術後について
Q 移植毛の脱毛について
A 自毛植毛した毛は、手術の後、最初の数週間で約5~6mm伸びますが、約1カ月前後にほとんど抜けます。そして、2~3カ月目からうぶ毛として生え始め、5~6カ月目頃から目で見える黒さと太さの毛になります。それまでの手術後3~4カ月目頃は、生えてくるのが待ち遠しくて精神的につらい時期です。髪の生え方や伸び方には多少個人差がありますが、必ず生えてきますのでがんばって下さい。約10カ月~1年後に5~10cmの長さに伸びる頃が完成の時期です。いろいろなヘアスタイルをお楽しみ下さい。その後は生涯生え続けます。
Q 手術後の洗髪について
A 基本的には、手術の翌日の夜から、洗髪して下さい。ただし、植毛株が定着するのに4~5日かかります。特に最初の2~3日は抜けやすい時期ですので、こすらないようにして洗って下さい。シャンプーを薄めたお湯をかけ流す程度、あるいは、スプレーで濡らす程度で十分です。感染を予防するために、毎日洗髪して、頭を清潔に保ちましょう。
Q 痛みについて
A 手術中は無痛です。手術後につっぱり感が残る場合が時にありますが、痛みを感じることはほとんどありません。予防的な痛み止めを差し上げますので、痛みに敏感な方は内服されれば安心です。
Q まぶたの腫れについて
A 手術の翌日は何ともないのに、3~4日後に突然まぶたが腫れて、はれぼったく見えることがあります。2~3日間で消失してもと通りになりますので、ご心配ありません。ヘッドバンドをつけたり、枕を高くして寝ると、まぶたの腫れが予防できる場合があります。
Q かさぶたの色について
A 手術後の植毛株は、最初の3~4日間は赤い色をしていますが、5~7日目頃には茶色から褐色に変わります。最初の3~4日間は意外と目立ちますので、人目に触れないように注意されたほうがいいと思います。手術後10日目頃にはかさぶたがなくなりますので、人に見られても大丈夫です。
Q 手術後の一時的な脱毛について
A 植毛手術の際の麻酔やスリットの影響で、植毛範囲にあったご自分の元の髪が一部抜けたり切れたりして、手術後の数カ月間、髪が少し薄く見えることがあります。ご自分の髪が残っている部分に高密度で植毛した場合に見られる、一時的な現象です。毛根細胞は残っていますので、4~5カ月後にまた生えて元通りになります。
まれにドナー縫合の傷の周囲に抜け毛が増えて部分的に小範囲の脱毛になる場合があります。この脱毛も4~5カ月後には発毛して元通りになりますので、ご心配ありません。
Q 皮膚の凹みについて
A 植毛株を植えた部分の頭皮が少しくぼむことがあり、これをピットスカーといいます。植毛の技術が未熟な場合にできやすいものです。当クリニックでは高度な技術と細心の注意で植毛しますので、頭皮に凹みができることはありません。
Q にきび(膿胞)について
A 植毛部にニキビ(膿胞)ができることがあります。植毛後1年以内に見られ、1~3mmの小さなものです。自然に治る場合も多いですが、ご自分でつぶして中身を押し出しても治ります。その後は、抗生剤の軟膏を塗れば十分です。
まれに感染して、2~4mm程度の毛のう炎になることもありますが、簡単な処置で治ります。
Q しゃっくりについて
A 植毛手術後の翌日か翌々日にしゃっくりが出ることがあります。短時間で自然に止まります。ご心配な場合は内服薬で軽快することもあります。
Q ドナー部の傷について
A A 後頭部(頭の後ろ)の下の方から側頭部(耳の後ろ)にドナーの傷が残ります。薄いピンク色や肌色で、幅1~2mmの横長の傷です。頭の後ろの部分は髪が下向きに生える場所ですので、ご自分の髪の長さが2cm以上あれば傷は隠れて見えません。理髪店でもまず気付かれることはないくらいです。ただしスキンヘッドや坊主頭にすると見えますので、将来スキンヘッドや坊主頭にはしないで下さい。
Q 手術後のかつらの使用について
A ヘアピースをお使いの場合、植毛した部分に固定用の金具やテープが当らないように工夫して下さい。
テープや金具が当らなければ植毛後4日目頃からヘアピースを使用されてもかまいませんが、1週間目まではご使用にならないほうが無難です。それ以降も、よく注意してご使用下さい。固定金具やテープが当ると、せっかく植毛した株が抜ける可能性があります。編み込み式のヘアピースはかさぶたが取れた後、10~14日目頃から使用されたほうが無難です。
Q 喫煙について
A 植毛手術前2週間、手術後3週間は、タバコを控えて下さい。植毛株の定着率に影響を及ぼす可能性があります。タバコは血管を収縮させますので、皮膚の血流が減少します。植毛した株の血流低下を招く恐れがあります。
Q 植毛後に日帰りできるか?
A 自毛植毛とは、自分の髪の毛を自分の体の他の部分(頭髪の薄毛部分だけでなく、眉毛やひげも含む)に移植する技術です。後頭部から側頭部の髪は、薄毛を誘発する男性ホルモンの影響を受けにくい部分で、生涯生え続ける性質をもっているため、この部分の髪を採取し、薄くなった部分に移植します。顕微鏡で見ながら、毛穴から生えている2~3本毛の毛根の自然な束を一まとまりずつ採取し、薄毛になった部分の、元々の毛根のすき間に植えていきます。
こう説明をすると、植毛するには何日も必要と思われそうですが、植毛にかかる時間は長くても4~5時間程度。もっと短時間で終わるケースもたくさんあります。日帰りで植毛でき、その後も足を運ぶ必要がありません。歯の治療より痛みがなく、散髪をするのと同じような感覚で、居眠りしている間にすべてが完了します。
植毛の翌日から事務職程度の仕事なら可能なため、休日を利用して自毛植毛をするサラリーマンの方も多いです。