薄毛(はげ)と食事の関係【医師監修】

結論サマリー
薄毛(はげ)は食事が直接の原因ではないものの、たんぱく質・鉄・亜鉛・ビタミンD不足は毛包の代謝と血流を下げ、ヘアサイクルを乱す可能性があります。
極端なダイエットやサプリ多用は逆効果になり得るため、主食・主菜・副菜をバランスよく整えることを心掛けましょう。
【要点】薄毛と食事の関係は?
・髪は毛包で作られ、血流で運ばれる栄養と酸素で成長する
・タンパク質・ビタミン・ミネラルが毛周期と毛包代謝を支える
・栄養不足も過剰摂取も、脱毛や頭皮トラブルの原因になり得る
・食事・睡眠・血流・ストレスが髪の成長環境を左右する
薄毛と食事は一見関係が薄そうに見えますが、髪の成長は日々の栄養状態に大きく左右されます。本コラムでは「薄毛と食事」の関係を医学的な視点から整理し、髪の成長に関わる主な栄養素や、栄養不足・過剰摂取・生活習慣の影響などについて解説していきます。
- 1. 結論サマリー
- 2. 髪の成長と栄養
- 3. 主要な栄養素と髪の成長
- 3.1. タンパク質|髪の主原料となる「ケラチン」の供給源
- 3.2. ビタミン群|代謝と血流を支える補助因子
- 3.3. ミネラル:酸素供給と細胞分裂を支える微量栄養素
- 3.4. 栄養素の相互作用と代謝のバランス
- 4. 栄養不足と過剰摂取のリスク
- 4.1. 栄養不足による影響
- 4.2. 栄養過剰による影響
- 4.3. 栄養バランスと毛包の代謝
- 4.4. 適量を守ることの重要性
- 5. 生活習慣が髪に与える影響
- 5.1. 睡眠とホルモンの関係
- 5.2. ストレスと自律神経
- 5.3. 喫煙と飲酒
- 5.4. 運動と血流
- 6. 男女・年代別の薄毛と栄養の特徴
- 6.1. 男性:ジヒドロテストステロン(DHT)と毛包感受性
- 6.2. 女性:ホルモンバランスと鉄欠乏
- 6.3. 年代による代謝の変化
- 7. 髪に良い食事のポイント
- 7.1. 食事バランスの基本
- 7.2. 栄養吸収を高める組み合わせ
- 7.3. 食事リズムと代謝
- 8. まとめ
髪の成長と栄養
髪は、頭皮の内部にある「毛包(もうほう)」と呼ばれる構造の中で作られます。毛包の最深部には「毛球(もうきゅう)」という膨らみがあり、その中心部には血管と神経が集中した「毛乳頭(もうにゅうとう)」が存在します。毛乳頭は毛細血管を介して血液中の酸素や栄養を受け取り、周囲の毛母細胞が増殖・分化して髪を作るための環境を支える役割を担っています。毛母細胞は代謝が非常に活発で、常に分裂を繰り返しながら角化を進め、髪の主成分である「ケラチン」を産生しています。
このように、血流によって供給される酸素や栄養が毛包で利用され、毛母細胞の働きが保たれていることが、健康な髪の成長には不可欠です。
髪は常に「成長期」「退行期」「休止期」という周期的なサイクル(毛周期|ヘアサイクル)を繰り返しています。頭皮全体のうち一般に約85〜90%が成長期にあり、この時期に毛母細胞が最も活発に働きます。成長期が長く維持されれば、髪は太く長く伸びますが、成長期が短縮すると十分に伸びきる前に抜けてしまい、全体的に細くボリュームのない髪になります。
また、毛包には「毛包幹細胞」や「メラノサイト(色素細胞)」など、髪の再生や色素維持に関わる細胞群も存在します。これらの細胞も血流による栄養供給の影響を受けるため、代謝や循環が滞ると毛包全体の活性が低下しやすくなります。
髪の構成成分であるケラチンは、複数のアミノ酸から構成されるタンパク質です。なかでもシステインやメチオニンといった含硫アミノ酸は、毛髪の強度や弾力性を決定づける重要な要素です。メチオニンは体内で合成できない必須アミノ酸であり、システインはメチオニンを原料として体内で合成される非必須アミノ酸であるため、髪の材料を安定して供給するには、日常の食事で良質なタンパク質(必須アミノ酸)を不足なく摂ることが重要です。このように、髪の健康は「毛包局所の働き」と「全身の栄養状態」の両面によって支えられているといえます。
主要な栄養素と髪の成長
毛包の内部では、毛乳頭細胞が毛細血管から受け取った栄養素を毛母細胞へと供給し、そのエネルギーをもとにケラチンが合成されています。髪の毛は体の中でも代謝の盛んな組織のひとつであり、その成長には多くの栄養素が複合的に関わっています。なかでも、タンパク質・ビタミン類・ミネラル類の3群は、毛髪形成における主要な柱といえます。
タンパク質|髪の主原料となる「ケラチン」の供給源
髪の約8割を構成するケラチンは、数種類のアミノ酸からなる高分子タンパク質です。とくに「システイン」「メチオニン」などの含硫アミノ酸は、髪の強度や弾力性に関与します。これらのアミノ酸は食事から摂取され、消化・吸収を経て血中に入り、肝臓で再構成されたのち毛乳頭へと送られます。毛母細胞は1日に数回分裂するほど活発であり、その分裂と角化には大量のアミノ酸を必要とします。十分なタンパク質摂取があれば、毛母細胞は途切れることなくケラチンを産生し続けられますが、摂取が不足すると合成が滞り、細くハリのない毛髪になります。極端な糖質制限や偏食による低たんぱく状態では、毛幹形成が不十分となり、休止期脱毛を誘発することもあります。タンパク質は、肉・魚・卵・乳製品といった動物性食品に豊富ですが、大豆・豆腐・納豆などの植物性タンパク質と組み合わせることで、アミノ酸バランスがより安定します。
ビタミン群|代謝と血流を支える補助因子
ビタミンは体内でエネルギー源にはなりませんが、毛包内で行われる細胞分裂や代謝反応を円滑に進める「潤滑剤」のような働きを担います。ビタミンB群のうち、ビオチン(B₇)は脂肪酸代謝を助け、毛母細胞内のエネルギー産生を支えます。ナイアシン(B₃)は末梢血管を拡張し、頭皮の血流を促進する作用があります。葉酸とB₁₂はDNA合成や細胞分裂に不可欠で、毛母細胞の増殖や毛包幹細胞の再生を支えます。B₆はアミノ酸の再構成に関与し、ケラチン合成を補助します。ビタミンAは頭皮の角化を抑え、皮脂バランスを整える作用がありますが、過剰摂取では皮脂腺が刺激され炎症を起こすこともあります。ビタミンCはコラーゲンの生成を促し、毛細血管壁を丈夫に保つとともに、鉄の吸収を助けます。ビタミンEは脂質酸化を防ぐ抗酸化ビタミンであり、毛包を活性酸素から保護します。これらの栄養素は互いに補い合って作用するため、特定のビタミンのみを大量に摂取しても効果は限定的です。さらに、ビタミンDは毛包の幹細胞や毛乳頭細胞に存在する受容体(VDR)を介して毛周期を調節しており、欠乏すると休止期への移行が促進されることが知られています。
ミネラル:酸素供給と細胞分裂を支える微量栄養素
髪の成長には、鉄・亜鉛・セレン・銅などのミネラルも不可欠です。鉄は酸素を運ぶヘモグロビンの構成要素であり、毛乳頭の細胞呼吸を支えます。鉄が不足すると、毛母細胞は十分なATPを生成できず、細胞分裂が鈍化します。女性では月経や出産により鉄損失が生じやすく、慢性的な鉄欠乏はびまん性脱毛の原因となります。亜鉛はDNAやタンパク質の合成に必要な酵素の構成成分です。毛母細胞の分裂速度は非常に速いため、亜鉛欠乏はケラチン生成の停滞を招きます。亜鉛は牡蠣、レバー、ナッツ類などに多く含まれますが、吸収効率が低いため、偏った食生活では容易に不足します。銅はメラニン合成酵素(チロシナーゼ)の補因子として働き、髪の色素維持に関与します。また、セレンは抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼの構成成分であり、毛包内で発生する活性酸素を除去します。これらのミネラル群はごく微量で十分ですが、欠乏すると毛のもろさや早期白髪の原因となることがあります。
栄養素の相互作用と代謝のバランス
毛包に栄養が届くまでには、「摂取 → 消化吸収 → 血液輸送 → 毛乳頭への到達」という複雑な経路をたどります。どれか一つでも過程が滞れば、毛髪の成長は阻害されます。タンパク質が十分でも、ビタミンB群が不足すればアミノ酸代謝が滞り、鉄が不足すれば酸素供給が不十分になります。逆に、ビタミンCやEが不足すれば酸化ストレスが増し、毛包の微小循環が損なわれます。
このように、毛髪の成長は単一栄養素ではなく「全体の代謝ネットワーク」によって支えられています。食事におけるバランスの乱れは、毛乳頭の機能低下へと直結します。したがって、特定の栄養素のみを強化するのではなく、日常的に多様な食品を組み合わせることが、健康な髪を維持するための基本といえます。
栄養不足と過剰摂取のリスク
髪の毛を構成する毛包は、体内で最も活発に細胞分裂を行う組織のひとつです。そのため、わずかな栄養バランスの乱れにも反応します。生命維持に直接関係しない「末端器官」である髪は、体内の栄養状態が悪化した際、真っ先に影響を受けやすい部位です。したがって、栄養不足も栄養過剰も、いずれも毛髪の健全な成長を妨げる原因となります。
栄養不足による影響
最も代表的な例は、急激なダイエットや偏った食生活によって起こる休止期脱毛(Telogen effluvium)です。人間の体は、エネルギー不足が生じると、生命維持に関わる臓器(脳・心臓・肝臓など)への栄養供給を優先し、毛包への血流と栄養を後回しにします。その結果、毛乳頭細胞の代謝が低下し、毛母細胞の分裂が停止して髪の成長期が短縮します。数か月後には一斉に抜け毛が増加し、全体的にボリュームが減少するという経過をたどります。
とくに不足しやすいのは、タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミンB群です。これらはいずれも毛母細胞の分裂とケラチン合成に直結する栄養素であり、不足が続くと毛幹の太さや強度にも影響します。タンパク質が不足すると、毛母細胞の再生能力が低下し、細く弱い毛しか作れなくなります。鉄が欠乏すると、毛根への酸素供給が不十分となり、エネルギー産生(ATP生成)が滞ります。さらに亜鉛が欠乏すると、DNA合成に関わる酵素の働きが鈍り、毛包幹細胞の分裂が停止します。
栄養不足は単独ではなく、複数の栄養素の欠乏が重なることで発症する場合が多いのが特徴です。例えば、鉄が欠乏すると、ヘモグロビンだけでなく鉄を補助因子とする各種酵素の活性も低下し、亜鉛や銅など他のミネラルの利用効率も下がります。結果として、毛包のエネルギー代謝が全体的に落ち込み、毛周期が乱れやすくなります。
また、極端な糖質制限や絶食により血糖値が不安定になると、インスリン分泌の低下を通じてアミノ酸輸送が阻害され、毛母細胞への栄養供給がさらに悪化します。これらの状態が長期化すると、毛包そのものが休止期に入り、回復に数か月〜半年以上を要することもあります。
栄養過剰による影響
一方で、健康のためにと栄養素を過剰に摂取した結果、かえって毛髪や頭皮に悪影響を与えるケースもあります。代表的なのが脂溶性ビタミンの過剰摂取です。
ビタミンAは適量であれば皮膚や頭皮の角化を防ぎますが、過剰に摂取すると皮脂分泌が乱れ、毛包上皮の角化異常を起こすことがあります。毛孔が閉塞しやすくなり、炎症を伴う脱毛(いわゆる「粃糠性脱毛(ひこうせいだつもうしょう)」)を誘発する可能性があります。
ビタミンEも強力な抗酸化ビタミンですが、過剰摂取により血液凝固や甲状腺機能へ影響を及ぼし、ホルモンバランスを乱すことがあります。ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症を引き起こし、血管収縮を通じて頭皮血流を悪化させる恐れがあります。脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすいため、サプリメントによる過剰摂取は特に注意が必要です。
ミネラルの過剰摂取もまたリスクを伴います。亜鉛を過剰に摂ると、鉄や銅の吸収を阻害し、逆に脱毛が悪化することがあります。鉄の過剰摂取は肝臓に蓄積し、酸化ストレスを増やして細胞障害を引き起こす可能性があります。栄養は「多ければ良い」というものではなく、必要量を超えると代謝の均衡を崩し、頭皮や毛根に悪影響を及ぼしかねない場合があるということも覚えておきましょう。
栄養バランスと毛包の代謝
毛包内では、毛乳頭を中心に多くの代謝酵素が働き、エネルギー(ATP)と構造タンパク質を絶えず産生しています。この過程では酸素・アミノ酸・ビタミンB群・ミネラルが連携して機能し、いずれかが欠けると代謝の連鎖が途切れます。特に、毛乳頭は毛細血管網を介して栄養を受け取るため、血行不良や栄養の偏りがあると即座に活動が低下します。
また、活性酸素による酸化ストレスも毛包老化の一因です。抗酸化ビタミン(C・E)やセレンなどの摂取は一定の保護作用を示しますが、過剰摂取ではかえって酸化還元バランスを崩すことがあるため、適正量の維持が肝要です。毛髪の健康は、単一の栄養素ではなく全体の代謝調和によって維持されていることを忘れてはなりません。
適量を守ることの重要性
食事から得られる栄養素は、体内で相互に補完しながら働いています。したがって、単一の成分だけを強化しても、他の栄養素とのバランスが崩れれば結果的に効果は得られません。極端な食事制限やサプリメントの多用ではなく、主食・主菜・副菜をそろえた日常的な食事こそが、毛包にとって最も安定した栄養供給源となります。
毛髪は体の健康状態を反映する「鏡」とも言われます。栄養が不足すれば髪は細くなり、過剰であれば代謝が乱れて頭皮に負担を与えます。不足も過剰もどちらも髪にとってはストレスであることを理解し、常にバランスを意識した食生活を心がけることが、長期的に健康な毛髪を維持する最も基本的な方法といえるでしょう。
生活習慣が髪に与える影響
髪の健康を保つためには、栄養素の摂取だけでなく、それを十分に活かすための生活習慣が重要です。いくら良い栄養を取り入れても、血流が悪かったり、睡眠やホルモンバランスが乱れていたりすると、毛乳頭へ栄養が届かず、毛母細胞の働きも低下します。つまり、髪の成長は「栄養の量」だけでなく「代謝を支える環境」にも大きく左右されます。
睡眠とホルモンの関係
睡眠中、特に深いノンレム睡眠の時間帯(一般的に22時~2時の間頃)には「成長ホルモン」が分泌され、細胞の修復や再生が促されます。毛母細胞や毛乳頭細胞の分裂もこの時間帯に活発化します。慢性的な睡眠不足や不規則な生活は、成長ホルモンの分泌リズムを乱し、毛包細胞の再生サイクルにも悪影響を与えます。特に夜更かしが続いて十分な睡眠が取れない状態だと、頭皮の血流や代謝活動が低下し、髪が細くなる可能性があります。
ストレスと自律神経
強いストレスを受けると、体内で「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンが分泌され、交感神経が優位になります。交感神経が優位な状態では末梢血管が収縮し、頭皮への血流が制限されます。その結果、毛乳頭への酸素・栄養供給が低下し、毛母細胞の活性が鈍くなります。さらに、ストレスが長期化すると、免疫バランスの変化を通じて円形脱毛症などを誘発することもあります。ストレスそのものを完全に避けることは難しいものの、十分な睡眠や適度な運動を取り入れ、交感神経と副交感神経のバランスを整えることが、結果的に毛包環境を安定させることにつながります。
喫煙と飲酒
喫煙は毛髪にとって大きなマイナス要因です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、毛乳頭への血流を減少させます。また、一酸化炭素がヘモグロビンと結合して酸素運搬能力を低下させるため、毛根への酸素供給が著しく減少します。さらに、喫煙により体内のビタミンCが消費され、抗酸化力が低下します。一方、アルコールの過剰摂取は肝機能に負担をかけ、タンパク質代謝や栄養貯蔵機能を低下させます。肝臓は摂取した栄養をアミノ酸・糖・脂質に変換し全身に供給する中継点であるため、その働きが衰えると、毛包に届く栄養も不足します。飲酒自体が即座に脱毛を引き起こすわけではありませんが、慢性的な多量飲酒は間接的に髪の代謝を阻害する要因となります。
運動と血流
運動は頭皮の血流を改善し、毛乳頭への酸素供給を高めます。特にウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、末梢循環を促進し、毛包に十分な栄養を運びます。運動はまた、ストレス軽減やホルモンバランスの安定にも寄与します。過度な筋トレによって一時的にテストステロンが上昇しても、通常の範囲では脱毛を促進することはなく、むしろ血流と代謝の改善効果が勝ると考えられています。
男女・年代別の薄毛と栄養の特徴
男性:ジヒドロテストステロン(DHT)と毛包感受性
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが「5α還元酵素(5αリダクターゼ)」という酵素の作用によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで生じます。DHTは毛乳頭細胞の受容体に結合し、毛母細胞の増殖を抑制して成長期を短縮させます。この反応は主に前頭部・頭頂部の毛包で強く起こり、側頭部や後頭部の毛包はDHTに対して感受性が低いため、AGAでは前頭部・頭頂部から薄くなる特徴があります。
DHTの影響は遺伝的要因によって左右されますが、栄養状態が悪いと毛乳頭の代謝が低下し、DHTの影響がさらに強まりやすくなる可能性があります。十分なタンパク質とビタミン群を摂取し、毛母細胞の分裂環境を整えることが、ホルモン要因に対しても抵抗力を高めると考えられます。
女性:ホルモンバランスと鉄欠乏
女性の薄毛は、ホルモンバランスの変化と栄養不足が重なって発生することが多いです。女性ホルモンのエストロゲンは毛包の成長期維持に関与し、コラーゲンやヒアルロン酸の合成にも関わります。出産後や更年期ではエストロゲンが急激に減少し、髪が一時的に抜けやすくなることがあります(産後脱毛、びまん性脱毛)。また、月経や妊娠・授乳を通じて鉄分が失われやすく、鉄欠乏性貧血が起こると毛母細胞への酸素供給が減少します。これにより髪が細くなったり成長期が短縮することがあり、女性のびまん性脱毛の一因とされています。鉄を多く含む食品(レバー、赤身肉、ほうれん草など)と、吸収を助けるビタミンCを組み合わせて摂取することが有効です。
年代による代謝の変化
加齢に伴い、毛乳頭細胞のミトコンドリア活性が低下し、エネルギー産生効率が落ちます。また、抗酸化酵素(SOD・カタラーゼなど)の活性も減少し、酸化ストレスが蓄積しやすくなります。これにより、毛包幹細胞の再生能力が弱まり、毛周期のリズムが乱れます。年齢とともに消化吸収機能も低下するため、同じ食事をしていても必要な栄養が吸収されにくくなる傾向があります。高齢期には、タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミンDの摂取量がとくに不足しやすいため、血流改善を目的とした適度な運動もあわせて意識することを心掛けましょう。
髪に良い食事のポイント
髪の健康を支える食事とは、特定の食品を多く摂ることではなく、栄養素をバランスよく組み合わせることにあります。毛包は「血液から栄養を受け取る組織」であるため、食べた栄養素が吸収・代謝され、血流を通じて毛乳頭に届くまでのプロセスが重要です。
食事バランスの基本
例えば、主食(炭水化物)でエネルギーを確保し、主菜(肉・魚・卵・大豆製品)でタンパク質を、副菜(野菜・海藻・きのこ)でビタミン・ミネラルを摂取する「一汁三菜」などはひとつの理想といえます。炭水化物を極端に減らすとエネルギー不足になり、たんぱく質や脂質が効率的に代謝されません。脂質の質にも注意が必要です。オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油など)には抗炎症作用があり、頭皮環境の改善に役立ちます。一方で、飽和脂肪酸(肉類の脂身、乳製品の脂肪など)の摂りすぎは皮脂分泌を増やし、毛穴詰まりを起こしやすくなります。
栄養吸収を高める組み合わせ
鉄はビタミンCと、亜鉛は動物性たんぱく質と一緒に摂ることで吸収率が上がります。脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は油を使った調理で吸収が良くなります。また、ビタミンB群やミネラルは水溶性のため、茹でこぼしを最小限にするなど、調理法の工夫も大切です。食物繊維は腸内環境を整え、栄養吸収の効率を高めます。腸内フローラが良好な状態は、髪の材料となるアミノ酸やビタミンの吸収にも寄与します。
食事リズムと代謝
食事の間隔が長く空きすぎると血糖値が不安定になり、インスリン分泌の乱れを通じて毛乳頭への栄養供給リズムも崩れます。特に朝食を抜く習慣は、午前中の代謝を低下させ、頭皮温度の低下を招きます。「少しずつ、規則的に」栄養を供給することが毛包の安定につながります。間食をする場合も、ナッツ類やチーズなど栄養価の高い食品を選ぶと良いでしょう。
まとめ
髪は体の末端に位置する組織であり、栄養が不足すると真っ先に影響が現れる部位です。毛髪の健康を維持するためには、毛包が絶えず栄養と酸素を受け取り、代謝活動を維持できる環境を整えることが何より重要です。たんぱく質、ビタミン類、鉄、亜鉛など、毛包機能に関与する栄養素は互いに連携して働きます。どれか一つの栄養素だけを強化しても十分な効果は得られず、全体的なバランスと代謝環境の最適化が不可欠です。さらに、血流・睡眠・ストレス・ホルモン・生活習慣といった外的要素も髪の成長に密接に関わります。食事だけでなく、適度な運動、十分な睡眠、喫煙や過度な飲酒の回避など、生活全体を整えることが長期的な髪の維持に直結します。毎日の食事や生活習慣を少しずつ見直し、毛包が本来の働きを取り戻す土台を作ることこそが、薄毛予防の最も基本的なアプローチといえるでしょう。
1998年よりAGA治療・自毛植毛専門院としての実績を持つ紀尾井町クリニックでは、長年のノウハウを持った医師が診療にあたり、個人に寄り添った薄毛の治療(AGA治療薬、自毛植毛)を提供していますので、薄毛に関するお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
第三者サイトに掲載されている当院の評価(Caloo)
紀尾井町クリニックの自毛植毛や薄毛治療については、
医療口コミサイト「Caloo」にて、
実際に受診した方による評価・口コミが掲載されています。
監修医師プロフィール
東邦大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院泌尿器科に入局し、以降10年以上に渡り手術加療を中心に臨床に従事。男性型脱毛症(AGA)にも関連するアンドロロジー(男性学)の臨床に関わる。2021年より紀尾井町クリニックにて、自毛植毛を中心に薬物治療を組み合わせてAGA治療を行っている。著書として『薄毛の治し方』(現代書林社)を上梓。(詳細プロフィールはこちら)
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック東京本院 院長
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太

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