナーをどのように配分するかという視点も重要です。
結果が分かるまで時間がかかる
自毛植毛は、手術を受けた直後に完成する治療ではありません。
移植した毛髪はいったん抜け落ち、その後新しい毛髪が徐々に成長します。個人差はありますが一般的には数か月かけて変化が現れ、最終的な仕上がりを確認するまでには1年程度を要します。
そのため、短期間で見た目を大きく変えたい場合には、自毛植毛の経過を十分に理解したうえで治療を検討する必要があります。
頭頂部への自毛植毛を検討する際には、メリットだけでなく、得られる密度には限界があること、術後のリスク、将来のAGA進行、限られたドナーを使用する治療であることまで理解したうえで判断することが大切です。
頭頂部への自毛植毛で後悔・失敗のリスクを減らすために確認したいポイント
頭頂部への自毛植毛では、単に「何株植えるか」だけでなく、つむじの毛流れ、薄毛の範囲、既存毛の状態、将来のAGA進行、使用できるドナー量まで含めて治療計画を立てることが重要です。
手術前や症例を確認する際には、次のような点を確認しておきましょう。
・必要株数だけでなく、その株数をどの範囲へどの程度の密度で移植するのか
・つむじの位置や回転方向、移植毛の方向・角度をどのようにデザインするのか
・現在どの程度の既存毛が残っているのか
・今後AGAが進行した場合にどの範囲まで薄毛が広がる可能性があるのか
・生え際・前頭部にも薄毛がある場合、どの部位を優先するのか
・将来的な追加植毛に備えて、どの程度のドナーを残しておくのか
・術後数か月の経過だけで結果を判断しない
・症例を見る際には株数だけでなく、薄毛範囲、既存毛、移植範囲、術後期間も確認する
頭頂部への自毛植毛で後悔や失敗のリスクを減らすためには、目先の株数や密度だけでなく、つむじのデザイン、既存毛のAGA進行、頭部全体のバランス、将来のドナー計画まで含めて判断することが重要です。
頭頂部・つむじの自毛植毛症例
頭頂部への自毛植毛に必要な株数や、術後にどの程度見た目が変化するかは、薄毛の範囲や既存毛の状態によって異なります。そのため、症例を見る際には単純に「何株植えたか」だけでなく、どの範囲に移植したのか、術前にどの程度既存毛が残っていたのか、術後どのくらい経過した写真なのかまで確認することが重要です。
ここでは、頭頂部・つむじ周囲への自毛植毛症例を、薄毛範囲と株数の違いが分かるように紹介します。
症例






副作用と症状
自毛植毛は安全で効果の高い治療法ですが、副作用がないわけではありません。その発生率や程度は、年齢、体質、持病、移植範囲や植毛回数によってかなり個人差が出てきます。以下の症状はどれも一時的なもので、時間の経過とともに、改善します。ときには、症状の緩和のためにお薬を内服していただく場合もあります。
副作用:<痛み、出血、吐き気、移植部位のかさぶたや赤み、額やまぶたの腫れ、かゆみ、しゃっくり等>
症状:<一時的な脱毛(ショックロス)、感染症・膿胞、しびれ、移植毛のくせ等>
※詳しくはコチラのページでご確認下さい。
症例の株数をそのまま自分に当てはめない
症例を見ると、「この程度の薄毛なら1,500株」「自分も2,000株あれば同じようになる」と考えたくなるかもしれませんが、症例の株数をそのまま自分に当てはめることには注意が必要です。
同じ頭頂部の薄毛でも、薄毛の面積、残っている既存毛、毛髪の太さ、1株に含まれる毛髪数、頭皮と毛髪の色の差、つむじの毛流れなどによって必要株数や仕上がりは異なります。
また、前頭部にも薄毛がある場合には、同じ総株数でも「頭頂部へ何株、前頭部へ何株を配分したか」によって頭頂部の仕上がりは変わります。
そのため症例は、株数だけを比較するのではなく、自分と近い薄毛範囲や既存毛の状態、移植した部位、術後の経過期間まで含めてあくまでも参考のひとつとして確認することが重要です。
頭頂部・つむじの自毛植毛に関するよくある質問
Q. 頭頂部やつむじにも自毛植毛はできますか?
A. はい。生え際や前頭部だけでなく、頭頂部やつむじ周囲にも自毛植毛を行うことができます。
ただし、頭頂部ではつむじ特有の毛流れや薄毛の範囲、既存毛の状態、将来的なAGAの進行などを考慮して、移植する方向や角度、株数を計画する必要があります。
Q. 頭頂部の植毛には何株くらい必要ですか?
A. 必要株数は一律ではありません。つむじ周囲の比較的小さな範囲では500株程度から検討される場合がありますが、頭頂部の薄毛がある程度広がっている場合には1,000~1,500株程度、さらに広範囲では2,000株以上が必要になることもあります。
実際の必要株数は、薄毛の面積だけでなく、既存毛の量、毛髪の太さ、1株に含まれる毛髪数、希望する密度、使用できるドナー量などによって変わります。
Q. つむじに500株では少ないですか?
A. 500株で十分かどうかは、移植する範囲によって異なります。
つむじ周囲の限られた範囲で、既存毛がある程度残っている場合には、500株程度でも密度を補えることがあります。一方、頭頂部の広い範囲へ500株を分散すると、1cm²あたりの移植密度が低くなるため、希望する変化を得にくい場合があります。
Q. 頭頂部に1,000株植毛するとどのくらい変わりますか?
A. 1,000株を移植した場合の見た目の変化は、薄毛の範囲や既存毛の状態によって大きく異なります。
比較的狭い範囲へ1,000株を集中して移植する場合と、広い頭頂部へ分散して移植する場合では、仕上がりの密度感は同じではありません。また、毛髪の太さや1株に含まれる毛髪数によっても見え方が変わるため、株数だけで改善の程度を判断することはできません。
Q. 頭頂部に1,500株必要になるのはどのくらいの範囲ですか?
A. 頭頂部の一定範囲に薄毛が広がり、既存毛の密度も低下している場合には、1,500株前後が検討されることがあります。
ただし、「何cm²なら必ず1,500株」という決まりがあるわけではありません。同じ面積でも既存毛や髪質、希望する密度などによって必要株数は変わるため、実際には頭頂部とドナーの状態を確認して判断します。
Q. 頭頂部への自毛植毛は難しいですか?
A. 頭頂部への自毛植毛ができないという意味で難しいわけではありませんが、生え際とは異なる点を考慮する必要があります。
特につむじでは毛髪が渦状・放射状に生えているため、毛流れに合わせた方向や角度で移植する必要があります。また、薄毛範囲が広くなりやすいため、必要株数や将来的なドナー配分まで考えた治療計画が重要です。
Q. 頭頂部は他の部位より生着率が低いのですか?
A. 頭頂部が薄く見えることと、移植毛の生着率が低いことは分けて考える必要があります。
頭頂部では、つむじから毛髪が放射状に広がることや、薄毛部分が「面」として見えやすいこと、上から光が当たりやすいことなどによって、移植毛が成長していても密度を低く感じる場合があります。
そのため、術後に頭皮が見えているという理由だけで「生着していない」と判断することはできません。
Q. つむじの毛流れは自毛植毛で再現できますか?
A. 既存のつむじの位置や毛流れを確認し、それに合わせて移植毛の方向や角度を調整することで、自然な毛流れを形成することを目指します。
頭頂部では単に高い密度で移植するだけでなく、つむじの回転方向や周囲の既存毛とのつながりを考えたデザインが重要です。
Q. 頭頂部にはFUT法とFUE法のどちらが適していますか?
A. 頭頂部への自毛植毛は、FUT法・FUE法のどちらでも行うことができます。
どちらかが必ず優れているというものではなく、必要株数、ドナーの密度、傷跡に対する希望、髪型、過去の植毛歴、将来的な追加植毛の可能性などによって適した方法は異なります。
特に多くの株数が必要になる場合には、今回の手術だけでなく、将来使用できるドナーをどの程度残せるかという視点も重要です。
Q. 頭頂部への自毛植毛はいくらかかりますか?
A. 費用は必要株数と術式によって異なります。
頭頂部の薄毛が比較的小範囲であれば500株程度から検討される場合がありますが、1,000~1,500株、広範囲では2,000株以上が必要になることもあるため、薄毛範囲が広くなるほど費用も高くなる傾向があります。
具体的な費用は、診察で必要株数と術式を確認したうえで算出します。
Q. 頭頂部の植毛はいつ頃から生えてきますか?
A. 移植した毛髪は手術後にいったん抜け落ち、その後、移植した毛包から新しい毛髪が成長していきます。
個人差はありますが、一般的には術後3~6か月頃から新しい毛髪が徐々に生え始め、6か月以降に徐々に目に見えて変化していき、およそ1年後を目安に仕上がりを確認していきます。
Q. 頭頂部へ植毛した後もAGA治療は必要ですか?
A. 自毛植毛を行ったからといって、必ずAGA治療が不要になるわけではありません。
移植毛はAGAの影響を受けにくい性質を維持しますが、周囲に残っている既存毛ではAGAが進行する可能性があります。そのため、既存毛の状態によっては、植毛後もフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジル外用薬による治療を併用する場合があります。
Q. 生え際と頭頂部を同時に植毛できますか?
A. 生え際や前頭部と頭頂部を同時に移植することは可能です。
ただし、薄毛範囲が広くなるほど必要株数も多くなるため、使用できるドナー量によっては、すべての範囲へ希望する密度で移植できない場合があります。
そのため、頭部全体のバランスを確認しながら、生え際・前頭部・頭頂部のどこを優先するかを検討することが重要です。
Q. 頭頂部へ追加植毛することはできますか?
ドナーが十分に残っており、頭皮や既存毛の状態などに問題がなければ、頭頂部へ追加植毛を行える場合があります。
1回目の植毛後にさらに密度を高めたい場合や、その後AGAが進行して周囲の薄毛が目立つようになった場合などに追加植毛が検討されます。
ただし、自毛植毛に使用できるドナーには限りがあるため、追加植毛の可能性も含めて、初回手術から長期的なドナー計画を立てることが重要です。
まとめ
頭頂部・つむじにも自毛植毛を行うことは可能です。ただし、頭頂部はつむじを中心に毛髪が放射状に広がるため、単に多くの株数を移植するだけではなく、毛流れや移植する方向・角度、既存毛とのつながりまで考えたデザインが重要になります。
必要株数は薄毛の範囲や既存毛の状態によって異なり、つむじ周囲の比較的小さな範囲では500株程度から、一定の範囲では1,000~1,500株程度、広範囲では2,000株以上が必要になる場合もあります。同じ株数でも、移植する面積や毛髪の太さ、1株に含まれる毛髪数などによって仕上がりの見え方は異なります。
また、自毛植毛に使用できる後頭部や側頭部のドナーには限りがあります。AGAが進行すると、将来的に生え際や前頭部への追加植毛が必要になる可能性もあるため、現在の頭頂部だけに多くのドナーを使用するのではなく、頭部全体の薄毛の進行を想定した長期的な治療計画が重要です。
自毛植毛を行ってもAGAそのものが治るわけではなく、移植していない既存毛では薄毛が進行する可能性があります。頭頂部への自毛植毛を検討する際には、「何株必要か」だけで判断するのではなく、薄毛の範囲、つむじの毛流れ、既存毛、術式、費用、将来のAGA進行、使用できるドナー量まで総合的に確認したうえで治療計画を立てることが大切です。
第三者サイトに掲載されている当院の評価(Caloo)
紀尾井町クリニックの自毛植毛や薄毛治療については、
医療口コミサイト「Caloo」にて、
実際に受診した方による評価・口コミが掲載されています。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

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