植毛5,000株以上でできることは?広範囲植毛・費用・段階的治療の考え方を解説【医師監修】

植毛5,000株以上でできることは?広範囲植毛・費用・段階的治療の考え方を解説

結論サマリー

 植毛5,000株は、一般的に約10,000〜12,500本程度の毛髪に相当する、非常に大きな移植株数です。生え際から前頭部、頭頂部などの広い範囲や、複数の部位を補う場合に検討されます。
 毛がほとんどない範囲へ1cm²あたり30〜40株程度で移植する場合、5,000株で補える面積は約125〜167cm²がひとつの目安です。ただし、広範囲へ分散すると、部位ごとの密度が不足する可能性があります。
 また、5,000株以上は、通常、1回の手術で移植する株数ではなく、複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。初回に生え際や前頭部を補い、その後の発毛経過や既存毛の変化を確認してから、頭頂部や密度を追加したい範囲への植毛を検討するなど、段階的に計画します。

【要点】
・1株には通常1〜3本程度、場合によっては4本程度の毛髪が含まれ、5,000株は約10,000〜12,500本が目安
・毛がほとんどない範囲へ30〜40株/cm²で移植する場合、約125〜167cm²がひとつの目安
・生え際から前頭部、頭頂部などの広い範囲や、複数の部位を補う場合に検討される
・前頭部と頭頂部の両方へ配分する場合は、部位ごとの優先順位と密度配分が重要
・5,000株以上は、通常、複数回の手術による総移植株数として計画する
・5,000株以上を複数回で計画する場合は、まとまった株数をFUT法で確保し、必要に応じて小範囲への追加や部分的な密度調整にFUE法を組み合わせる方法がある
・生涯に利用できるドナーをできるだけ多く確保する場合は、FUT法による採取を先行し、その後にFUE法を組み合わせる方法が検討される
・5,000株以上は生涯に利用できるドナーの大部分を使用する可能性があり、将来の追加植毛を含めた計画が重要

 本コラムでは、植毛4,000株が何本程度に相当するのか、どのくらいの範囲を補えるのか、向いているケースと難しいケース、費用、術式、複数回に分ける場合の治療計画などを解説していきます。

目次

植毛5,000株以上とはどれくらいの量? 

 自毛植毛で使われる「株(グラフト)」とは、移植する毛包単位のことです。毛髪は1本ずつ独立して生えているように見えますが、実際には複数本の毛髪がまとまって生えていることがあり、この毛包単位を1株として扱います。
 1株には通常1〜3本程度、場合によっては4本程度の毛髪が含まれ、平均すると1株あたり約2〜2.5本程度です。そのため、植毛5,000株は、毛髪本数に換算すると約10,000〜12,500本程度がひとつの目安です。5,000株を超える場合は、実際の総移植株数に応じて毛髪本数も増えます。ただし、採取・移植できる株数には個人差があり、希望する株数を必ず採取・移植できるとは限りません。
 5,000株以上は、自毛植毛の中でも非常に大きな総移植株数です。生え際の一部や小範囲のつむじを補う株数というよりも、生え際から前頭部頭頂部などの広い範囲や、前頭部と頭頂部の両方を補う場合などに検討されます。
 ただし、5,000株以上は、通常、1回の手術で移植する株数ではありません。初回に生え際や前頭部を補い、その後の発毛経過や既存毛の変化を確認してから、頭頂部や密度を追加したい範囲へ植毛するなど、複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。
 また、本コラムでいう「5,000株以上」は、5,000株を含む、それ以上の総移植株数を指します。実際の総移植株数は、薄毛の範囲や必要な密度、採取可能なドナーの量などによって異なるため、補える範囲や費用、必要な手術回数を一律に示すことはできません。
 同じ5,000株でも、得られる見た目の変化は一律ではありません。髪の太さや色、頭皮とのコントラスト、既存毛の残り方、移植する面積、希望する密度、株数の配分などによって仕上がりは異なります。
 既存毛が残っている部位では、移植毛と既存毛が重なることで、見た目の密度を補いやすくなる場合があります。一方、毛がほとんどない範囲が広い場合は、移植毛だけで密度を作る必要があるため、5,000株以上でも前頭部から頭頂部までをすべて高密度に補えるとは限りません。
 さらに、5,000株以上は、ドナー部から採取する量としても非常に大きな株数です。実際に採取できる株数は、ドナー部の広さや密度、毛髪の太さ、頭皮の状態、過去に採取した株数などによって異なります。

当院におけるドナー採取株数の目安

 紀尾井町クリニックでは、生涯に採取できるドナー株数の目安を、FUT法で約5,000〜7,000株FUE法で約2,000〜3,000株程度としています。
ただし、これはそれぞれの方法で採取可能と考えられる株数の目安であり、実際に採取できる株数には個人差があります。
 また、当院では1,000株以上のまとまった採取が必要な場合、FUE法で広い範囲から採取してドナー部の密度を低下させるよりも、FUT法で採取することを推奨しています。
 そのため、生涯にFUE法で約2,000〜3,000株を採取できると見込まれる場合でも、FUE法のみでまとまった株数を確保する治療計画は基本的に推奨せず、FUE法は1,000株未満の採取やFUT法による採取後の追加採取などで検討します。

5,000株以上でカバーできる範囲の考え方 

 植毛5,000株以上で補える範囲は、総移植株数だけでなく、移植する面積と1cm²あたりの密度によって変わります。
 毛がほとんどない部位へ、1cm²あたり30〜40株程度で移植する場合、5,000株で補える面積は約125〜167cm²が計算上の目安です。
 一方、既存毛が残っている部位を1cm²あたり20〜30株程度で補強する場合は、より広い範囲へ配分できることがあります。

総移植株数配分の考え方密度の目安計算上の面積
5,000株毛がほとんどない部位を補う30〜40株/cm²約125〜167cm²
5,000株既存毛が残る部位を補強する20〜30株/cm²約166〜250cm²

 ただし、上記は株数を面積で割った単純計算です。計算上カバーできる面積と、十分な見た目の密度を得られる面積は同じとは限りません。
 5,000株以上を生え際から前頭部、頭頂部まで広く分散すると、1cm²あたりの移植密度が低くなり、全体として薄い印象が残る可能性があります。
 反対に、生え際や前頭部などの限られた範囲へ多く配分すれば、その部位の密度を補いやすくなりますが、頭頂部など、ほかの部位へ使用できる株数は少なくなります。
 また、必要な密度や設計は部位によって異なります。生え際では自然な輪郭や密度のグラデーション、毛流れを考慮する必要があります。頭頂部では、つむじの位置や髪が放射状に広がる方向に合わせて配分します。
 5,000株を超える場合も、実際の総移植株数を予定する移植密度で割ることで、計算上の面積を求められます。ただし、採取可能な株数や適切な密度には個人差があります。

前頭部と頭頂部の両方を補う場合

 植毛5,000株以上では、前頭部と頭頂部の両方を治療計画に含められる場合があります。
ただし、前頭部と頭頂部の両方を同じように高密度に補えるとは限りません。薄毛の範囲が広い場合は、5,000株以上であっても、各部位へ均等に配分すると密度が不足することがあります。
 そのため、前頭部と頭頂部の両方を治療計画に含める場合は、各部位に必要な密度と優先順位を踏まえて株数を配分することが重要です。

複数回に分けて範囲を調整する

 5,000株以上は、複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。
 例えば、初回に生え際から前頭部を補い、その後の発毛経過や既存毛の変化を確認してから、頭頂部や密度を追加したい部位への植毛を検討します。
 複数回に分けることで、初回の仕上がりを確認しながら、次に移植する範囲や株数を調整できる場合があります。
 一方で、予定していた総移植株数を必ず採取できるとは限りません。ドナー部の密度、採取できる範囲、毛髪の太さ、過去の採取歴などによっては、5,000株以上を確保できない場合もあります。
 そのため、植毛5,000株以上でカバーできる範囲を考える際は、単純な面積だけでなく、既存毛の量、髪の太さ、薄毛の範囲、希望する密度、部位ごとの優先順位、手術回数、採取可能なドナーの量を総合的に判断することが大切です。

植毛密度について詳しくは、「植毛の密度について」も併せてご参照ください。

植毛5,000株以上が検討されるケース

 植毛5,000株以上は、生え際の一部など限られた範囲を補う場合ではなく、前頭部や頭頂部の広い範囲、または複数の部位を段階的に補う場合に検討される総移植株数です。
 また、初回から5,000株以上を予定するケースだけでなく、過去に受けた植毛と追加植毛を合わせた総移植株数が5,000株以上になる場合もあります。
 ただし、薄毛の範囲が広ければ必ず5,000株以上が適しているわけではありません。実際に必要な株数や採取可能な株数は、既存毛の量、髪の太さ、ドナー部の状態、過去の植毛歴、希望する仕上がりなどによって異なります。

部位・目的5,000株以上での考え方
生え際から前頭部全体生え際の輪郭と前頭部の密度を広く補う
前頭部と頭頂部複数回の手術で、それぞれの部位を段階的に補う
前頭部とつむじ周囲正面からの印象と、上から見た透け感の両方を補う
広範囲のAGA優先する部位を決め、長期的な計画で補う
既存毛が少ない広範囲移植毛を中心に密度を作るため、多くの株数を必要とする
過去の植毛後の追加過去と今回の手術を合わせた総移植株数が5,000株以上になる

生え際から前頭部全体にかけて薄毛が進んでいるケース

 生え際から前頭部全体にかけて広く薄毛が進んでいる場合は、総移植株数として5,000株以上が検討されることがあります。
 左右のM字部分だけでなく、生え際中央部や、その奥の前頭部まで密度が低下している場合には、生え際の輪郭と前頭部の密度を一体的に補う計画が考えられます。
 ただし、生え際を大きく下げるほど、新たに毛を配置する面積が広がります。生え際を前方へ下げながら、その奥の前頭部にも高い密度を持たせようとすると、5,000株以上でも不足する場合があります。
 また、生え際では1本毛を中心に配置し、奥に向かって複数本毛を配置するなど、自然な密度の変化を作る必要があります。株数だけでなく、毛流れや角度、既存毛とのつながりを考えた設計が重要です。

前頭部と頭頂部の両方を補うケース

 前頭部と頭頂部の両方に薄毛がある場合は、複数回の手術による総移植株数として5,000株以上が検討されることがあります。
 前頭部の既存毛がある程度残っている場合には、頭頂部への配分を多くすることもあります。
 ただし、前頭部と頭頂部の両方を同じように高密度で補うには、5,000株以上でも不足する可能性があります。総株数だけでなく、どの部位を優先し、各手術で何株ずつ配分するかを決めることが大切です。

前頭部とつむじ周囲を補うケース

 生え際や前頭部に加えて、つむじ周囲の地肌も目立つ場合には、総移植株数として5,000株以上を両方の部位へ配分することがあります。
 前頭部は正面から見た印象に影響しやすく、つむじ周囲は上から光が当たったときに地肌が目立ちやすい部位です。
 生え際では、輪郭や密度のグラデーション、毛の角度を考慮します。一方、つむじ周囲では、渦の向きや周囲の毛流れに合わせた配置が必要です。
 前頭部とつむじ周囲へ広く分散すると、どちらも密度が不足する可能性があります。そのため、初回は前頭部を優先し、追加手術でつむじ周囲を補うなど、部位ごとに目的と順番を分けることがあります。

広範囲のAGAを段階的に補うケース

 生え際から頭頂部まで広範囲にAGAが進行している場合は、複数回の手術で総移植株数が5,000株以上になることがあります。
 ただし、5,000株以上であっても、生え際、前頭部、頭頂部、つむじ周囲のすべてを同じ密度で補えるとは限りません。
 広範囲へ均等に配分すると、部位ごとの移植密度が低くなる可能性があるため、どの範囲を優先して補うかをあらかじめ決める必要があります。
 また、今後AGAが進行すると、現在残っている既存毛が細くなったり抜けたりする可能性があります。現在の薄毛範囲だけでなく、将来的な変化や追加植毛に残すドナーも考慮することが重要です。

既存毛が少ない広範囲を補うケース

 既存毛がほとんど残っていない広い範囲では、移植毛を中心に見た目の密度を作る必要があります。
 既存毛が残っている部位では、移植毛と既存毛が重なることで密度を補いやすくなります。一方、毛がほとんどない範囲では、同じ面積でもより多くの株数が必要になりやすいため、総移植株数として5,000株以上が検討されることがあります。
 ただし、毛がほとんどない範囲が前頭部から頭頂部まで広がっている場合は、5,000株以上でも、すべてを十分な密度で補えるとは限りません。
 どの範囲へ重点的に密度を持たせるか、どの範囲は周囲になじませる程度にするかを決め、限られたドナーを計画的に配分する必要があります。

過去の植毛後に追加植毛を行うケース

 過去に自毛植毛を受けている方が追加植毛を行い、過去と今回の手術を合わせた総移植株数が5,000株以上になることがあります。
 例えば、初回に生え際や前頭部へ移植し、その後AGAの進行によって頭頂部や既存毛の周囲が薄くなった場合には、追加植毛が検討されることがあります。
 また、初回の植毛で十分な密度を得られなかった部位へ、追加で密度を補う場合もあります。
 追加植毛では、現在の薄毛範囲だけでなく、過去に移植した部位や株数、使用した術式、ドナー部の傷痕や残存密度を確認する必要があります。
 過去と今回の合計が5,000株以上になる場合でも、さらに追加できるかどうかは、ドナー部に残っている毛包の量によって異なります。初回の植毛から将来の追加手術を見据え、ドナーを計画的に使用することが重要です。

5,000株以上では難しいケース 

 植毛5,000株以上は非常に大きな総移植株数ですが、すべての薄毛を十分な密度で補えるわけではありません。
 薄毛の範囲が広い場合や希望する密度が高い場合は、5,000株以上でも不足することがあります。また、移植したい範囲に必要な株数が多くても、ドナー部からその株数を採取できるとは限りません。

ケース5,000株以上でも難しい理由
前頭部から頭頂部まで広範囲に薄い全体へ分散すると部位ごとの密度が不足しやすい
生え際を大きく下げ、前頭部も高密度にしたい新しく作る面積と密度の両方に多くの株数が必要
頭頂部全体を高密度に補いたい頭頂部は面積が広く、株数が分散しやすい
既存毛がほとんど残っていない移植毛だけで見た目の密度を作る必要がある
1回の手術ですべて完了したい採取量や手術時間、術後の負担を含めた判断が必要
FUE法を先行し、広い範囲から多く採取している将来FUT法で採取する範囲の密度も低下し、生涯に確保できる総株数が少なくなる可能性がある
ドナー部の余力が少ない希望する株数を確保できない場合がある
将来的なAGAの進行が予想される今回多くのドナーを使うと、将来の追加植毛が難しくなる可能性がある

前頭部から頭頂部まで広く薄毛が進んでいるケース

 前頭部から頭頂部まで広範囲に薄毛が進んでいる場合、5,000株以上を全体へ均等に配分すると、1cm²あたりの移植密度が低くなります。
 全体を補った印象になっても、生え際、前頭部、頭頂部のそれぞれで十分な密度を感じにくい可能性があります。
 このような場合は、正面から見た印象に影響しやすい生え際や前頭部を優先し、頭頂部は次の手術で補うなど、部位ごとに優先順位を決めることがあります。
 総移植株数が5,000株以上であっても、すべての部位を同じ密度で補うことを前提にしないことが大切です。

生え際を大きく下げながら前頭部も高密度にしたいケース

 生え際を現在の位置から大きく下げると、新たに毛を配置する面積が広がります。
 さらに、その奥の前頭部にも十分な密度を持たせる場合は、より多くの株数が必要になります。そのため、5,000株以上を使用しても、生え際を希望する位置まで下げることと、前頭部全体を高密度に補うことを両立できない場合があります。
 また、生え際を低く設定すると、今後AGAが進行した際に、その奥に残る既存毛との間で密度差が生じる可能性があります。
 生え際の位置は現在の希望だけでなく、将来の薄毛進行や追加植毛に必要となる株数も考慮して決める必要があります。

頭頂部全体を高密度に補いたいケース

 頭頂部は面積が広くなりやすく、つむじを中心に髪が放射状に広がるため、同じ株数でも生え際や前頭部より密度を感じにくい部位です。
 頭頂部全体を高密度に補うには、総移植株数が5,000株以上でも不足する場合があります。そのため、つむじの中心や特に地肌が目立つ範囲へ重点的に配分する方法が検討されます。
 頭頂部に既存毛が残っている場合は、将来的なAGAの進行も考慮して、薬物療法や追加植毛を含めた長期的な計画を検討する必要があります。

既存毛がほとんど残っていないケース

 既存毛が残っている部位では、移植毛と既存毛が重なることで、見た目の密度を補いやすくなることがあります。
 一方、既存毛がほとんど残っていない場合は、移植毛だけで密度を作らなければなりません。そのため、同じ5,000株でも、既存毛が残っているケースよりカバーできる範囲は限られます。
 毛がほとんどない範囲が前頭部から頭頂部まで広がっている場合は、5,000株以上でも、すべてを十分な密度で補えるとは限りません。
 どの範囲へ重点的に密度を持たせるか、どの範囲は周囲になじませる程度にするかを決めることが重要です。

1回の手術ですべて完了したいケース

 5,000株以上は、通常、複数回の手術による総移植株数として考えます。
 1回の手術ですべてを移植しようとすると、採取量、手術時間、移植範囲、ドナー部への影響、術後の負担などが大きくなる可能性があります。
 FUT法はまとまった株数を採取しやすい方法ですが、FUT法であっても、5,000株以上を1回で移植することを前提にはしません。
 初回の発毛経過や既存毛の変化を確認しながら、次の手術で補う範囲や株数を調整するなど、段階的に計画することが重要です。

FUE法を先行して広い範囲から採取しているケース

 FUE法では、後頭部側頭部の毛包を1株ずつ分散して採取します。採取数が増えるほど、点状の採取痕が広い範囲に生じ、ドナー部全体の毛量も減少します。
 FUE法による採取を先に広い範囲で行った場合、将来FUT法を行う際に帯状に採取する範囲の毛包も、すでに一部が採取されていることがあります。その後にFUT法を行っても、採取する頭皮内の毛包密度が低下しているため、FUT法で確保できる株数が少なくなる可能性があります。
 また、複数回のFUE法によってドナー部の密度が低下している場合は、追加のFUE法で採取できる株数も限られます。
 生涯に利用できるドナーをできるだけ多く確保する場合は、まずFUT法で採取可能な範囲を活用し、FUT法による追加採取が難しくなった後に、残っているドナーからFUE法で追加採取する順序が検討されます。
 過去にFUE法を受けている場合は、これまでの採取株数だけでなく、どの範囲から採取したか、FUT法で採取できる範囲がどの程度残っているかを確認する必要があります。

ドナー部から5,000株以上を採取する余力が少ないケース

 移植部に5,000株以上が必要と考えられても、ドナー部からその株数を採取できるとは限りません。
 ドナー部から採取できる毛包の数には限りがあります。ドナー密度が低い場合、毛髪が細い場合、採取できる範囲が狭い場合などは、予定した株数を確保できない可能性があります。
 過去にFUT法やFUE法による植毛を受けている場合は、これまでに採取した株数を含めて、残っているドナーの量や密度を確認する必要があります。
 無理に多く採取すると、後頭部や側頭部の密度が低下したり、傷痕が目立ったりする可能性があります。
 5,000株以上という希望株数よりも、ドナー部から無理なく採取できる範囲を優先して計画することが大切です。

将来的なAGAの進行が予想されるケース

 AGAが今後も進行すると、移植していない既存毛が細くなったり抜けたりする可能性があります。
 現在気になる範囲へ5,000株以上を使用すると、その後に薄くなった部位を補うためのドナーが不足することも考えられます。
 特に若い年代や薄毛の進行途中にある場合は、現在の薄毛範囲だけでなく、将来薄くなる可能性がある部位も考慮する必要があります。
 今回使用する株数と、将来の追加植毛に残す株数のバランスを考え、初回からドナーを使い切ることを前提にしないことが重要です。

植毛5,000株以上の見た目の変化 

 植毛5,000株以上は、生え際から前頭部、頭頂部など、広い範囲を補う場合に検討される総移植株数です。
 ただし、5,000株以上を移植すれば、すべての方に同じ見た目の変化が得られるわけではありません。移植する部位、既存毛の量、髪の太さや色、毛流れ、頭皮とのコントラスト、株数の配分などによって仕上がりは異なります。
 複数回に分けて移植する場合は、各手術後の発毛に伴って見た目も段階的に変化していきます。

生え際を中心に移植した場合

 生え際へ株数を重点的に配分した場合は、額の見え方や生え際の輪郭が変化することがあります。
 左右のM字部分や生え際中央部を補うことで、正面から見た生え際の形を整えやすくなります。
 生え際では1本毛を中心に配置し、その奥へ向かって密度を高めるなど、自然なつながりを考慮した設計が重要です。

前頭部全体へ移植した場合

 前頭部全体の密度が低下している場合は、生え際だけでなく、その奥の前頭部まで含めて移植することで、正面から見た印象や前髪の作りやすさが変わることがあります。
 生え際から前頭部の奥まで連続して株数を配分することで、部位による密度差を抑えながら、地肌の透け感を補える場合があります。
 ただし、生え際に株数を集中させすぎると、その奥の前頭部の密度が不足する可能性があります。生え際の自然さだけでなく、前頭部全体のつながりを考えて配分することが重要です。

つむじ周囲や頭頂部へ移植した場合

 つむじ周囲から頭頂部へ移植した場合は、上から光が当たったときの地肌の透け感が軽減されることがあります。
 特に既存毛が残っている場合は、移植毛と周囲の毛が重なることで、見た目のボリュームを補いやすくなる場合があります。
 一方、頭頂部は面積が広くなりやすく、つむじを中心に髪が放射状に広がる部位です。そのため、同じ株数でも、生え際や前頭部より密度を感じにくいことがあります。
 頭頂部全体が広く薄くなっている場合は、5,000株以上でも、すべての範囲を高い密度で補えるとは限りません。つむじの中心や特に地肌が目立つ範囲を優先して配分する方が、変化を感じやすい場合があります。

前頭部と頭頂部の両方へ移植した場合

 前頭部と頭頂部の両方へ移植した場合は、正面から見た前頭部と、上から見た頭頂部の両方の印象を補える場合があります。
 前頭部では、生え際や前髪の密度感、地肌の透け方などに変化が現れやすく、頭頂部では、つむじ周囲や上から見たときの地肌の目立ち方が変化することがあります。
 ただし、同じ総移植株数でも、前頭部へ多く配分するか、頭頂部へ多く配分するかによって、それぞれの部位で得られる見た目の変化は異なります。
 また、既存毛の量や髪の太さ、毛流れなどによっても見え方が異なるため、前頭部と頭頂部の両方へ移植した場合でも、仕上がりは一律ではありません。

複数回の植毛では段階的に見た目が変化する

 5,000株以上は、複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。
 例えば、初回に2,500株、次の手術で2,500株を移植した場合、それぞれの手術日を起点として発毛が進みます。そのため、総移植株数5,000株分の変化を一度に確認できるわけではありません。
 また、過去に受けた植毛と今回の追加植毛を合わせて5,000株以上になる場合は、過去の移植毛と今回の移植毛で、発毛時期や毛の長さが異なります。
 全体の仕上がりを評価する際は、最後に受けた手術から十分な発毛期間が経過しているかを確認する必要があります。

見た目の変化は株数だけでは決まらない

 植毛後の見た目は、移植した株数だけで決まるものではありません。
 太くて色の濃い毛は、細い毛よりも地肌を覆いやすい傾向があります。また、髪色と頭皮の色の差が小さい場合は、同じ移植密度でも地肌が目立ちにくいことがあります。
 既存毛が残っている部位では、移植毛と重なることで密度を補いやすくなります。一方、毛がほとんどない部位では、移植毛だけで見た目の密度を作る必要があります。
 さらに、生え際では1本毛を中心に配置し、その奥に複数本毛を配置するなど、毛包の使い分けによって自然さや見た目の密度が異なります。
 植毛5,000株以上で期待できる変化を考える際は、総移植株数だけでなく、移植範囲、既存毛、毛髪の特徴、毛流れ、部位ごとの密度配分、手術回数を総合的に判断することが重要です。

植毛5,000株以上の経過 

 植毛5,000株以上を複数回に分けて行う場合も、1回ごとの発毛までの基本的な経過は、ほかの株数の自毛植毛と大きく変わりません。
 移植した毛が手術直後からそのまま伸び続けるわけではなく、多くの場合は一度抜けた後、移植した毛包から新しい毛が徐々に生えてきます。最終的な仕上がりを確認するまでには一定の期間が必要です。
 また、5,000株以上は、複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。手術を受けるたびに、赤みかさぶた、移植毛の一時的な脱落、発毛といった経過をたどるため、全体の仕上がりを確認できる時期は、最後の手術を受けた時期によって異なります。

時期の目安主な経過
手術直後〜数日赤み、かさぶた、腫れ、つっぱり感、かゆみなどが出ることがある
術後1〜2週間頃かさぶたや赤みが徐々に落ち着いてくる
術後2〜4週間頃移植した毛が一時的に抜けることがある
術後3〜6か月頃新しい毛が少しずつ生え始める
術後6〜12か月頃毛が伸び、見た目の変化を感じやすくなる
術後12〜18か月頃毛の太さや長さが整い、仕上がりを確認しやすくなる

手術直後から数日間

 手術直後は、移植部に赤みやかさぶたが見られることがあります。ドナー部には、採取方法に応じて痛み、つっぱり感、かゆみなどが出る場合があります。
 また、手術中に使用した麻酔液などの影響により、額やまぶたの周囲にむくみが生じることもあります。
 1回の手術で移植する範囲や採取する株数が多い場合は、小規模な植毛と比べて、赤みやかさぶたが見える範囲が広くなる可能性があります。
 術後早期は、移植部をこすったり、強い刺激を加えたりしないよう注意が必要です。

術後1〜2週間頃

 術後1〜2週間頃になると、移植部のかさぶたや赤みは徐々に落ち着いていきます。
 ただし、症状の程度や回復までの期間には個人差があります。また、ドナー部の経過は、FUT法とFUE法で異なります。
 FUT法では縫合した部分に線状の傷痕が残り、FUE法では採取した数だけ小さな点状の傷痕が分散して残ります。

術後2〜4週間頃

 術後2〜4週間頃には、移植した毛が一時的に抜けることがあります。
 これは、移植した毛包が休止期に入り、毛幹が一度抜けるために起こるものです。移植毛が抜けても、毛包が定着していれば、その後に新しい毛が生えてくることが期待されます。
 抜ける時期や量には個人差があり、すべての移植毛が同じ時期に抜けるわけではありません。

術後3〜6か月頃

 術後3〜6か月頃になると、移植した毛包から新しい毛が少しずつ生え始めます。
 生え始めの毛は、細く短い産毛のように見えることがあります。また、部位によって発毛する時期に差が生じる場合があり、移植範囲全体が一度に同じ密度になるわけではありません。
 この時期はまだ完成した状態ではないため、発毛量や密度を早い段階で判断しないことが大切です。

術後6〜12か月頃

 術後6〜12か月頃になると、生えてきた毛が伸び、徐々に太くなることで、見た目の変化を感じやすくなります。
 生え際や前頭部では、前髪の作りやすさや地肌の透け方に変化が見られる場合があります。頭頂部では、毛流れや光の当たり方によって変化の感じ方が異なります。
 前頭部と頭頂部など複数の部位へ移植した場合は、部位ごとに発毛の進み方や見た目の変化に差が出ることもあります。

術後12〜18か月頃

 術後12〜18か月頃には、移植毛の太さや長さが整い、仕上がりを確認しやすくなります。
 ただし、発毛する時期や毛が太くなるまでの期間には個人差があります。特に頭頂部は、生え際や前頭部と比べて変化を感じるまでに時間がかかる場合があります。

複数回の手術では全体の完成まで時間がかかる

 植毛5,000株以上を複数回に分ける場合は、それぞれの手術日を起点として発毛が進みます。
 例えば、初回に前頭部へ移植し、1年後の次回手術で頭頂部へ移植した場合、前頭部と頭頂部では発毛の進行時期が異なります。総移植株数5,000株以上の全体的な仕上がりを確認するまでには、初回手術から2年以上かかることもあります。
 また、過去の植毛と今回の追加植毛を合わせて総移植株数が5,000株以上になる場合は、過去に移植した毛と新たに移植した毛で、毛の長さや成熟の程度が異なる時期があります。
 術後すぐの見た目や一時的な抜け毛だけで結果を判断せず、最後の手術から十分な期間を置いて経過を確認することが重要です。
 赤み、痛み、腫れなどが長く続く場合や、経過に不安がある場合は、手術を受けたクリニックへ相談しましょう。

植毛後の詳しい経過については、「植毛後の経過(1ヶ月後、3ヶ月後、半年後、1年後)」も併せてご参照ください。

植毛5,000株以上の副作用・リスク 

 自毛植毛は、自分自身の毛包を薄毛の部位へ移植する治療ですが、外科的な手術であるため、副作用やリスクがまったくないわけではありません。
 5,000株以上は、通常、複数回の手術による総移植株数として考えます。そのため、手術を受けるたびに術後症状が現れる可能性があります。また、ドナー部から採取した毛包は元の場所からなくなるため、複数回の採取による影響は合計して考える必要があります。

主な副作用・リスクには、次のようなものがあります。

副作用・リスク主な内容
痛み・腫れ・むくみ移植部やドナー部に一時的な症状が出ることがある
赤み・かさぶた・かゆみ移植部を中心に生じることがある
出血手術直後に移植部やドナー部からにじむことがある
ショックロス移植部周辺の既存毛が一時的に抜けることがある
感染・毛包炎まれに炎症や膿疱が生じることがある
知覚の違和感頭皮のしびれや感覚の鈍さが出ることがある
傷痕FUT法では線状、FUE法では点状の傷痕が残る
ドナー部の密度低下採取数が増えると後頭部や側頭部が薄く見える可能性がある
発毛や仕上がりの差生着率や発毛時期、毛の太さなどには個人差がある

痛み・腫れ・赤みなどの術後症状

 手術後は、移植部やドナー部に痛み、赤み、かさぶた、かゆみ、つっぱり感などが生じることがあります。
 また、手術中に使用した麻酔液などの影響により、額やまぶたの周囲にむくみが出る場合があります。多くは一時的な症状ですが、程度や続く期間には個人差があります。
 5,000株以上を複数回に分けて移植する場合は、各手術の後に同様の症状が現れる可能性があります。1回ごとの移植範囲や採取数が多い場合は、小規模な植毛より赤みやかさぶたが見える範囲も広くなることがあります。

ショックロス

 植毛後には、移植部周辺に残っている既存毛が一時的に抜ける「ショックロス」が起こることがあります。
 手術による頭皮への刺激などをきっかけに、既存毛が休止期へ移行することで起こると考えられています。多くの場合は一時的ですが、もともと細く弱くなっていた毛は、十分に回復しないこともあります。
 既存毛が残っている前頭部や頭頂部へ広く移植する場合は、周囲の毛の状態を確認しながら、移植範囲や密度を計画する必要があります。
 また、複数回に分けて植毛する場合は、それぞれの手術後にショックロスが起こる可能性があります。

FUT法で残る線状の傷痕

 FUT法では、後頭部や側頭部の頭皮を帯状に採取し、採取した部分を縫合します。そのため、ドナー部には線状の傷痕が残ります。
 通常は周囲の髪をある程度伸ばすことで隠しやすくなりますが、髪を極端に短くすると、傷痕が見える可能性があります。
 傷痕の幅や目立ち方は、頭皮の状態、採取する範囲、縫合方法、術後の治り方などによって異なります。
 複数回FUT法を行う場合は、前回の傷痕や頭皮の柔らかさ、残っている採取可能範囲を確認したうえで、次の手術が可能かを判断します。

FUE法で残る点状の傷痕と密度低下

 FUE法では、専用のパンチ器具を使い、後頭部や側頭部から毛包を1株ずつくり抜いて採取します。
 FUT法のような線状の傷痕は残りませんが、採取した数に応じて、小さな点状の傷痕が分散して残ります。また、採取した毛包は元の位置からなくなるため、採取数が増えるほどドナー部全体の毛量は減少します。
 過剰に採取すると、後頭部や側頭部の地肌が透けたり、採取した範囲がまだらに薄く見えたりする可能性があります。
 FUE法では、複数回に分けて採取した場合も、過去の手術を含む総採取数に応じてドナー部の密度が低下します。
 また、FUE法による採取範囲や総採取数によっては、将来の追加植毛で使用できるドナーや、FUT法で確保できる株数に影響する可能性があります。
 複数回の植毛を検討する場合は、今回のFUE法による採取後の見た目だけでなく、将来FUT法や追加のFUE法で何株程度を採取できる余力が残るかも確認することが重要です。

将来の追加植毛への影響

 ドナー部から採取できる毛包の数には限りがあります。
 5,000株以上は、生涯に使用できるドナーの中でも非常に大きな割合を占める可能性がある総移植株数です。今回の治療で多くのドナーを使用すると、将来AGAが進行した際に、追加植毛へ使用できる株数が少なくなることがあります。
 特に若い年代や、今後もAGAの進行が予想される場合は、現在気になる範囲だけでなく、将来薄くなる可能性がある範囲も考慮する必要があります。
 採取可能な株数が5,000株以上ある場合でも、すべてを使用することが適切とは限りません。今回の移植に使用する株数と、将来のために残す株数のバランスを考えることが重要です。

感染や毛包炎など

 頻度は高くありませんが、術後に感染、毛包炎、膿疱などが生じることがあります。
 移植部やドナー部の強い痛み、腫れ、熱感、膿、出血などが続く場合は、自己判断せず、早めに手術を受けたクリニックへ相談することが大切です。
 複数回に分けて植毛する場合も、各手術で感染などのリスクがあるため、医師や看護師から説明された術後の注意事項を守る必要があります。

発毛や仕上がりには個人差がある

 移植したすべての毛包が、必ず同じように発毛するわけではありません。生着率、発毛時期、毛の太さや長さなどには個人差があります。
 また、総移植株数が5,000株以上であっても、薄毛の範囲が広い場合や既存毛が少ない場合は、希望する密度に届かないことがあります。
 複数回に分けて行う場合は、各手術で発毛時期が異なるため、部位によって一時的に密度や毛の長さに差が生じることもあります。
 手術前には、期待できる変化だけでなく、傷痕、ドナー部への影響、手術回数、将来の追加植毛の可能性についても説明を受けることが重要です。

 FUT法・FUE法で残る傷痕について詳しくは、「自毛植毛の傷痕について」も併せてご確認ください。

植毛5,000株以上の費用目安 

 自毛植毛は自由診療のため、費用はクリニックによって異なります。一般的には、術式、移植する株数、手術回数、検査費、術後の診察や薬代などによって総額が変わります。
 5,000株以上は、通常、複数回の手術による総移植株数として考えます。そのため、費用を確認する際は、5,000株分の移植費だけでなく、手術回数に応じて必要となる手術費も含めて考えることが重要です。

紀尾井町クリニックで総移植株数5,000株を計画した場合

 紀尾井町クリニックの通常料金は、手術費22万円に、FUT法は1株660円、FUE法は1株990円の移植費を加える仕組みです。
 FUT法で総移植株数5,000株を計画する場合、5,000株分の移植費は330万円(税込)です。これに、実際に行う手術回数に応じて、1回22万円(税込)の手術費が加わります。
 紀尾井町クリニックでは、総移植株数5,000株以上をFUE法だけで行う治療は想定していません。複数回の手術のうちFUE法を使用する場合は、実際にFUE法で移植する株数と手術回数に応じて費用が変わります。具体的な費用の考え方は後述します。

2回に分けて合計5,000株を移植する場合

 FUT法で合計5,000株を2回の手術に分ける場合は、5,000株分の移植費330万円に、2回分の手術費44万円を加えます。

内容計算式費用目安
移植費660円×5,000株330万円(税込)
手術費22万円×2回44万円(税込)
合計330万円+44万円374万円(税込)

 例えば、初回3,000株、次の手術で2,000株に分けた場合も、両方をFUT法で行うのであれば、合計は374万円(税込)です。
 ただし、1回ごとの株数は、費用を基準に決めるものではありません。ドナー部の状態、採取可能な株数、移植する範囲、初回の発毛経過などを確認して決定します。

3回に分けて合計5,000株を移植する場合

 合計5,000株をFUT法による3回の手術に分ける場合は、移植費330万円に、3回分の手術費66万円を加えます。

内容計算式費用目安
移植費660円×5,000株330万円(税込)
手術費22万円×3回66万円(税込)
合計330万円+66万円396万円(税込)

 手術回数が増えるほど、手術費も回数分必要になります。一方、複数回に分けることで、初回の発毛経過や既存毛の変化を確認してから、次に移植する部位や株数を調整できる場合があります。
 5,000株を超える場合でも、「1株あたりの移植費×総移植株数+手術費×手術回数」で計算します。 

複数回の手術のうちFUE法を使用する場合の費用

 総移植株数5,000株以上を複数回に分ける場合は、すべての手術をFUT法で行うとは限りません。
 まとまった株数はFUT法で確保し、複数回の手術のうち、小範囲への追加や密度調整を行う回にFUE法を選択することがあります。
この場合の費用は、次の計算式で求めます。

FUT法で移植する株数×660円+FUE法で移植する株数×990円+22万円×手術回数

FUE法を用いる株数や手術回数は、追加する範囲、過去の採取歴、ドナー部の残存密度などによって異なります。

血液検査などの費用

 紀尾井町クリニックでは、手術前に感染症チェックのための血液検査が必要です。当院で検査を受ける場合は、4,000円(税込)が別途必要です。他の医療機関で受けた検査結果を持参できる場合もあります。

 クリニックによっては、次の費用が別途必要になることがあります。

  • 術前の診察・検査費
  • 麻酔代
  • 処方薬の費用
  • 術後の診察費
  • 交通費や宿泊費
  • 再手術や追加植毛の費用

 費用を比較するときは、1株あたりの単価だけでなく、見積もりに含まれる項目と、治療全体で必要となる総額を確認しましょう。

費用を比較するときの確認事項

 植毛5,000株以上を検討する際は、次の点を確認することが大切です。

  • 予定している総移植株数
  • 1回ごとに移植する株数
  • 予定する手術回数
  • 手術費が何回分必要になるか
  • 使用する術式とその理由
  • 見積もりに含まれる費用
  • 追加料金が発生する条件
  • 予定した株数を採取できなかった場合の費用
  • 将来追加植毛を行う場合の費用

 5,000株以上は、費用も治療期間も大きくなりやすい総移植株数です。料金の安さだけで判断せず、移植範囲、必要な密度、ドナー部への影響、手術回数、将来的な追加植毛の可能性まで含めて治療計画を確認することが重要です。
 自毛植毛の費用については、「植毛費用を比較するときの注意点|見積もり・内訳・必要株数の確認方法」も併せてご参照ください。
 紀尾井町クリニックの最新の費用については、「植毛の費用・料金」をご確認ください。

5,000株以上の植毛におけるFUT法とFUE法の位置づけ

 自毛植毛の主なドナー採取方法には、FUT法とFUE法があります。
 
総移植株数5,000株以上では、必要な株数、ドナー部の状態、過去の手術歴などを踏まえて術式を検討します。紀尾井町クリニックでは、5,000株以上を計画する場合、FUT法を中心とした複数回の手術によって段階的に総移植株数を確保します。
 一方、FUE法は、5,000株以上を1回で確保する中心的な採取方法としてではなく、複数回の手術のうち、限られた範囲への追加や部分的な密度調整を行う場合などに検討されることがあります。
 また、生涯に利用できるドナーをできるだけ多く確保する場合は、FUT法による採取を先行し、その後、ドナー部の残存密度を確認しながらFUE法を組み合わせる方法があります。
 ただし、すべての方がFUT法とFUE法の両方を使用するわけではありません。実際の術式や手術回数は、薄毛の範囲、必要な株数、頭皮の柔らかさ、傷痕、過去の手術歴、希望する髪型などから判断します。

項目FUT法FUE法
5,000株以上での位置づけ複数回の手術でまとまった株数を確保する中心的な方法複数回の手術のうち、小範囲への追加や密度調整を行う回に検討
主な目的広い範囲に必要な株数を確保する限られた範囲への追加、部分的な密度調整
採取方法頭皮を帯状に採取した後、毛包単位に分ける毛包を1株ずつくり抜いて採取する
傷痕線状の傷痕が残る採取数に応じて点状の傷痕が残る
主な注意点頭皮の柔らかさ、線状の傷痕、過去の採取歴ドナー部の密度低下、過剰採取
将来の追加植毛追加採取できる範囲を確認する過去の総採取数と残存密度を確認する

FUT法とFUE法の採取方法や傷痕、適応の違いについては、「FUT法とFUE法の違い」も併せてご参照ください。

総移植株数5,000株以上ではFUT法を中心に治療計画を立てる

 FUT法は、後頭部や側頭部の頭皮を帯状に採取し、採取した組織を毛包単位に分ける方法です。
 双眼実体顕微鏡で毛包を確認しながら株分けするため、毛根の切断を抑え、採取したドナーから移植に使用できる株を確保しやすい特徴があります。
 まとまった株数を確保しやすく、採取したドナーを有効に利用しやすいため、総移植株数5,000株以上の治療では、FUT法を中心とした複数回の手術として計画します。
 1回ごとに採取・移植する株数は、ドナー部の密度や頭皮の柔らかさ、過去の採取歴、移植する範囲、将来の追加植毛に残すドナーなどを踏まえて決定します。
 各手術後の発毛経過や既存毛の変化を確認しながら、次に補う範囲や株数を調整することが重要です。

複数回の手術のうちFUE法を選択する場合 

 FUE法は、後頭部や側頭部から毛包を1株ずつくり抜いて採取する方法です。
 当院では、1回のFUE法で5,000株以上を採取する治療計画は想定していません。FUE法は、FUT法を中心とした複数回の治療計画のうち、限られた範囲へ数百株程度を追加する場合や、部分的な密度調整を行う場合などに検討されることがあります。
 例えば、初回や2回目にFUT法でまとまった株数を確保し、別の手術で生え際や移植部の一部へFUE法による追加植毛を行う場合があります。
 頭皮を帯状に切除しないため、FUT法のような線状の傷痕は残りませんが、採取した数に応じて点状の傷痕が分散して残ります。また、採取した毛包は元の位置からなくなるため、採取数が増えるほどドナー部全体の密度は低下します。
 FUE法を選択できるかどうかは、過去の総採取株数、ドナー部の残存密度、FUT法の傷痕、追加する範囲、希望する髪型などによって異なります。

複数回の手術で採取方法を組み合わせる場合 

 総移植株数5,000株以上を複数回に分ける場合は、すべての手術を同じ採取方法で行うとは限りません。
 FUT法でまとまった株数を確保し、別の手術で限られた範囲への追加や密度調整を目的としてFUE法を選択する場合があります。
 FUT法では、帯状に採取した頭皮を双眼実体顕微鏡で確認しながら毛包単位に切り分けるため、毛根の切断を抑えながら、移植に使用できる株を確保しやすい特徴があります。一方、FUE法では皮膚表面から毛包を1株ずつくり抜いて採取するため、毛包の走行によっては採取時に毛根を切断することがあり、有効採取率は術者の経験や技量にも左右されます。
 そのため、生涯に利用できるドナーをできるだけ多く確保することを重視する場合は、採取したドナーを有効に利用しやすいFUT法を先行し、その後にドナー部の状態を確認しながらFUE法による追加採取を検討する方法があります。
 ただし、採取方法を組み合わせることで、採取できる株数が無制限に増えるわけではありません。どちらの方法でも、採取した毛包はドナー部からなくなります。
 過去の総採取株数、残存密度、傷痕、将来の追加植毛に残すドナーなどを確認したうえで、各手術の採取方法を決める必要があります。

FUT法とFUE法の採取順序について詳しくは、「植毛を行うときにFUT法とFUE法のどちらを最初に行うべきか【医師監修】」も併せてご参照ください。

5,000株以上での術式選択の考え方

 総移植株数5,000株以上の術式を考える際は、「線状の傷痕を避けたい」「できるだけ多く採取したい」といった一つの条件だけで決めるのではなく、ドナー部全体への影響を比較することが大切です。
 FUT法では線状の傷痕が残りますが、まとまった株数を確保しやすい特徴があります。FUE法では線状の傷痕は残りませんが、採取数が増えるほど点状の採取痕が広い範囲に生じ、ドナー部全体の密度が低下する可能性があります。
 特に将来的なAGAの進行や追加植毛が予想される場合は、今回の手術だけでなく、生涯を通じてドナーをどのように使用するかを考える必要があります。
 また、過去にFUE法で広い範囲から多く採取している場合は、将来FUT法で採取する範囲の毛包密度にも影響している可能性があります。
 傷痕の残り方、希望する髪型、費用、採取可能な株数、過去の植毛歴、将来の治療計画を総合的に確認したうえで、各手術に適した術式を判断します。
 医療機関によって対応している採取方法が異なるため、提示される治療計画にも違いがあります。総移植株数だけでなく、各手術で使用する採取方法、FUE法を使用する株数、将来の追加植毛に残るドナーまで含めて説明を受けることが大切です。

FUTメガセッションと5,000株以上の違い 

 FUT法で通常より多くの株数を1回で移植する方法は、FUTメガセッションと呼ばれることがあります。
 ドナー部の状態や手術体制などの条件が整った症例では、FUT法で1回に非常に多くの株数を移植する手術が行われることもあります。
 ただし、5,000株以上を1回で移植することは一般的な手術規模ではなく、通常は複数回の手術による総移植株数として計画されます。
 紀尾井町クリニックでは、5,000株以上を1回のFUTメガセッションとしてではなく、FUT法を中心とした複数回の手術による総移植株数として計画します。
 初回に生え際や前頭部を優先し、次の手術で頭頂部や密度を追加したい範囲を補うなど、各手術の目的と株数を分けて計画することが重要です。 

5,000株以上を有効に使うためのポイント 

 植毛5,000株以上では、総株数の多さだけでなく、どの部位へ何株配分するか、どの部位を優先するか、各手術でどの程度の株数を使用するかを計画することが重要です。

配分・治療計画の考え方主な目的
生え際・前頭部を優先する正面から見た印象を補う
頭頂部を優先するつむじ周囲や頭頂部の透け感を補う
前頭部と頭頂部へ配分する複数の部位を段階的に補う
手術ごとに目的を分ける初回の発毛経過を確認して次の範囲を決める
採取可能な株数を確認する希望株数ではなく、ドナー部の状態を基準にする
将来の追加植毛に備える生涯使用できるドナーを残す

生え際・前頭部を優先する

 生え際や前頭部は、正面から見た印象に影響しやすい部位です。そのため、前頭部から頭頂部まで広く薄毛がある場合でも、初回の手術では生え際や前頭部を優先することがあります。
 生え際の輪郭だけでなく、その奥の前頭部にも株数を配分することで、前髪を下ろしたときや髪を分けたときの地肌の透け感を補いやすくなる場合があります。
 ただし、生え際を必要以上に下げると、新たに毛を配置する面積が広がり、前頭部の奥側や頭頂部へ使用できる株数が少なくなります。
 総移植株数が5,000株以上であっても、生え際を大きく下げることと、前頭部から頭頂部までを高い密度で補うことを両立できるとは限りません。

頭頂部を優先する

 前頭部の既存毛がある程度残っており、つむじ周囲や頭頂部の透け感が特に気になる場合は、頭頂部へ多くの株数を配分することがあります。
 頭頂部は面積が広くなりやすいため、全体へ均等に分散するよりも、つむじの中心や特に地肌が目立つ範囲へ重点的に配分する方が、見た目の変化を感じやすい場合があります。
 また、頭頂部では髪が放射状に広がるため、単に株数を多くするだけでなく、既存のつむじの位置や毛流れに合わせて移植することが重要です。
 頭頂部全体が広く薄くなっている場合は、5,000株以上でも十分な密度に届かないことがあります。どの範囲までを移植対象とするかを明確にする必要があります。

前頭部と頭頂部へ配分する

 前頭部と頭頂部の両方が気になる場合は、総移植株数5,000株以上を複数の部位へ配分することがあります。
 例えば、正面から見た印象に影響しやすい前頭部へ多く配分し、残りをつむじ周囲や頭頂部へ移植する方法があります。
 ただし、前頭部と頭頂部の両方を同じように高密度で補おうとすると、5,000株以上でも不足する可能性があります。
 複数の部位を補う場合は、どの部位を最も優先するのか、各部位にどの程度の変化を求めるのかを整理することが大切です。

手術ごとに目的と株数を分ける

 5,000株以上は、1回の手術ですべてを移植するのではなく、複数回に分けて計画するのが基本です。
 例えば、初回は生え際から前頭部を補い、その後の発毛経過や既存毛の変化を確認してから、次の手術で頭頂部や密度を追加したい範囲を補う方法があります。
 複数回に分けることで、初回の仕上がりを確認しながら、次の手術で必要となる部位や株数を調整できる場合があります。
 一方、各手術の間には発毛を確認する期間が必要であり、手術のたびに費用や術後の回復期間も生じます。各手術の目的、予定株数、治療期間を含めた長期的な計画を確認することが重要です。

総移植株数を目標にしすぎない

「5,000株以上」という数字は、必ず達成しなければならない目標ではありません。
 薄毛の範囲から5,000株以上が必要と考えられても、ドナー部の状態によっては、希望する株数を採取できないことがあります。
 また、採取可能な株数が5,000株以上ある場合でも、すべてを使用することが適しているとは限りません。より少ない株数でも、優先する範囲へ適切に配分することで、希望する変化を得られる場合があります。
 株数の多さだけで治療計画を判断せず、薄毛の範囲、必要な密度、既存毛、ドナー部への影響を確認することが大切です。

将来の追加植毛に備えてドナーを残す

 ドナー部から採取できる毛包の数には限りがあります。AGAの進行によって将来追加植毛が必要になる可能性も考慮し、今回使用する株数と将来のために残す株数のバランスを検討することが重要です。
 特に総移植株数5,000株以上では、生涯に利用できるドナーの大部分を使用する可能性があるため、将来の治療に残すドナーも含めて計画する必要があります。

 ドナー部の特性について詳しくは、「ドナーエリアはなぜAGAに強いのか?自毛植毛で活用される理由とは」も併せてご参照ください。

薬物療法との併用を検討するケース 

 AGAが関係している薄毛では、自毛植毛とあわせて薬物療法を検討することがあります。
 自毛植毛は、後頭部や側頭部から採取した毛包を薄毛の部位へ移植し、毛量を補う治療です。一方、AGA治療薬は、主に移植していない既存毛の維持や、AGAの進行抑制、発毛などを目的として使用されます。
 植毛5,000株以上によって前頭部や頭頂部などの広い範囲を補っても、周囲に残っている既存毛がAGAの影響で細くなったり、抜けたりする可能性があります。
 また、5,000株以上は複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。初回手術から次の手術までの間に既存毛の状態が変化することもあるため、移植する範囲だけでなく、既存毛をどのように維持するかも含めて治療計画を立てることが重要です。

既存毛が残っているケース

 前頭部や頭頂部に既存毛が残っている場合は、移植毛と既存毛が重なることで、見た目の密度を補いやすくなることがあります。
 一方、既存毛がAGAによって細くなっている場合は、植毛後も薄毛が進行する可能性があります。移植毛が発毛しても、その周囲の既存毛が減少すると、再び地肌が目立つことがあります。
 このような場合には、既存毛の維持やAGAの進行抑制を目的として、薬物療法を検討することがあります。
 既存毛の状態を維持できれば、移植毛とのバランスを保ちやすくなり、将来的に必要となる追加植毛の範囲や株数を抑えられる可能性もあります。

複数回の植毛を予定しているケース

 複数回の植毛を予定している場合、手術と手術の間にAGAが進行すると、次の手術で必要となる移植範囲や株数が変わることがあります。
 そのため、複数回の植毛を予定する場合は、移植毛の発毛だけでなく、既存毛の変化も確認しながら次の治療計画を調整することが大切です。

将来的なAGAの進行が予想されるケース

 若い年代の方や、現在も薄毛が進行している方では、手術時点では毛が残っている部位が、将来的に薄くなる可能性があります。
 総移植株数が5,000株以上であっても、将来薄くなる可能性があるすべての範囲を補えるとは限りません。
 現在気になる部分だけを基準に移植すると、その後に既存毛が減った際、移植した部分と周囲との間に密度差が生じる可能性があります。
 AGA治療薬によって既存毛の減少を抑えられれば、限られたドナーを将来のために残しやすくなる場合があります。

検討される主なAGA治療薬

 AGAの薬物療法では、薄毛の状態や体質などに応じて、主に次のような治療薬が検討されます。

 フィナステリドやデュタステリドは、AGAの進行に関与するジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える目的で使用されます。
 ミノキシジルは、発毛を促す目的で使用される薬です。
 治療薬には、それぞれ副作用や使用できないケースがあります。期待できる作用や適した薬は、薄毛の状態、年齢、既往歴、使用中の薬などによって異なります。
 自己判断で使用を開始・中止せず、医師の診察を受けたうえで検討する必要があります。

すべての方に薬物療法が必要とは限らない

 植毛5,000株以上を受けるすべての方に、AGA治療薬が必要というわけではありません。
 薄毛の原因がAGAではない場合や、既存毛の状態、年齢、薄毛の進行度、薬の副作用、本人の希望などによって、薬物療法を行わないこともあります。
 また、自毛植毛と薬物療法では、治療の目的が異なります。自毛植毛は、後頭部や側頭部などから採取した毛包を薄毛の部位へ移植して毛量を補う治療です。一方、薬物療法は、主に既存毛の維持やAGAの進行抑制、発毛を目的として行われます。薄毛の状態に応じて、それぞれの治療を検討します。
 植毛5,000株以上を検討する際は、総移植株数や手術回数だけでなく、既存毛をどのように維持するか、将来のAGAの進行にどう対応するかも含めて医師と相談することが大切です。

 AGA治療薬については、「AGA治療薬とは?その効果や副作用を解説」も併せてご確認ください。

植毛5,000株以上に関するよくある質問 

Q. 植毛5,000株は何本くらいですか?

A. 1株には通常1〜3本程度、場合によっては4本程度の毛髪が含まれ、平均すると約2〜2.5本程度です。
 そのため、植毛5,000株は、約10,000〜12,500本程度の毛髪に相当するのがひとつの目安です。5,000株を超える場合は、実際の総移植株数に応じて毛髪本数も増えます。
 ただし、1株に含まれる毛髪本数には個人差があるため、必ずこの本数になるわけではありません。

Q. 植毛5,000株以上は多い株数ですか?

A. 5,000株以上は、自毛植毛の中でも非常に大きな総移植株数です。
 生え際から前頭部にかけての広い範囲、頭頂部の一定範囲、または前頭部と頭頂部の両方を段階的に補う場合などに検討されます。
 また、最初から5,000株以上を予定する場合だけでなく、過去の植毛と追加植毛を合わせた総移植株数が5,000株以上になるケースもあります。

Q. 植毛5,000株でどのくらいの範囲をカバーできますか?

A. 毛がほとんどない範囲へ1cm²あたり30〜40株程度で移植する場合、約125〜167cm²が計算上の目安です。
 既存毛が残っている部位を20〜30株/cm²程度で補強する場合は、より広い範囲へ配分できることがあります。
 ただし、計算上カバーできる面積と、十分な見た目の密度を得られる面積は同じとは限りません。髪の太さ、既存毛の量、薄毛の範囲、移植する部位、株数の配分などによって異なります。

Q. 植毛5,000株以上で生え際はどのくらい下げられますか?

A. 生え際をどの程度下げられるかは、現在の生え際の位置、左右のM字部分の深さ、額の広さ、希望する密度、既存毛の状態などによって異なります。
 生え際を大きく下げるほど、新たに毛を配置する面積が広がり、必要な株数も増えます。
 そのため、総移植株数が5,000株以上であっても、生え際を大きく下げることと、その奥の前頭部を十分な密度で補うことを両立できない場合があります。
 将来的なAGAの進行や追加植毛に必要となるドナーも考慮して、生え際の位置を決めることが大切です。

Q. 植毛5,000株以上で頭頂部全体をカバーできますか?

A. 頭頂部の薄毛範囲や既存毛の量によって異なります。
 つむじ周囲や頭頂部の一定範囲を補える場合はありますが、頭頂部全体が広く薄くなっている場合は、5,000株以上でも十分な密度に届かない可能性があります。
 頭頂部は面積が広くなりやすく、髪が放射状に広がるため、同じ株数でも生え際や前頭部より密度を感じにくい部位です。
 つむじの中心や、特に地肌が目立つ範囲を優先して補う方法も検討されます。

Q. 植毛5,000株以上で前頭部と頭頂部の両方を補えますか?

A. 薄毛の範囲や既存毛の状態によっては、前頭部と頭頂部の両方を治療計画に含めることがあります。
 ただし、前頭部と頭頂部の両方を同じように高密度で補うには、5,000株以上でも不足する場合があります。
 各部位に必要な密度や既存毛の状態を確認し、優先順位を決めて株数を配分します。

Q. 植毛5,000株以上は1回の手術で移植できますか?

A. 5,000株以上は、通常、1回の手術で移植する株数ではなく、複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。
 1回ごとの株数や手術回数は、ドナー部の広さや密度、毛髪の太さ、頭皮の柔らかさ、過去の植毛歴、移植する範囲などによって異なります。

Q. FUT法によるメガセッションなら5,000株以上を1回で移植できますか?

A. メガセッションとは、通常より多くの株数を1回の手術で移植する方法を指し、FUT法で行われる場合もあります。5,000株以上を1回で移植することは一般的な手術規模ではなく、通常は複数回の手術による総移植株数として計画されます。
 実際に採取・移植できる株数は、ドナー部の密度、頭皮の柔らかさ、採取できる範囲などによって異なります。
 総移植株数5,000株以上と、1回のメガセッションは同じ意味ではなく、5,000株以上は複数回の手術による総移植株数として考えるのが基本です。

Q. 植毛5,000株以上では、FUE法も使用しますか?

A. 総移植株数5,000株以上を複数回で計画する場合は、まとまった株数をFUT法で確保し、限られた範囲への追加や部分的な密度調整を行う回にFUE法が選択されることもあります。
 必ずFUT法とFUE法の両方を使用するわけではなく、FUT法だけで総移植株数5,000株以上を計画する場合もあります。
 実際にFUE法を使用できるかどうかは、過去の総採取株数、ドナー部の残存密度、傷痕、追加する範囲などによって異なります。

Q. FUE法だけで総移植株数5,000株以上を採取することはありますか?

A. FUE法だけで5,000株以上を確保できるかどうかは、ドナー部の密度や採取範囲などによって異なります。
 紀尾井町クリニックでは、1,000株以上のまとまった採取が必要な場合はFUT法を推奨しており、5,000株以上をFUE法だけで確保する治療計画は基本的に想定していません。
 FUE法は、複数回の手術のうち、小範囲への追加や部分的な密度調整などで検討します。

Q. FUE法を先に受けると、将来のFUT法に影響しますか?

A. FUE法で採取した範囲や株数によっては、後からFUT法で確保できる株数が少なくなる可能性があります。
 FUE法では、後頭部や側頭部の毛包を1株ずつ分散して採取します。この中には、将来FUT法を行う場合に帯状に採取する範囲の毛包も含まれることがあります。
 FUE法による採取を先に広い範囲で行うと、その後にFUT法で採取する頭皮内の毛包密度が低下しているため、FUT法で確保できる株数が少なくなる場合があります。
 生涯に利用できるドナーをできるだけ多く確保したい場合は、今回の術式だけでなく、将来のFUT法・FUE法の順番まで含めて治療計画を確認することが重要です。

FUT法とFUE法の採取順序について詳しくは、「植毛を行うときにFUT法とFUE法のどちらを最初に行うべきか【医師監修】」も併せてご参照ください。 

Q. 植毛5,000株以上の費用はいくらですか?

A. 費用は、1株あたりの料金、基本手術費、使用する術式、手術回数などによって異なります。
 5,000株以上は複数回の手術による総移植株数として考えるため、株数分の移植費だけでなく、手術回数分の基本手術費を含めた総額を確認する必要があります。
 FUT法だけで複数回行う場合と、複数回の手術のうちFUE法を使用する場合では、費用が異なります。具体的な計算例は、上記の「植毛5,000株以上の費用目安」をご確認ください。

Q. 5,000株以上を移植した後に追加植毛はできますか?

A. 追加植毛が可能かどうかは、5,000株以上を採取した後に残っているドナーの量や密度、過去に使用した術式、傷痕の状態、薄毛の進行などによって異なります。
 5,000株以上は、生涯に使用できるドナーの中でも非常に大きな割合を占める可能性があります。
 将来的な追加植毛を考えている場合は、最初の手術から可能な限り多く採取するのではなく、将来のためにどの程度ドナーを残すか確認することが重要です。

Q. 過去の植毛を含めて5,000株以上になる場合もありますか?

A. 過去の植毛と今回の追加植毛を合わせた結果、総移植株数が5,000株以上になることがあります。
 例えば、初回に前頭部へ3,000株を移植し、その後、頭頂部などへ2,000株を追加した場合、総移植株数は5,000株です。
 この場合は、今回移植する株数だけでなく、過去に採取した株数や術式、残っているドナーの密度を確認する必要があります。

Q. 植毛5,000株以上と4,000株では何が違いますか?

A. 5,000株は4,000株より1,000株多く、毛髪本数に換算すると、5,000株は約10,000〜12,500本、4,000株は約8,000〜10,000本が目安です。
 5,000株以上では、4,000株より広い範囲へ配分できる可能性があります。ただし、前頭部から頭頂部までをすべて十分な密度で補えるとは限りません。
 また、使用するドナーの割合も大きくなるため、採取可能な総株数、手術回数、過去の植毛歴、将来の追加植毛に残すドナーを、より慎重に確認する必要があります。

まとめ

 植毛5,000株は、一般的に約10,000〜12,500本程度の毛髪に相当する、非常に大きな移植株数です。生え際から前頭部、頭頂部などの広い範囲や、前頭部と頭頂部の両方を補う場合などに検討されます。
 毛がほとんどない範囲へ1cm²あたり30〜40株程度で移植する場合、5,000株で補える面積は約125〜167cm²がひとつの目安です。ただし、前頭部から頭頂部まで広く分散すると、部位ごとの密度が不足し、5,000株以上でも希望する変化に届かない場合があります。
 また、5,000株以上はドナー部から採取する量としても非常に大きいため、複数回の手術による総移植株数として計画することが重要です。まとまった株数をFUT法で確保し、必要に応じて小範囲への追加や部分的な密度調整にFUE法を組み合わせる方法があります。初回に生え際や前頭部を優先し、その後の発毛経過や既存毛の変化を確認してから、頭頂部や密度を追加したい範囲への植毛を検討することがあります。 
生涯に利用できるドナーをできるだけ多く確保する場合は、FUT法による採取を先行し、その後、ドナー部の残存密度を確認しながらFUE法を組み合わせる方法があります。
 各手術でどの採取方法を使用するかは、ドナー部の残存密度、過去の採取歴、傷痕、追加する範囲、将来の追加植毛に残すドナーなどを踏まえて判断することが重要です。

第三者サイトに掲載されている当院の評価(Caloo)

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監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師