頭頂部の薄毛・つむじはげの原因と治療法、AGAとの見分け方【医師監修】

頭頂部の薄毛(つむじはげ・てっぺんはげ・O字はげ)とは?原因と予防、対策・治療法を紹介

 頭頂部の薄毛(つむじはげ・O字はげ)は、AGA(男性型脱毛症)でみられる代表的な薄毛のパターンのひとつです。AGAでは、男性ホルモンの影響によって毛髪の成長期が短くなり、髪が十分に太く長く成長しにくくなることで、徐々に頭頂部の地肌が目立つようになる場合があります。
 ただし、つむじは毛流れの中心となるため、正常な状態でも地肌が見えやすい部位です。以前と比べて地肌の見える範囲が広がっている、つむじ周囲の毛が細く短くなっている、薄毛の範囲が徐々に拡大しているといった変化がみられる場合には、AGAなどの脱毛症が関係している可能性があります。
 AGAによる頭頂部の薄毛は進行性であり、治療にはフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどによる薬物治療が用いられます。また、薄毛の進行状態や既存毛の状態、希望する改善の程度によっては、自毛植毛が選択肢となる場合もあります。一方で、AGA以外の脱毛症や頭皮疾患などが関係することもあるため、原因や進行度を確認したうえで治療方法を検討することが重要です。

【要点】
・頭頂部の薄毛(つむじはげ・O字はげ)は、AGAでみられる代表的な薄毛のパターンのひとつ
・AGAでは毛髪が徐々に細く短くなることで、頭頂部の地肌が目立つようになる場合がある
・つむじは正常な状態でも地肌が見えやすいため、見た目だけでAGAとは判断できない
・以前より地肌の見える範囲が広がる、毛が細く短くなるなどの変化は、AGAを疑う目安のひとつ
・AGAによる頭頂部の薄毛には薬物治療が用いられ、状態によっては自毛植毛も選択肢となる
・AGA以外の脱毛症や頭皮疾患などが関係する場合もあるため、原因を確認したうえで治療方法を検討することが重要

 本コラムでは、頭頂部の薄毛(つむじはげ・O字はげ)が起こる原因、正常なつむじとの違い、AGAによる進行の特徴、頭頂部の薄毛が気になったときに確認したいポイント、薬物治療や自毛植毛などの治療方法について解説していきます。

目次

頭頂部の薄毛(つむじはげ・O字はげ)とは

 頭頂部の薄毛とは、頭のてっぺんからつむじ周辺にかけて毛髪が細くなったり、密度が低下したりすることで、地肌が目立つようになった状態を指します。上から見たときに円形や楕円形に薄毛が広がって見えることから、「つむじはげ」や「O字はげ」と呼ばれることもあります。
 男性の頭頂部にみられる薄毛では、AGA(男性型脱毛症)が原因となっているケースが多くあります。AGAでは毛髪が一度に抜けてなくなるのではなく、毛髪が徐々に細く短くなる「軟毛化」が進み、次第に頭皮が透けて見えるようになります。
 ただし、つむじはもともと毛髪が渦を巻くように生えているため、正常な状態でも中心部分の地肌が見えることがあります。そのため、つむじが見えているというだけでは、薄毛やAGAとは判断できません。

正常なつむじと薄毛の違い

 正常なつむじでは、毛髪が中心から放射状または渦状に生えているため、その中心部分では地肌が見えることがあります。照明の当たり方や髪の長さ、髪が濡れているかどうかなどによっても、地肌の見え方は変わります。
 一方、AGAなどによって頭頂部の薄毛が進行している場合には、つむじの中心だけではなく、その周囲まで地肌が広く見えるようになったり、周囲の毛髪が以前より細く短くなったりすることがあります。
 特に、過去の写真と比較してつむじ周辺の地肌が見える範囲が徐々に広がっている場合や、頭頂部全体のボリュームが低下している場合には、薄毛が進行している可能性があります。

確認ポイント正常なつむじでもみられる状態薄毛・AGAを疑う変化
地肌の見え方つむじの中心部が見える周囲まで見える範囲が広がる
毛髪の太さ周囲と大きな差がない細く短い毛が増える
ボリューム大きな変化がない頭頂部全体の厚みが低下する
経過長期間大きく変化しない数か月~数年かけて徐々に広がる
確認方法撮影条件で見え方が変化する同条件の過去写真でも変化が確認できる

これらはあくまで薄毛を疑う目安であり、見た目だけでAGAと診断することはできません。 

頭頂部の薄毛は自分では気づきにくい

 頭頂部は鏡を正面から見ただけでは確認しにくいため、生え際や前頭部の薄毛と比べて変化に気づきにくい部位です。
 自分では変化を感じていなくても、家族から指摘されたり、写真や動画などで上から見た自分の頭部を確認した際に初めて気づいたりすることがあります。
 薄毛の変化を確認する場合は、照明や髪型、撮影する角度などの条件によって見え方が大きく変わるため、できるだけ同じ条件で定期的に写真を撮影して比較すると変化を把握しやすくなります。

AGAでは頭頂部から薄くなることがある

 AGAにはいくつかの進行パターンがあり、生え際や前頭部から薄毛が進行する場合だけでなく、頭頂部から薄毛が目立ち始める場合もあります。
 AGAでは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の影響などによって毛髪の成長期が短くなり、十分に成長する前に抜ける毛髪が増えていきます。これを繰り返すことで毛髪が徐々に細く短くなり、頭頂部の地肌が目立つようになります。
 頭頂部だけに薄毛がみられることもあれば、AGAの進行に伴って前頭部や生え際の薄毛とつながり、広い範囲で薄毛が目立つようになる場合もあります。

頭頂部が薄くなる主な原因 

 頭頂部の薄毛にはさまざまな原因が考えられますが、成人男性で徐々に頭頂部の毛髪が細くなり、薄毛の範囲が広がっている場合には、AGA(男性型脱毛症)が原因となっていることが多くあります。
 一方で、頭頂部が薄く見えるからといって、すべてがAGAとは限りません。脱毛の仕方や進行の速さ、頭皮の状態などによっては、AGA以外の脱毛症や頭皮疾患が関係している場合もあります。

AGA(男性型脱毛症)

 AGAは、男性に多くみられる進行性の脱毛症です。生え際前頭部から薄毛が進行する場合のほか、頭頂部を中心に薄毛が広がる場合があります。
 AGAの発症には、男性ホルモンの一種であるテストステロンから生成されるジヒドロテストステロン(DHT)が関係しています。DHTが毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体と結合することで、毛髪の成長を抑制する作用が働き、毛周期成長期が短くなります。
 その結果、本来であれば太く長く成長する毛髪が、十分に成長する前に抜けるようになります。この状態を繰り返すことで、毛髪は徐々に細く短くなり、頭頂部の地肌が目立つようになります。
 AGAによる薄毛は進行性であるため、何も治療を行わない場合には、頭頂部だけでなく前頭部や生え際にも薄毛が広がっていくことがあります。

AGAに関係する遺伝的な要因

 AGAの発症しやすさには、遺伝的な要因も関係しています。
 特に、DHTの生成に関係する酵素の働きや、アンドロゲン受容体の感受性などには個人差があり、その一部には遺伝的な影響があると考えられています。そのため、家族や近親者にAGAの方がいる場合には、自身もAGAを発症する可能性があります。
 ただし、家族に薄毛の方がいるからといって必ずAGAを発症するわけではなく、反対に家族に目立った薄毛の方がいなくてもAGAを発症することがあります。家族歴だけでAGAかどうかを判断することはできません。

AGAと遺伝の関係については、「AGA(男性型脱毛症)による薄毛は遺伝するのか?」で詳しく解説しています。

AGA以外の脱毛症

 頭頂部の薄毛には、AGA以外の脱毛症が関係している場合もあります。
 例えば、休止期脱毛症では、身体的・心理的なストレス、発熱、手術、栄養状態の変化などをきっかけとして、多数の毛包が成長期から休止期へ移行し、一定期間を経て毛髪がまとまって抜けることがあります。AGAのように特定の部位から徐々に薄くなるというより、頭部全体の毛量が減少する形で現れることがあります。
 また、円形脱毛症では境界が比較的明瞭な脱毛斑が生じることがあり、頭頂部に発症した場合には、AGAによる薄毛とは異なる見え方をすることがあります。
 そのほか、瘢痕性脱毛症など、毛包そのものが障害される脱毛症によって頭頂部の毛髪が失われる場合もあります。

頭皮の疾患

 頭皮に炎症や皮膚疾患がある場合にも、抜け毛や毛髪の状態に影響することがあります。
 強いかゆみや赤み、湿疹、かさぶた、痛みなどを伴っている場合には、AGA以外の原因が関係している可能性があります。このような症状がみられる場合には、自己判断でAGA治療を始めるのではなく、原因を確認することが重要です。

生活習慣やストレスはAGAの直接的な原因ではない

 睡眠不足や偏った食生活、過度なストレスなどだけをAGAの直接的な原因として考えることは適切ではありません。AGAは主に男性ホルモンの影響や遺伝的な要因などが関係して発症するため、食生活や睡眠を改善するだけでAGAそのものが改善するとは限りません。
 一方、急激な体重減少や栄養状態の変化、強い身体的・心理的ストレスなどは、休止期脱毛症などAGA以外の脱毛のきっかけとなる場合があります。短期間に頭頂部や頭部全体の毛量が急に減少した場合には、AGA以外の原因も含めて確認することが重要です。

頭頂部の薄毛がAGAか確認するポイント 

 つむじは正常な状態でも地肌が見えやすいため、現在の見た目だけでAGAかどうかを判断することはできません。頭頂部の薄毛がAGAによるものかを考える際には、地肌の見える範囲だけでなく、毛髪の太さや長さ、薄毛の進行状況などを確認することが重要です。
 特に、以前と比べて頭頂部の地肌が目立つようになった場合や、つむじ周囲の毛髪が細く短くなっている場合には、AGAによる軟毛化が進んでいる可能性があります。

以前より地肌の見える範囲が広がっている

 AGAによる頭頂部の薄毛は、ある日突然大きく広がるというより、徐々に進行していくことが一般的です。
 以前の写真と比較して、つむじの中心だけでなく周囲まで地肌が見えるようになった、頭頂部の透けて見える範囲が広がったといった変化がある場合には、薄毛が進行している可能性があります。
 ただし、照明の強さや撮影する角度、髪の長さ、髪が濡れているかどうかなどによって地肌の見え方は大きく変わります。比較する際には、できるだけ同じ条件で撮影した写真を確認することが大切です。

つむじ周囲の毛が細く短くなっている

 AGAでは、毛髪がすべて一度に抜けるのではなく、毛周期の成長期が短くなることで、太く長く成長する前に抜ける毛髪が増えていきます。
 そのため、AGAが進行している頭頂部では、周囲と比べて細く短い毛髪が増え、全体として密度が低下したように見えることがあります。
 単に抜け毛の本数だけを見るのではなく、頭頂部に生えている毛髪そのものが以前より細くなっていないかを確認することも、変化を把握するうえで重要です。

頭頂部のボリュームが低下している

 AGAによって毛髪の軟毛化が進むと、地肌が見える範囲だけでなく、頭頂部全体のボリュームにも変化が現れることがあります。
 髪をセットしても頭頂部が以前より立ち上がりにくい、髪型が決まりにくくなった、頭頂部だけ髪の厚みが減ったように感じるといった変化がみられる場合には、毛髪の細毛化や密度低下が関係している可能性があります。

生え際や前頭部にも薄毛がみられる

 AGAは頭頂部だけに進行する場合もありますが、生え際や前頭部の薄毛と同時に進行することもあります。
 頭頂部の薄毛が気になる場合には、つむじ周辺だけではなく、生え際が以前より後退していないか、前頭部の毛髪が細くなっていないかなども確認すると、AGAの進行状況を把握しやすくなります。

数か月から数年単位で薄毛が進行している

 AGAは進行性の脱毛症であるため、時間の経過とともに少しずつ薄毛の範囲が広がることがあります。
 同じ条件で撮影した写真を数か月から数年単位で比較し、頭頂部の地肌の見える範囲や毛髪の太さに変化がみられる場合には、AGAの可能性を考えるひとつの目安となります。
 一方で、短期間に急激な脱毛が起きた場合や、頭頂部だけでなく頭部全体の毛量が急に減少した場合、赤みやかゆみ、痛みなどの頭皮症状を伴う場合には、AGA以外の脱毛症や頭皮疾患が関係している可能性もあります。

見た目だけでAGAを自己判断しない

 ここまでの特徴はAGAを疑う際の目安にはなりますが、該当する項目があるからといってAGAと確定できるものではありません。
 正常なつむじの見え方には個人差があり、AGA以外の脱毛症でも頭頂部が薄くなる場合があります。頭頂部の薄毛が気になる場合には、見た目だけで自己判断せず、薄毛の進行状況や毛髪・頭皮の状態などを確認したうえで、必要に応じて医師へ相談することが大切です。

頭頂部の薄毛とAGAの進行パターン

 AGA(男性型脱毛症)は、生え際や前頭部から進行する場合だけでなく、頭頂部から薄毛が目立ち始める場合もあります。頭頂部を中心に円形や楕円形に薄毛が広がる状態は、一般に「O字はげ」と呼ばれることがあります。
 AGAの進行パターンには個人差があり、頭頂部だけに薄毛がみられる場合もあれば、生え際や前頭部の薄毛と同時に進行する場合もあります。進行すると、頭頂部と前頭部の薄毛がつながり、広い範囲で地肌が目立つようになることもあります。

頭頂部を中心に進行するO字型

 頭頂部を中心に薄毛が進行する場合、つむじ周囲の毛髪が徐々に細く短くなり、地肌の見える範囲が円形または楕円形に広がっていきます。
 初期には、つむじの中心部分だけがやや透けて見える程度でも、進行すると周囲の毛髪にも軟毛化が広がり、頭頂部全体のボリュームが低下して見えるようになります。

 頭頂部は自分では確認しにくいため、ある程度進行してから薄毛に気づくこともあります。

生え際や前頭部と同時に進行する場合

 AGAでは、頭頂部の薄毛と同時に、生え際の後退や前頭部の薄毛が進行する場合があります。
 初期には頭頂部と前頭部がそれぞれ別々に薄く見えていても、進行すると両方の薄毛範囲が広がり、頭頂部から前頭部にかけて広い範囲で地肌が目立つようになることがあります。
 このような場合には、頭頂部だけを見るのではなく、生え際や前頭部を含めた頭部全体の薄毛の進行状況を確認することが重要です。

ハミルトン・ノーウッド分類における頭頂部の薄毛

 男性のAGAの進行パターンを分類する方法のひとつに、ハミルトン・ノーウッド分類があります。生え際や前頭部、頭頂部の薄毛の状態などから、AGAの進行パターンを段階的に分類する方法です。日本では、Norwood分類に高島分類の「II vertex」を加えた分類が広く用いられています。
 頭頂部の薄毛がみられるパターンには「II vertex」や「III vertex」があり、生え際の後退が比較的軽い段階でも頭頂部の薄毛が目立つ場合があります。また、AGAが進行すると、前頭部と頭頂部それぞれの薄毛範囲が広がり、IV・Vを経てVIでは両者がつながるような状態になることがあります。
 ただし、AGAの進行パターンには個人差があり、すべての人がこの分類の順序どおりに進行するわけではありません。そのため、分類だけでAGAの進行度や治療方法を判断するのではなく、現在の薄毛の範囲や毛髪の太さ、既存毛の状態、今後の進行などを総合的に確認することが重要です。

頭頂部の薄毛の治療法 

 頭頂部の薄毛がAGA(男性型脱毛症)によるものである場合、主な治療法には、AGAの進行を抑える薬物治療、発毛を促す治療、自毛植毛などがあります。AGAの治療法については、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」でも、各治療法の推奨度が示されています。どの治療が適しているかは、薄毛の進行度や既存毛の状態、年齢、希望する改善の程度などによって異なります。
 まだ頭頂部に既存毛が多く残っている場合には、まず薬物治療によってAGAの進行を抑えたり、発毛を促したりする方法が検討されます。一方、薄毛が進行している場合や、薬物治療だけでは希望する改善が得られない場合には、自毛植毛が選択肢となることがあります。
※以下では、主に成人男性のAGAによる頭頂部の薄毛に対する治療について解説します。女性の薄毛では原因や使用できる治療薬などが異なる場合があります。

治療法主な目的・特徴
フィナステリドDHTの生成を抑え、AGAの進行を抑える
デュタステリドⅠ型・Ⅱ型5α還元酵素を阻害し、AGAの進行を抑える
ミノキシジル外用発毛や毛髪の成長を促す
LED・低出力レーザー毛髪の成長を促すことを目的に行う
自毛植毛後頭部などの毛包を薄毛部分へ移植する

治療効果や副作用、適応には個人差があります。治療方法は薄毛の原因や進行度、既存毛の状態などを確認したうえで検討します。

フィナステリド

 フィナステリドは、AGAの進行を抑える目的で用いられる内服薬です。
 AGAでは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが5α還元酵素(5αリダクターゼ)という酵素の働きによってDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されます。フィナステリドは主にⅡ型5α還元酵素の働きを抑えることでDHTの生成を抑制し、AGAの進行を抑える作用があります。
 頭頂部に細くなった既存毛が残っている場合には、AGAの進行を抑えることで毛髪の状態が改善する可能性があります。ただし、効果の現れ方には個人差があり、治療を中止すると再びAGAが進行する可能性があります。

デュタステリド

 デュタステリドも、AGAの進行を抑える目的で用いられる内服薬です。
 フィナステリドが主にⅡ型5α還元酵素を阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害し、DHTの生成を抑えます。
 フィナステリドと同様に、既存毛が残っている頭頂部のAGAでは治療の選択肢となります。どちらの薬剤が適しているかは、AGAの状態や副作用のリスクなども含めて医師と相談して判断します。

ミノキシジル

 ミノキシジルは、発毛を促す目的で用いられる治療薬です。AGA治療では外用薬が広く用いられています。
 頭頂部に既存の毛包が残っている場合には、ミノキシジルによって発毛や毛髪の成長が促される可能性があります。フィナステリドやデュタステリドがAGAの進行を抑えることを目的とするのに対し、ミノキシジルは発毛を促すという異なる作用を持つため、状態に応じて併用されることもあります。
 ただし、効果には個人差があり、薄毛が進行して毛髪が少なくなっている範囲では、薬物治療だけでは希望する改善が得られない場合もあります。

LED・低出力レーザー照射

 LEDや低出力レーザーを頭皮へ照射する治療も、AGAに対する治療法のひとつです。
 特定の波長の光を頭皮へ照射することで、毛髪の成長を促すことを目的として行われます。同ガイドラインでも、LED治療および低出力レーザー照射はAGAに対する治療選択肢のひとつとして位置づけられています。
 薬物治療とは作用の仕組みが異なるため、AGAの状態や治療方針によっては、内服薬や外用薬と組み合わせて行われる場合があります。

自毛植毛

 自毛植毛は、後頭部や側頭部などのAGAの影響を受けにくい毛髪を毛包ごと採取し、薄毛が気になる頭頂部へ移植する治療です。
 薬物治療やLED治療は、既存の毛髪や毛包に対してAGAの進行を抑えたり、発毛を促したりする治療であるのに対し、自毛植毛は毛髪が少なくなった部分へ毛包そのものを移植するという違いがあります。
 頭頂部への自毛植毛では、薄毛の面積だけでなく、つむじ特有の毛流れ、既存毛の状態、今後のAGAの進行、使用できるドナー量などを考慮して治療計画を立てる必要があります。
 また、頭頂部と同時に生え際や前頭部にも薄毛がある場合には、限られたドナーをどの部位へどの程度使用するかという優先順位も重要になります。そのため、現在薄く見えている部分だけを補うのではなく、将来的なAGAの進行も見据えて治療を計画することが大切です。

その他の治療

 AGAに対しては、このほかにもアデノシンを配合した外用剤や、PRPなどを頭皮へ注入する治療などが行われることがあります。
 ただし、治療法によって医学的なエビデンスや診療ガイドライン上の位置づけは異なります。特にPRP療法などの注入療法については研究が進められている一方で、治療方法や評価方法が統一されていないものもあります。
 そのため、治療法を選択する際には、期待できる効果だけでなく、医学的な根拠や安全性、費用、治療を継続する必要性なども含めて検討することが重要です。

頭頂部の薄毛で自毛植毛を検討する場合 

 頭頂部の薄毛に対して自毛植毛を検討する場合は、現在の薄毛の範囲だけでなく、既存毛の状態やAGAの進行状況、つむじの毛流れ、使用できるドナー量などを総合的に考える必要があります。
 特に頭頂部は薄毛の範囲が広くなることがあり、生え際や前頭部にも薄毛がある場合には、限られたドナーをどの部位へどの程度使用するかを含めて治療計画を立てることが重要です。

薬物治療だけでは十分な改善が得られない場合

 AGAによる頭頂部の薄毛では、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどによる薬物治療が選択肢となります。
 一方、薄毛が進行して既存毛が少なくなっている場合や、薬物治療を継続しても希望する密度や見た目まで改善しない場合には、自毛植毛が選択肢となることがあります。
 薬物治療は残っている毛髪の維持や発毛を目的とするのに対し、自毛植毛は毛髪が少なくなった部分へ毛包そのものを移植する治療です。それぞれ役割が異なるため、薄毛の状態に応じて治療方法を検討します。

薄毛の範囲・毛流れ・ドナー量を考慮する

 頭頂部への自毛植毛では、薄毛の範囲だけでなく、その範囲にどの程度の既存毛が残っているかを確認します。毛髪がほとんどない部分へ移植する場合と、細くなった既存毛の間へ密度を補う場合では、必要となる株数や移植方法が異なります。また、既存毛では今後もAGAが進行する可能性があるため、現在の状態だけでなく将来的な変化も考慮する必要があります。
 頭頂部では、つむじを中心として毛髪が渦を描くように生えているため、自毛植毛を行う際には、既存のつむじの位置や毛流れに合わせて移植する方向や角度を調整することも重要です。
 また、自毛植毛に使用できる後頭部や側頭部のドナーには限りがあります。生え際や前頭部にも薄毛がある場合には、正面から見た印象や今後のAGAの進行なども踏まえ、どの部位へどの程度ドナーを使用するかを検討する必要があります。現在の頭頂部だけに多くのドナーを使用すると、将来追加植毛が必要となった際に使用できるドナーが不足する可能性もあるため、長期的な治療計画が重要です。

 後頭部や側頭部の毛髪がAGAの影響を受けにくい理由や、ドナーエリアの考え方については、「ドナーエリアはなぜAGAに強いのか?自毛植毛で活用される理由とは」で詳しく解説しています。 

 頭頂部への自毛植毛に必要な株数や費用、具体的な症例については、「頭頂部への自毛植毛は難しい?」で詳しく解説しています。

頭頂部の薄毛に関するよくある質問 

Q. 頭頂部だけが薄い場合でもAGAの可能性はありますか?

 はい。AGAは生え際や前頭部だけでなく、頭頂部から薄毛が目立ち始める場合があります。つむじ周囲の毛髪が徐々に細く短くなり、地肌の見える範囲が広がっている場合には、AGAの可能性があります。
 ただし、頭頂部の薄毛にはAGA以外の脱毛症や頭皮疾患が関係している場合もあるため、見た目だけでAGAと判断することはできません。

Q. 正常なつむじとつむじはげはどう見分けますか?

 つむじは毛髪が渦状に生えているため、正常な状態でも中心部分の地肌が見えることがあります。そのため、地肌が見えているだけでは薄毛とは判断できません。
 以前の写真と比べて地肌の見える範囲が広がっている、つむじ周囲の毛髪が細く短くなっている、頭頂部全体のボリュームが低下しているといった変化がみられる場合には、薄毛が進行している可能性があります。

Q. つむじが薄く見えても、薄毛ではないことがありますか?

 はい。つむじは毛髪が渦状に生えているため、正常な状態でも中心部分の地肌が見えることがあります。また、照明や撮影角度、髪の長さ、髪が濡れているかどうかなどによっても薄く見える場合があります。以前と比べて地肌の見える範囲が広がっている、つむじ周囲の毛髪が細く短くなっているなどの変化があるかを確認することが重要です。見た目だけでAGAと判断することはできません。

Q. 頭頂部の薄毛は治りますか?自然に改善することはありますか? 

 頭頂部の薄毛が改善するかどうかは、原因や進行度によって異なります。AGAによる頭頂部の薄毛は進行性であり、基本的には自然な改善は期待しにくいと考えられます。一方、AGA治療によって進行を抑えたり、既存毛の状態が改善したりする場合があります。
 また、休止期脱毛症など一時的な原因による脱毛では、原因が解消されることで毛髪が再び成長する場合があります。

Q. 頭頂部のAGAは治療薬で改善できますか?

 頭頂部に細くなった既存毛や毛包が残っている場合には、フィナステリドやデュタステリドによってAGAの進行を抑えたり、ミノキシジルによって発毛を促したりすることで改善がみられる場合があります。
 ただし、効果には個人差があり、薄毛が進行して既存毛が少なくなっている範囲では、薬物治療だけでは希望する改善が得られないこともあります。

Q. 頭頂部にも自毛植毛はできますか?

 はい。頭頂部やつむじ周辺にも自毛植毛を行うことは可能です。
 ただし、頭頂部ではつむじ特有の毛流れや薄毛の範囲、既存毛の状態、今後のAGAの進行、使用できるドナー量などを考慮して治療計画を立てる必要があります。

Q. 頭頂部への自毛植毛は何株くらい必要ですか?

 必要な株数は、薄毛の範囲や既存毛の密度、希望する仕上がりなどによって異なるため、一律には決められません。
 毛髪がほとんどない範囲へ移植する場合と、既存毛の間へ密度を補う場合でも必要な株数は異なります。また、生え際や前頭部にも薄毛がある場合には、限られたドナーをどの部位へどの程度使用するかも含めて計画する必要があります。
 具体的な必要株数については、頭頂部への自毛植毛を解説したページで詳しく紹介しています。

Q. 自毛植毛をした後もAGA治療は必要ですか?

 自毛植毛によって移植した毛髪はAGAの影響を受けにくい性質を維持しますが、頭頂部や前頭部に残っている既存毛ではAGAが進行する可能性があります。
 そのため、自毛植毛を行った後も、既存毛の状態やAGAの進行状況によっては薬物治療を継続することが検討されます。治療の必要性は個人の状態によって異なるため、医師と相談しながら判断します。

まとめ

 頭頂部の薄毛(つむじはげ・O字はげ)は、AGA(男性型脱毛症)でみられる代表的な薄毛のパターンのひとつです。AGAでは毛髪の成長期が短くなることで、つむじ周囲の毛髪が徐々に細く短くなり、頭頂部の地肌が目立つようになる場合があります。
 ただし、つむじは正常な状態でも地肌が見えやすく、AGA以外の脱毛症や頭皮疾患などによって頭頂部が薄くなることもあります。そのため、現在の見た目だけで判断するのではなく、以前と比べた地肌の見え方や毛髪の太さ、薄毛の進行状況などを確認することが重要です。
 AGAによる頭頂部の薄毛には、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどによる薬物治療が用いられます。また、薄毛が進行している場合や、薬物治療だけでは希望する改善が得られない場合には、自毛植毛が選択肢となることもあります。
 頭頂部の薄毛が気になる場合は、原因や進行度、既存毛の状態などを確認したうえで、自分の状態に適した治療方法を検討することが大切です。

第三者サイトに掲載されている当院の評価(Caloo)

紀尾井町クリニックの自毛植毛や薄毛治療については、
医療口コミサイト「Caloo」にて、
実際に受診した方による評価・口コミが掲載されています。

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監修医師プロフィール

東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

記事監修 中島医師