自毛植毛の費用について【医師監修】

自毛植毛の費用について【医師監修】

 植毛治療を検討する際に最も気になる要素のひとつが「費用」です。本コラムでは、自毛植毛にかかる費用について、当クリニック(紀尾井町クリニック)の情報を基に紹介していきます。植毛を検討されている方のひとつの参考になりましたら幸いです。なお、最新の費用については、「自毛植毛・AGA治療薬の費用についてのご案内」や各医療機関にてご確認ください。

自毛植毛の基本的な費用構造

 自毛植毛は保険適用の無い自由診療であり、各医療機関ごとに料金は違います。また、自毛植毛には大きく2つの方法(FUT法FUE法)がありその方法によっても料金は変わってきます。ここでは、当院の植毛費用例を挙げてそれぞれの料金を見ていきましょう。当院以外の詳しい費用については、相談する医療機関にてご確認ください。

FUT法の費用

 FUT法(Follicular Unit Transplantation)は、広範囲の薄毛治療大量の移植、例えば1,000株以上のドナー株を一度に移植したい場合に向いている植毛方法です。ドナー部(後頭部や側頭部)から皮膚を帯状に採取し、その帯状の皮膚から移植する毛包(ドナー株)を細かく切り分けてから移植する方法で、メスで切り取って縫合を行うため、採取部には線状の傷跡が必ず残りますが、生涯に採取できるドナー株数は約5,000~7,000株とFUE法に比べて大量の移植が可能です。

FUT法での植毛手術の費用(税込)

手術費:22万円+(移植費:660円/株 × 植毛株数)

※手術前には感染症チェックのために血液検査代4,000円(税込)が必要になります。
※他の医療機関での血液検査結果をお持ちいただくことも可能です。(手術日から6ヶ月以内の検査結果が有効)

例:1,000株移植の場合

手術費:22万円 +(移植費:660円 × 1,000株)= 88万円

例:1,500株移植の場合

手術費:22万円 +(移植費:660円 × 1,000株)= 121万円

例:2,000株移植の場合

手術費:22万円 +(移植費:660円 × 1,000株)= 154万円

ポイント
  • 生涯に採取出来るドナー株数が多い(約5,000~7,000株程度)
  • 高い有効採取率(双眼実体顕微鏡を使って手作業で移植株を切り分けるため、毛根切断が少ない)
  • 後頭部を横に走る細い線状の縫合痕が1本残る(髪を伸ばす事で隠せ、通常2~3回までなら1本の縫合痕で済みます)
  • 頭皮の硬い方は採取できるドナー株数が限られる
  • トリコフィティック縫合法を用いる事によって、縫合痕を目立ち難くする事ができる
  • 傷痕をSMP(Scalp Micro Pigmentation)やFUE法で目立たなくする事ができる  など

FUE法の費用

 FUE(Follicular Unit Excision)は、狭い範囲の薄毛治療比較的少量の移植、例えば1,000株未満のドナー株を移植したい場合に向いている植毛方法です。ドナー部(後頭部や側頭部)から筒状の刃がついた専用の器材を使って毛根を1つずつくり抜いて採取していく方法で、ドナー株を1つ採取するごとに直径1mm程度の円状のくり抜き痕が必ず残り、採取するほどドナー部の密度は下がっていくため、生涯に採取できるドナー株数は約2,000~3,000株とFUT法に比べておよそ半分となります。

FUE法での植毛手術の費用(税込)

手術費:22万円+(移植費:990円/株 ×  植毛株数)

※手術前には感染症チェックのために血液検査4,000円(税込)が必要になります。
※他の医療機関での血液検査結果をお持ちいただくことも可能です。(手術日から6ヶ月以内の検査結果が有効)
※当院ではFUE法での植毛は1,000株未満を推奨しています。

例:500株移植の場合

手術費:22万円+(移植費:990円 × 500株)= 71.5万円

例:800株移植の場合

手術費:22万円+(移植費:990円 × 800株)= 101.2万円

例:1,000株移植の場合

手術費:22万円+(移植費:990円 × 1,000株)= 121万円

ポイント
  • 生涯に採取できるドナー株数はFUTの約半分(約2,000~3,000株程度)
  • 有効採取率は医師の経験や技量に左右される(経験豊富な医師であればFUT法と遜色ない採取率が期待できる)
  • 傷跡が目立ちにくい(ひとつの傷痕は約1mm前後のサイズの白い斑点状の傷。ただし採取し過ぎると髪の密度低下に繋がり大きなデメリットになります)
  • 頭皮が硬く可動性が少ない方でも採取可能
  • FUT法よりも費用が高いことが多い。(刈り上げない方法の場合はさらに費用が高くなります※当院では行っておりません)
  • 株数の多い手術の場合は手術時間がFUT法よりも長い傾向がある
  • 傷痕をSMP(Scalp Micro Pigmentation)で目立たなくする事ができる  など

移植パターン別の費用目安

 植毛する部位や範囲によって、必要な株数や費用が異なります。以下は、一般的な部位別の費用目安です。AGAで代表的な生え際からの薄毛(M字型、U字型)頭頂部からの薄毛(O字型)で費用パターンを見てみましょう。当院では、1000株を越える手術の場合にはFUTを勧めることが多いため、下記の「1800株のFUE」というものは行わないのですが、費用のイメージとして下記では載せております。
 また併せて頭髪ではないですが、眉毛やひげへの植毛のパターンも紹介いたします。個別に状況や希望などで違ってきますので、あくまでも目安としてお考えいただいた上で、詳しい費用は実際に医療機関に相談に行った際にご確認ください。

生え際を下げる、または左右のそりこみ(M字型)を埋める場合

FUT法
費用(目安):880,000円(税込)前後
植毛範囲(目安):30㎠
植毛株数(目安):1000株

FUE法
費用(目安):1,210,000円(税込)前後
植毛範囲(目安):30㎠
植毛株数(目安):1000株

前頭部の植毛(U字型)

FUT法
費用(目安):1,408,000円(税込)前後
植毛範囲(目安):60㎠
植毛株数(目安):1800株

FUE法
費用(目安)2,002,000円(税込)前後
植毛範囲(目安):60㎠
植毛株数(目安):1800株

頭頂部(つむじ周囲)の植毛(O字型)

FUT法
費用(目安):1,012,000円(税込)前後
植毛範囲(目安):40㎠
植毛株数(目安):1200株 

FUE法
費用(目安):1,408,000円(税込)前後
植毛範囲(目安):40㎠
植毛株数(目安):1200株

眉毛・ヒゲへの植毛費用

眉毛やひげへの植毛は、頭髪とは料金が異なります。

手術費:22万円+(移植費:1,100円/株 × 植毛株数)

※手術前には感染症チェックのために血液検査4,000円(税込)が必要になります。
※他の医療機関での血液検査結果をお持ちいただくことも可能です。(手術日から6ヶ月以内の検査結果が有効)
※当院ではFUE法での植毛は1,000株未満を推奨しています。

例:1,000株移植の場合

手術費:22万円+(移植費:1,100円 × 1,000株)=132万円

ポイント

  • 個人の状況やご希望によって、植毛範囲や植毛株数は異なる
  • 移植できる株数には上限があるため、原則として密度を高くすれば範囲は狭くなり、範囲を広くすれば密度は低くなる
  • 移植毛は移植元の髪の性質を引き継ぐ(白髪、髪の太さ、くせ毛など)
  • 当院(紀尾井町クリニック)では、基本的には1,000株以上の移植はFUT法を推奨
  • 眉毛・ヒゲへの植毛は、頭髪の植毛よりも比較的移植難易度・費用が高い傾向があり、クリニックによっては対応していない場合がある

自毛植毛の費用で確認しておく事

 本コラムでは当院(紀尾井町クリニック)の費用についてご紹介をさせて頂きましたが、先にも申し上げた通り、自毛植毛は自由診療となりますので、医療機関によって費用やサービスなどが異なります。ここでは、費用について注意すべき点や確認しておくべき点などを挙げさせて頂きます。

費用の構成は分かり易いか

 当院の場合は、「手術費:22万円 +移植費 × 植毛株数」が植毛費用の構成となります。下記の表で見ると、「A+B=料金」となります。

FUT法 FUE法ひげ・眉毛
(FUT法・FUE法問わず)
A)手術費22万円
B)移植費660円×株数990円×株数1,100円×株数

これに術前採血検査代(税込4,000円)がかかります。

 医療機関によっては、上記のAとBの他に、薬代やカウンセリング、アフターフォローの費用がかかることがあったり、逆にAがかからなかったりなど様々です。さらにホームページではよく読まないと分からないような隠れた費用や条件がある場合もありますので、必ず「植毛治療(カウンセリング+手術+アフターフォロー)」の最終的な支払い総額はいくらになるのかを治療する前に確認しておくように心掛けておきましょう。少しでも不明な点や疑問点がありましたら、遠慮せずに納得いくまで確認するようにしましょう。

モニター価格や条件はないか

 私たちは広告やホームページで、あえて安価な金額を強調して人目を引く、という手法を日常的によく目にします。安価な金額はとても魅力的です。しかし中には、その金額はモニターの金額(高割引率ほど露出度が高い条件)であったり、「○○株まで」と株数上限が決まっていたりする場合があります。顔出しはしたくない、多い数の植毛をしたいということで、改めて計算をしてみると結局高くついてしまうという可能性もあるので注意が必要です。また、症例モニターには様々な条件(顔出しか否か、どういった広告媒体に使用されるのか、何回来院する必要があるのか等)や制限(特定の植毛法のみ、アフターフォローは別料金等)がある可能性もあるため、モニターに興味のある方は、その条件や制限などを事前に詳しく聞いておくようにしましょう。

効果があるのか不明なオプションはその場ですぐに決めない

 医療機関によっては、植毛治療(事前相談+手術+アフターフォロー)の他に様々なオプションを提案される場合があるようです。すべて効果がないとは申し上げませんが、ご自身に合うのかどうかも含めて本当に「今」必要なのかは落ち着いて検討すべきです。もし提案をされて少しでも判断に迷う場合は、いったん判断を持ち帰って、他の医療機関にて医師に提案について相談してみると良いでしょう。

治療の催促には注意

 医療機関でカウンセリングを行った際に、「今ならさらに安く出来ます」「今日決めて頂くとお得です」のように、その医療機関での治療を即決するように催促してくる場合があるようです。
もしカウンセリングで「営業的な雰囲気を感じた」「契約を急かされた」と感じたら、その医療機関は慎重に検討すべきです。植毛治療は、その特徴やメリット・デメリット、副作用やリスク、注意点などを医師から丁寧に説明を受けて、納得した上でご自身のタイミング・判断によって決めるべきですので、少しでも強引な営業の雰囲気を感じたら、その場で治療を決めないよう注意しておきましょう。

その他考慮しておく費用

 意外と見落としがちな費用が、交通費や宿泊費などの植毛治療以外にかかる可能性のある費用です。医療機関によってはサポートや無料で用意しているところもありますので、詳しくは気になる医療機関にて確認ください。

  • 交通費(公共交通機関、駐車場代など)
  • 宿泊費(遠方の方やご希望の方)
  • ニットキャップやバンダナ等の帽子類(手術後のカバー用)
  • ヘアシート代(特にFUEで刈り上げた部分のカバー用)

その他費用以外で確認しておく事

 植毛を行う上で費用は非常に重要な要素の一つではありますが、自毛植毛を行うにあたり大切なこと(治療効果の理解や副作用やリスクなど)であったり、植毛を行うクリニックの選び方(医師や看護師の経験や術後の相談など)など、費用以外にも確認をしておくべきポイントがいくつかあります詳しくは「植毛で失敗しないための5つのポイント【医師監修】」や「おすすめの植毛クリニックとは?【医師監修】」などを参照ください。植毛は費用を含め、様々な視点からじっくりと検討して、ご自身により良いと思われる選択肢を持ち、理解・納得した上で、最終的にはご自身の判断によって治療を行うように心掛けておきましょう。

まとめ

 自毛植毛の費用について、当院のケースを中心にご紹介させて頂きました。自毛植毛は自由診療にあたり、医療機関ごとに費用が異なります。主な違いを挙げるだけでも、術式(FUT法かFUE法)による違い、方法による違い(FUEで刈り上げるか否かなど)、部位による違い(頭髪なのかひげや眉毛なのかなど)、カウンセリング無料か否か、血液検査費はいくらなのか、アフターフォローに費用はかかるのかなど、多岐にわたり、更には個人の状態や希望によっても費用は変わります。そして、保険の適応がない自由診療になるため1度の治療費が比較的高額になります。そのため、実際にホームページや電話・メールなどである程度確認してから、実際に足を運んでカウンセリングを受けた上で、実際にかかる費用を出してもらい、十分に検討をして納得した上で治療を決めるようようにしましょう。よりご自身に合うところを見つけていただくためにも、できるだけ複数の医療機関に相談をすることをおすすめします。
 1998年より自毛植毛専門院としての実績を持つ紀尾井町クリニックでは、費用体系をわかりやすくするよう努めております。そして治療前はもちろん、治療後も全て無料でお悩みをご相談いただく事ができます。また、医師が直接カウンセリングを行っており、治療のご判断をその場でお決めいただく必要もありませんので、植毛を検討されていらっしゃる方は、まずはお気軽にご相談下さい。

監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師