FUE法について
Q 切らない方法のFUEだと傷痕が残らないのでしょうか?
A どんな手術方法でも、ドナーを採取したあとには、傷痕が残ります。傷痕が残らない手術はありません。
FUEだと約1mm前後の白い斑点状の傷痕が多数残ります。1個の傷は小さい楕円形の点状の傷痕ですが、それが後頭部に1,000個~3,000個できると、髪で隠しにくいので、傷痕がかなり目立ちます。
Q FUEが最適なのは、どのような場合(ケース)でしょうか?
A 当院では、プチ植毛として、メスを使わないくり抜き法(FUE法)を行っています。このFUE法は、少量のドナーで十分なプチ植毛に向いています。小さな傷痕などを埋めるための植毛に最適な方法です。
Q FUEは生え際の植毛に向いているでしょうか?
A FUEは、生え際のように多量の株を植毛する必要がある治療には向いていません。
生え際は、最も高密度の仕上がりが要求される場所なので、生え際を植毛で見栄え良く仕上げるためには、かなり多量の株数が植毛に必要です。
1回の植毛で多量のドナーを採取するためには、FUT法の方が適しています。
Q FUEではスキンヘッドにしなくても狭い範囲から1,000株(グラフト)採取できると聞きましたが、本当でしょうか?
A FUEで狭い範囲から多くのドナー量を採取するのは、よくありません。
たとえば、後頭部の上下約3cmx左右約20cmの範囲から約1,000グラフトを採取すると、この範囲の毛がほとんど無くなります。
これは、決して行ってはいけない方法です。上下3cmもあるような無毛部分ができると、どんな方法を駆使しても、無毛部分は隠せないので、髪のすき間から、無毛部が見えてしまいます。
Q 治療費は、FUEもFUTも同じでしょうか?
A 治療費に関しては、一般論ですが、治療費で1グラフトあたりの単価は、FUE法はFUT法の約2倍になります。これは世界中どこのクリニックでも共通の傾向です。FUE法は時間と手間がかかるので、割高の治療費になります。
もし同じ金額で治療される場合、FUE法だと、通常のFUT法の約半分の量しか移植できません。
また、少量ずつのFUEで回数を多く移植すると、手術基本料金が毎回かかるので、それだけでかなり高額になりがちです。
Q FUEで一度に何株まで採取できますか?
A スキンヘッドにできるなら、ドナー部全体から採取できますので、1回のFUEで約1,000株前後まで採取することが可能です。最大限まで採取すれば、1回で約1,500株前後まで採取可能です。
Q スキンヘッドにはしたくない場合、FUEで1回に最大何株まで採取できますか?
A 長髪の髪型で隠せる範囲から採取した後、現在の髪型を維持したまま髪を下ろしてドナー部の傷痕を隠したい場合は、1回に約200~400株前後しか採取できません。
Q スキンヘッドにしないで、今の髪型のままで、FUEで1,000株採取する方法はないのでしょうか?
A 限定した範囲だけ髪を刈って、その範囲から1,000株採取することは可能ですが、そうすると、その範囲の髪がほとんど無くなってしまいます。
後頭部にたとえば約40~50cm2の範囲で薄毛の領域ができると、あとで修正することは困難ですので、髪型が割れたときに地肌が見えてしまいます。
Q スキンヘッドにしないで、FUEで1,000株の採取を2~3回受けたいと思っています。可能でしょうか?
A 限定した範囲からドナーを採取する方法で、採取場所をずらしてFUEで1,000株ずつ数回採取することは可能ですが、そうすると、後頭部全体が薄毛になってしまいます。
FUEでは、ドナーを採取した後の傷痕が、そのままの面積で脱毛部分になって残るので、後頭部全体で髪がまばらに残るだけの人になってしまいます。
Q FUEで手術後の髪型は今まで通りにできるでしょうか?
A FUE法でドナーを1,000グラフト採取するためには、今の髪を全部刈ってスキンヘッドにしなければ採取できません。いったんスキンへッドにすると、FUE法でくり抜いた傷跡が伸びた髪で隠れるまでに約1カ月かかりますので、その間、仕事に行くときにスキンヘッドではFUEの傷跡が見えてしまいます。
手術後も今の髪型を続けたいのであればスキンヘッドにできないので、限られた狭い範囲からだけでドナーを採取することになります。その場合は、FUE法では一度に200~400株程度しか採取できません。これでは生え際の植毛にはまったく量が足りません。
Q FUEで100株ずつ、少量の植毛を受けたいです。何回手術すれば生え際に十分な濃さができるでしょうか?
A 生え際の植毛では生え際を下げる程度や、移植範囲の面積の広さによって違いますが、通常は、若干薄目の濃さであってもまあまあの仕上がりになるためには1度の植毛で約1,400~1,600株くらい移植することが必要です。しかも、若い方ですと、十分な濃さに仕上げるために、2回植毛される方も多いです。
一般的に、若い方が満足できるほどの十分な濃さに仕上がるためには、生え際だけでも1,500~2,500株の移植が必要になります。もし毎年1度に100グラフトの植毛を繰り返していくとしたら、計算上は、仕上がるまでに15~25年かかってしまいます。この間、ずっと不十分な濃さで生活し続けることは、精神的にかなりきついでしょう。
Q 生え際をできるだけ下げたいです。どこまで下げられますか?
A 生え際の位置とデザインは、生涯の顔の印象を決める、非常に重要な要素です。男性の標準的な生え際のデザインは、きちんとしたルールがあります。当院では、この標準的なデザインで生え際を作ることが、基本方針です。将来、年齢を重ねられた後で、後悔しないためには、最初に設定する生え際の一度デザインを標準的な生え際にしておくことが非常に重要です。
最初に間違った位置とデザインで生え際を下げ過ぎてしまうと、将来、気が付いたときに、生え際を標準の位置に上げてもとに戻すことは不可能です。移植毛は非常に強いので、抜いても抜いても生えてきてしまいます。
実際に生え際に植毛する場合は、ご来院していただきまして、ご希望の生え際の位置とデザインを確認させていただきます。ご希望を確認したうえで、標準的なデザインになるように、治療プランをご提案させていただきます。
Q 生え際をできるだけ下げたいのですが、標準以上に生え際を下げると、どんな印象に変わりますか?
A ご希望の内容が、生え際をかなり下げたいというご希望の場合は、標準の位置で生え際を作ることをおすすめしています。
生え際は、顔の印象を決める部分なので、標準でない形に生え際を作ると、違和感のある顔になってしまいます。
ですから、生え際の位置もデザインも、かなり標準からはかけ離れた特別な形に作ってほしいというご希望には、沿うことはできない可能性があります。せっかく治療を受けていただくのに、将来、後悔して欲しくありません。当院の責任で、治療を行います以上、標準的な生え際のデザインと位置に関しては、治療前に、詳しくご説明いたします。
ちなみに、猿はおでこが狭いのが普通です。とくにゴリラは、眉のすぐ上に生え際があります。おでこを狭くし過ぎると、ゴリラと同じ顔になってしまいます。それに対して、ヒトはおでこがある程度広いのが基本です。おでこにある程度の広さがあるから。ヒトの顔に見えるのです。
若い方は、この点を理解しておられない場合が多いので、時間をかけて、納得がいくまで手術前の説明を受けていただくほうが良いと思います。
Q 貼り付けるタイプのカツラを付けています。今後もずっと続けたいと思います。この貼り付けるタイプのカツラを続けたまま植毛をカツラの下に、100グラフトずつ、何回にも分けて受けたいと思います。可能でしょうか?
A 貼り付けるタイプのカツラは、生涯でかなりの金額の負担になります。また、かつらをつけることで、逆に、コンプレックスを抱えることになりがちです。
もし、かつらから解放されたいと思う気持ちがおありでしたら、早くカツラを止められるほうがよいでしょう。カツラを貼り続けると、頭皮や既存の髪が傷んで、かぶれますし、既存の髪の範囲を剃り続けてカツラを使うことで、既存の毛根が死んで、やかて、髪が生えて来なくなります。さらに、既存の髪が伸びるたびに剃り続けると、いつまでたってもカツラを止められません。せっかく移植しても、伸びてきた髪を剃り続けるのでは、移植する意味もありません。
もし、将来的に、カツラを止めたいというご希望があれば、早く止められることを、おすすめします。
現状を拝見していませんので、頭のどの部分にカツラを使っておられるのか分かりませんが、もし前頭部にカツラを貼りつけておられて、もともと前頭部は薄くなくて、生え際だけの植毛をご希望でしたら、カツラを貼りつけることを植毛と同時に止められたほうがよいでしょう。
ピンで固定するタイプのカツラを1個だけ作られて、その下の剃った髪を伸ばしながら1年間カツラで生活なされば、1年後には移植毛も完成し、剃った髪も再生しますので、1年後にはカツラなしで外出できるようになるでしょう。
もちろん、かつらがとても気に入っておられるのであれば、それはそれで結構ですから、生涯、カツラを使い続けていただきまして、植毛は必要ないでしょう。