増毛と植毛の違い【医師監修】

 増毛と植毛は、両方ともAGAなどで髪の毛が薄くなった部分を補う薄毛対策となり、名前も似ているため、増毛と植毛は同じものだと思われている方もいらっしゃるかと思います。しかし、日本においての一般的な使い方である「増毛」と「植毛」は、それぞれ全く違う薄毛対策となりますので、本記事で其々の薄毛対策の主な特徴や違いなどをご紹介いたします。薄毛対策の選択肢を探す際の参考にして頂けますと幸いです。

増毛と植毛の特徴

 増毛と植毛は、AGAなどで薄毛になってしまった部分に毛髪を増やすという意味では近い対策となりますが、その効果やプロセスなどでみると全く違うAGA・薄毛対策となります。それぞれがどのような薄毛対策なのかをまずは簡単にご紹介させて頂きます。

増毛

 増毛とは、一般的に人工毛髪や天然毛髪(人毛)など「自分の毛髪以外の毛髪」を使用して、AGAなどで薄毛になった気になる部分をカバーする方法です。広義の増毛法の中にはかつら・ヘアピース・ウィッグ、ヘアエクステンションなどがあり、装着方法としては、かぶる、金具でとめる、結び付ける、貼り付けるなどがあります。局所的なものから広い範囲まで幅広く、ご希望の本数分だけ即座にボリュームアップができるという所が最大のメリットといえます。数多くのバリエーションがあり、その費用や特徴は様々です。中でもかつらは、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において、「かつら着用は脱毛症状を改善するものではないが、通常の治療により改善しない場合や、QOLが低下している場合に、行ってもよいことにする」とされています。

植毛

 植毛には、「自毛植毛」と「人工毛植毛」がございますが、現在は「自毛植毛」が主流となっておりますので、自毛植毛をご紹介いたします。自毛植毛は、「自分の毛髪」を薄毛が気になる部分へ移植する方法で、医師が行う医療行為となります。自身の頭皮から、AGAになり難い性質を持つ毛根を採取して、薄毛が気になる部分へと移植しますので、長期に渡って生え続けるという効果が期待できます。 また、移植された毛髪が定着した後は、自身の他の毛髪同様の管理で済みますので、洗髪やドライヤーは勿論、パーマや毛染め、整髪料の使用も可能です。メンテナンスや入れ換え等の手間やそれらに伴う費用の発生もございません。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」においては、自毛植毛は、男性型脱毛症においてはB(行うよう勧める)、女性型脱毛症においてはC1(行ってもよい)とされております。なお、先にも申し上げた通り、植毛には「人工毛植毛」もございますが、ガイドラインにおいて人工毛植毛術の評価は D(行なうべきではない)となっておりますので、現在は植毛とは自毛植毛を指す事が殆どとなっています。

増毛と植毛の比較

 増毛と植毛それぞれの違いについて、主なものを比較してみていきましょう。なお、本項以降でいう「植毛」は先にも述べたように、現在主流である「自毛植毛」を指しますのでご了承ください。詳細は各専門店様やクリニック様にご確認ください。

効果

増毛:薄毛が気になる範囲(部分)に装着して覆います。装着後すぐにボリュームアップが可能で、装着している間はその効果を持続することができます。
植毛:薄毛が気になる範囲(部分)に自身の毛髪を移植します。AGAに強い自身の毛髪なので、永続的に太い髪のまま生え続ける事が期待できますが、生え揃うまでは術後約1年程度の時間が必要です。

プロセス

増毛:専用のサロンなどで施術、購入。いずれも手術の必要はありません。
植毛:植毛を取り扱うクリニックで治療。主にFUT式とFUE式という方法があり、いずれも手術を伴います。
   FUT式:ドナーエリア(側頭部や後頭部)から帯状に頭皮の組織を切り取り、手作業で毛包単位に移植株を切り分けてから植毛する方法です。
   FUE式:ドナーエリア(後頭部や側頭部)の毛包を専用の機械を使って1つずつくり抜いて移植株を作製して移植する方法です。

メンテナンス

増毛:時間の経過とともに消耗や剥離、脱落などが起こります。効果が薄れてきたら、専用のサロンなどで補修や買い替え等が発生します。長持ちさせる為に取り扱いに注意を払う必要があります。
植毛:移植後数日間は制限がございますが(洗髪や運動など)、移植毛が定着した後は、自身の毛髪同様の管理が可能で、何か特別なことをする必要はございません。

費用

増毛:希望の本数やプランによりますが、およそ数万円から数十万円位です。加えて定期メンテナンスや補修・買い替えなどで追加の費用が都度発生する場合がございます。
植毛:希望の本数やプランによりますが、およそ数十万円~200万円位です(値段はクリニックにより異なります)。他部位への移植や、更に増やしたいなどのご希望があり2回目以降の手術をされる場合にはその都度費用が発生しますが、そうでなければメンテナンスなどの追加費用はかかりません。

増毛と植毛それぞれのメリット・デメリット

 増毛と植毛は、それぞれにメリットとデメリットがございます。代表的なものをいくつか参考までにご紹介させて頂きます。

メリット

増毛:・装着をしてすぐにご希望の本数分のボリュームアップが可能
   ・ご自身のご希望通りの髪型を楽しむことができる
   ・希望に応じて脱着が可能
   ・手術がないため比較的気軽にお試しが出来る
植毛:・自身の毛髪同様に洗髪や染髪、パーマやドライヤー、染髪、散髪等が可能 
   ・質感の違和感がなく、はずれる、はがれるなどの心配がない
   ・永続的(長期に渡って効果が期待できる)な治療法
   ・手術後はメンテナンスなどの追加費用は発生しない

デメリット

増毛:・使用している間は追加費用が発生する(メンテナンスや補修、買い替えなど)
   ・装着方法や状態によっては薄毛が進行してしまう可能性がある(ex:テープや金具が当たる部位の毛髪が脱落してしまう)
   ・始める時とやめる時のタイミングが難しい(急激な髪の増減)
   ・薄毛自体を治療する方法ではない
植毛:・ドナーエリアに採取に応じた傷が残る(FUT:1本の細い線状痕、FUE:米粒大の小さな採取痕が採取分 髪を伸ばして隠す事が可能)
   ・効果が出るまではおよそ半年~1年程度かかる
   ・移植できる数には上限がある
   ・1度の費用が比較的高額
   ・体質や状況によって個人差が生じる

まとめ

 増毛と植毛は双方ともにAGAなどの薄毛部分を補う薄毛対策ではありますが、そのプロセスや特徴、効果などにおいて全く違うアプローチという事がお分かりいただけたかと思います。どちらが優れているのかという事では無く、例えば「すぐにボリュームアップしたい」という方は増毛を、「薄毛自体を治療したい」という方は植毛をというように、ご自身のご希望や状態に応じて選択をされることが望ましいかと思います。増毛も植毛もそれぞれ専門のサロン様やクリニック様が多数ございますし、その特徴も様々ですので、興味がございましたらホームページ等で詳細を確認の上、可能であれば複数お話を聞いて検討される事をお勧めします。
 1998年より自毛植毛・AGA治療専門院として実績のある、紀尾井町クリニックでは、医師が無料で薄毛のお悩みをお伺いさせて頂いており、AGA・薄毛治療法のメリットやデメリット、リスクや副作用もしっかりとご案内させていただいた上で、症状やご希望に合う治療法を一緒に考えておりますので、まずはお気軽にご相談下さい。

自毛植毛・AGA治療|紀尾井町クリニック 医師 中島