その他植毛について
Q 円形脱毛症と自毛植毛について
A 円形脱毛症の原因は、自分のリンパ球が自分の組織を攻撃する自己免疫説が有力です。
Tリンパ球が成長期の毛根の自己抗原を特異的に攻撃する結果、毛根が退縮し、やがて脱毛します。ただし、次の新しい毛根を作る幹細胞は侵されないので、リンパ球の反応が治まればまた成長期毛根が回復して毛が生えてきます。
他にも、全身の自己免疫反応の病気や、炎症性の病気、遺伝的要素や、精神的ストレスなども関連しているようですが、円形脱毛症の詳しい仕組みはまだよくわかっていません。
円形脱毛症はかなり広範囲でも皮膚科の治療でよく回復しますし、自毛植毛しても定着しにくいので植毛治療の適応にはなりません。
詳細は「男性ホルモン以外が原因の脱毛」のページもご参考ください。
Q 抜毛症と自毛植毛について
A 抜毛症は、頭髪、眉毛、まつ毛などを自分で引き抜くことでストレスや精神的緊張、欲求不満を解消する癖です。10歳前後の女児に多いですが、成人にも見られます。学童期の場合は両親の理解やカウンセリングなどで軽快する場合が多いですが、成人例ではノイローゼや精神的な要素が隠れている場合があり、専門医の治療が必要になります。抜毛の習慣が続いている間は自毛植毛の適応はありませんが、抜毛の癖が治っても薄毛が回復しない場合は自毛植毛で治療できます。
Q やけどの跡や傷跡への自毛植毛について
A やけどの跡や怪我の傷跡に自毛植毛して治療することができます。組織の瘢痕線維化の程度と、血流低下の状況によって、移植毛の定着率が低下する可能性がありますので、高密度で植毛することは避けて複数回の植毛を繰り返せば、自毛植毛で傷跡を隠せます。
Q 自動植毛機と自毛植毛について
A 自動植毛機は1995年に発売された機械で、株分けや植え込みを機械的におこなうものです。各種の自毛植毛機はいずれも、斜め方向のドナー毛根の損傷が多いこと、植毛のために皮膚をくり抜くので移植後に皮膚が凹み傷跡ができやすいこと、植毛密度が低く、生え際が不自然で、毛の生える向きを調節しにくいことなどの理由で、植毛先進国のアメリカやヨーロッパでは現在ほとんど使われていません。
お客さま1人1人に合わせて必要なグラフトのサイズと株数を最新の実体顕微鏡(マンティス)下の手作業で切り分け、熟練したスタッフの手作業で植え込む自毛植毛が最もきれいな仕上がりになるということで、世界中の大多数の専門医の意見が一致しています。
Q 自毛植毛の治療費について
A 治療費は、手術費20万円+自毛植毛費(ドナー採取面積による)+消費税の合計金額です。これ以外に追加費用が発生することはありません。
手術前に、経験豊富な専門の医師が診察して、最も効果的な治療プランをいくつか提示させていただきますので、お客さまのご予算の範囲内で無理のない治療プランをお選びください。
狭い範囲に限られたプチ植毛では、治療費の合計金額は31.5~42万円(消費税込み、植毛頭髪本数のめやす約500~750本程度)です。
通常は、生え際やM字修正などの狭い範囲の植毛では合計63~84万円(消費税込み、植毛頭髪本数のめやす約1,500~2,250本程度)です。
前頭部から頭頂部にかけての広範囲に植毛する場合は合計105~147万円(消費税込み、植毛頭髪本数のめやす約3,000~4,500本程度)がおよその目安です。
他に、超大量植毛(スーパーメガセッション)として、一度に約6,000本以上の自毛植毛もおこないます。
手術費10万円を除く治療費残金のお支払いには、3~60回分割のローンもご利用いただけます。なお、ローンのご利用には連帯保証人(親権者など)が必要な場合もございます。詳しくは、当クリニックの事務職員がご説明いたします。
「治療費」のページもご参考ください。
Q 左右の生え際を揃えられる?
A 生え際は顔の輪郭を作り、その方の印象を決める大切な部分です。生え際の髪が薄くなると年齢よりも老けて見られ、生え際の髪が濃くなると若々しい印象になります。
髪の生え際には、額の上の部分と左右の耳の上の部分があり、薄毛になるのは前者です。後者の髪は薄毛を誘発する男性ホルモンの影響を受けにくい性質のため、通常は薄くなりません。ところが、髪を長年引っ張り過ぎて起こる牽引性脱毛の場合は、この部分が薄毛になります。
牽引性脱毛で薄くなった生え際も、自毛植毛が可能です。本来は薄毛にならない場所なので、生え際の狭い範囲だけに植毛をすれば十分に効果が現れます。しかし、生え際は年齢と共に微妙に位置と形が変わっていくため、デザイン的には難しい場所とも言えます。さらに植毛自体も比較的難しい技術が必要となります。ですから、左右の横の生え際に植毛を希望される場合は、十分に経験を積んだ専門の医師に相談することが重要です。
Q 部分的に植毛して違和感はない?
A 自毛植毛のドナーに使うのは、頭髪の中で、太さや髪質の状態が一番よい後頭部の髪です。ドナーの毛根組織を薄毛の部分に植えると、移植した後に生えてくる髪は、元のドナーと同じ髪質となります。つまり、自分の髪の中で、最も太さや質がよい髪が生えてきます。
また、周囲の髪の色と異なる色の髪が生えてきたら目立ちますが、微妙な色合いも含めて同じ自分の髪が生えるため、とても自然です。ちなみに、細めで柔らかい髪質の人は細くて柔らかい髪が、太くて硬い髪質の人は太くて硬い髪が生えてきます。
移植した部分があまりに自然なため、自毛植毛を行った方の多くが、移植部分に髪が生えてきても気づきません。移植後1~2年後に植毛前に撮影した写真を見せると、こんなに違っていたのかと驚かれます。それくらい自然に濃くなります。本人ですら気づかないのですから、周囲の方に違和感をもたれることはありませんので安心してください。
Q そり込み部分だけ植毛できる?
A 20~30代の男性で、生え際を気にする人が増えています。若い男性は前髪を下げて左右に分ける髪型にしている方が多く、普段は前髪の下に隠れているそり込みが、風が吹いたときなどに見えるのが嫌なのだそうです。
左右のそり込みはおでこの一部なため、髪の毛がないのが自然ですが、そり込みを埋めて、生え際のラインを水平にしたいと希望する方がいます。もちろん、自毛植毛なら希望通りに植毛することが可能です。
しかし、このタイプの植毛はお勧めできません。水平な生え際は、子どものヘアラインです。男性は中年以降になると、必ず左右のそり込みが上がってくるのに、そり込み部分だけに植毛をすると、生涯、少年のようなヘアラインで過ごさなければなりません。
Q 自毛植毛のメリットやデメリットは?
A 自毛植毛の最大のメリットは、移植した部分に自分の髪が生涯生え続けることです。当然ながら、まわりの髪と髪質や色が同じですから仕上がりが自然で、違和感なくボリュームアップができます。また、植毛後は面倒な手入れなどは一切ありません。放ったらかしておいても、そのまま一生、髪が伸び続けます。もちろん、散髪やパーマ、カラーリングといった、髪のおしゃれを自由にできますし、激しいスポーツや水泳なども制約なく楽しむことができます。
では、デメリットは何でしょうか?自毛植毛は今ある髪を薄毛部分に分配し、髪全体のバランスを整える方法のため、髪の総数は増えません。そして、移植した髪が十分な長さに伸びるまでには1年近くかかります。さらに、ドナー(移植用の毛髪)は頭皮ごとに採取するため、採取部に線状の傷痕が残ります。くり抜き法(FUE)では、多数の白い斑点状の傷跡が残ります。理髪店でも気づかれないくらい些細なものですが……。これらの点は、デメリットではなく、自毛植毛のリミットと捉えています。
Q 人工毛と自毛の長所・短所は?
A 人工毛は最初から長い毛を植毛できるため、素早く髪の量を増やせます。しかし、人工毛は体にとっては異物ですから、体の防御反応が人工毛を排除しようと働き、1年後には半分以上、多い場合は3分の2近く抜け落ちます。抜けた分を補うために、年に1~2回は人工毛を追加する手術が必要となります。
さらに感染の問題もあります。植毛した部分の頭皮と人工毛の間にすき間ができて細菌が侵入し、頭皮に感染して炎症を起こし、化膿します。
一方、自毛植毛は自分の髪を使うため、拒絶反応が起きることはありません。植毛した髪は95パーセント以上定着し、細菌感染もしにくく、植毛後のメンテナンスも必要なく、生涯生え続けるのが長所です。
Q 植毛による痛みや傷痕などは?
A 自毛植毛は、虫歯の治療と同じように局所麻酔を行います。局所麻酔に、鎮静剤と痛み止めを組み合わせて使用すれば、ほとんどの方はうとうとしている間に、植毛が完了します。植毛後に多少つっぱり感が残る場合がありますが、痛みを感じるほどではありません。
傷痕については、後頭部の下のほうから側頭部にドナーを採取した傷が残ります。薄いピンク色や肌色で、幅1~2ミリの細い線状の横長の傷です。しかし、頭の後ろの部分は髪が下向きに生える場所ですから、髪の長さが2センチ以上あれば傷は隠れて見えません。
植毛後の移植株は、最初の1~2日間は赤茶色(かさぶた)をしています。3~7日目頃には茶色から褐色に変わります。赤い色の間は目立ちやすいため、気になる方もいるようです。人目にふれないようにするには、帽子をかぶったり、バンダナを巻くとよいでしょう。かさぶたは、植毛後10日目頃には、きれいになくなります。その後は、ほとんど目立ちません。
Q 自毛植毛の副作用は?
A 自毛植毛には副作用というほど重要な症状はありませんが、植毛後に現れるいくつかの現象があります。
麻酔やスリットあけなどの影響で、植毛範囲にあった元の髪が一部抜けたり切れたりして、植毛後数ヶ月間、髪が約10パーセント薄めに見えることがありますが、4~5ヶ月後には元の状態に戻ります。
植毛後4~5日目頃にまぶたが腫れることがありますが、1週間前後で消失します。
植毛の翌日ごくまれに短時間しゃっくりが出ることがありますが、内服薬で軽減できます。
植毛後半年以内に、植毛部に1~3ミリのにきびができることがありますが、自然に治ります。感染して毛のう炎になった場合も簡単な処置で完治します。
Q 自毛植毛する勇気をもつには?
A 自毛植毛に興味をもって相談に来られた方も、なかなか決心がつかないようです。数週間、数ヶ月、半年から1年くらい、迷われる方もいらっしゃいます。麻酔やメスを使うので躊躇されますが、実際には頭皮表面を2~3ミリ処置するだけで、切り傷の処置と同じようなものです。
自毛植毛を受けた皆さんの感想を聞くと、「なんていうことはなかった。まったく痛みはないし、うとうと眠っているうちに終わってしまった」「こんなに簡単なら、もっと早く受ければよかった」と言っています。
薄毛に悩む自分を変えたい、もっと人生をエンジョイしたいと願っているなら、まずは専門家に相談してみてください。それが第1ステップです。薄毛を改善できれば、自分に自信がもてるようになり、気持ちが若返って、性格も非常に明るくなります。
「小さな勇気で、大きな喜びと自信が手に入る」。体験された方々が、口を揃えて言っています。
Q かつらと自毛植毛は併用できる?
A かつらの問題点は、長時間つけっぱなしにすると汗で蒸れて、カビが発生することです。タンパク質のかたまりである髪はカビの絶好の栄養素のため、一気に頭全体へとカビが広がります。
そして、カビが毛根にまで侵入すると、毛根が死んでしまい、永久脱毛に……。長年かつらを使い続けると、脱毛範囲がどんどん広がり、最悪の場合、髪がほとんどなくなってしまうケースもあります。
しかし、かつらを一時的に使うのであれば、生え際を自毛植毛で増やし、後ろはかつらでボリューム感を出すのは一つの手です。また、自毛植毛の成果が実感できるまでには半年~1年かかるため、それまでの間、かつらでフォローするのもありでしょう。