自毛植毛をして10年経ったらどうなる?【医師監修】

 AGA・薄毛の治療法として、自身の髪の毛が生えてくる自毛植毛は大変魅力的な選択肢ですが、自毛植毛をしてから10年後はどの様な状態になっているのでしょうか。術後の経過には体質や状況によって個人差はありますが、今回は自毛植毛をして10年後の状態や植毛後に気を付ける事、維持する為に大切な事など一般的な経過についてご説明します。

自毛植毛をして10年後の状態

 自毛植毛では、自身のAGAの影響を受けにくい性質を持つ髪を移植するので、基本的には10年後も生え続けていることが期待できます。移植する毛髪を採取するドナーエリア(側頭部や後頭部)の毛髪が白髪になる性質を持っていれば、移植先の毛髪も同様に白髪に変化しながら生え続けます。ただし、10年間の間に移植した髪ではなく既存の毛髪が、AGA等の影響を受けて薄毛が進行してしまう可能性もあり、薄くなったと感じる事もあるかと思います。ですので、必要に応じて追加の手術や治療を検討されても良いかと思います。また、植毛のデザインによっては、不自然に見えてしまう場合もございますので、AGA治療・自毛植毛経験が豊富な医師に相談して、将来を見据えたデザインで自毛植毛をするよう心掛けておきましょう。

自毛植毛した移植毛を維持する為に

 自毛植毛した毛髪を10年後にも維持しておく為に、まずはそもそもの自毛植毛手術直後の移植毛をしっかりと生着させる必要がございます。「治療後の過ごし」でも詳しくご紹介させて頂いておりますが、自毛植毛手術後は下記のようにお過ごし頂くことを推奨しております。

治療当日~4日目

 移植した株の定着には術後3-4日程度かかります。株というのは毛根部分(=毛包)と、そこから生える短い毛で構成されますが、毛包が皮下の組織に生着するまでに上記の時間がかかるのです。毛包が組織に生着すれば、それ以降に毛が抜けてしまってもまた新しく生えてきてくれますが、毛包ごと株が脱落してしまうとその部分だけ生えなくなってしまいます。
 そのため、術後3-4日は特に全ての行動において、頭部をぶつけたり、移植部をこすったりしないよう細心の注意を払う必要があります。治療当日はアルコール摂取を控え、運動はできれば術後7日目まで控えていただいが方が良いです。治療当日の洗髪は厳禁で、翌日の夜からスプレーで髪を濡らして洗います。その後ヘアードライヤーの冷風でしっかり乾燥させます。長時間の入浴やサウナ、熱いお湯に入るのは控えます。
 就寝の際には、植毛後1週間は出来れば柔らかい枕や羽根枕は避けて、固めの枕を使ったり、バスタオルを2~3枚巻いて首の下に当てる、首枕を使うなど、移植部がこすれないように十分注意をして眠りましょう。
 かつらは、移植部に固定用の金具やテープなどが当たらなければ、3~4日目から使えます。ヘルメットは4日目以降、バンダナか手拭いを頭に巻いた上からなら被れますが、ズレるなどして移植部をこすることがないよう注意してください。

術後5日目~13日目

 5日目からは、軽い運動(サイクリングやウォーキング程度)をして頂いてもかまいません。7日目以降はムースやジェルなどの整髪料の使用やゴルフなど通常の運動もできるようになります。また移植部のこすり洗いが出来るようになるのも術後7日目からなので、かさぶたを落とすことが出来るようになります。

術後14日目以降

 この時期には通常通りの洗髪が可能になっており、日常生活での制限はなくなりますが、パーマやカラーリング、サッカーにおけるヘディングなど頭部への強い刺激や衝撃、こすれが伴う行為は術後1ヵ月以上経ってからにしてください。

自毛植毛の10年後も維持する為に

 先のようにしっかりと自毛植毛を生着させておけば、自毛植毛をしてから10年後も20年後も移植した毛髪は生え続ける事が期待できますが、もともと生えていた毛髪はAGAの影響を受けて薄毛が進行してしまう可能性がございます。それぞれできる限り維持をしていく為に出来る事をいくつかご紹介いたします。

医薬品

 移植毛のみならず、既存毛を極力維持する為にも、内服薬(フィナステリド、デュタステリド)、外用薬(ミノキシジル)などのAGA治療薬の使用をおすすめします。処方には医師の診察が必要なものもございます。

食生活

 健康な毛髪の維持や薄毛の予防にはバランスの良い食事を摂る事が重要です。タンパク質やミネラル(亜鉛、鉄など)、各ビタミン類(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンDなど)などが含まれる食品は髪にも良いとされているので、食事の際はそれらをバランスよく摂取できるよう心がけましょう。

睡眠

 睡眠と髪の毛は密接な関係があります。髪の成長や新陳代謝を促す成長ホルモンは睡眠中に分泌されることが知られています。つまり睡眠不足になると成長ホルモンがうまく分泌されずに髪の毛にとってマイナスの影響を与えます。特にこの成長ホルモンは、22時~2時頃に多く分泌されると言われていますので、その時間を意識して極力早く就寝されるよう心掛けておきましょう。

ストレス管理

 ストレスは薄毛だけではなく様々な問題を引き起こす可能性があるため、極力ストレスを抑えた日常生活を送れるよう注意が必要です。適切な休息や適度な運動、趣味などご自身に合った方法でストレスを軽減するよう心掛けましょう。

ヘアケア、頭皮ケア

 頭皮マッサージなどで血流を良くすることは、ストレスケアのみならず抜け毛を予防する効果も期待できます。指の腹を頭皮に押し付け、頭蓋骨に沿って頭皮を上下左右に動かすような方法で適切に実施しましょう。爪を立てて頭皮を引っかいたり、過度にこすったりといったやり方はしないよう注意してください。

追加治療

 移植した毛髪はAGAの影響を受けにくい所謂「薄毛になり難い毛髪」ではありますが、移植をしていない既存の毛髪は異なります。そのため、移植毛以外の既存の毛髪がAGA等の影響を受けて薄毛が進行していく可能性があります。その場合、また新たに追加で自毛植毛を実施する方法もございます。但し、移植できる毛髪には限りがございますし、方法や体質等によってその上限も異なりますので、初回の植毛を実施する際には、将来を見据えた植毛計画を医師と相談をしておくことが重要となります。

まとめ

 このように、体質や状況によって個人差はありますが、基本的には自毛植毛で移植した毛髪は10年後も生え続けていることが期待できます。そして、植毛した移植毛を維持する為には、まず移植後にしっかりと移植毛を定着させることが重要です。また、移植していない既存毛は、AGAの影響を受けて薄毛が進行する可能性がありますので、移植された毛髪だけではなく、移植していない既存の毛髪を維持しておけるよう、極力薄毛の予防(治療薬、生活習慣改善など)を継続的にするよう心掛けておきましょう。
 1998年よりAGA治療・自毛植毛専門院としての実績を持つ紀尾井町クリニックでは、経験豊富な医師が直接相談を承った上で、一緒に薄毛治療プランを考えております。また、長年培ったノウハウを基に将来を見据えた植毛デザインを心掛けております。AGA・薄毛でお悩みの方、植毛を検討されていらっしゃる方はお気軽にご相談下さい。

自毛植毛・AGA治療|紀尾井町クリニック 医師 中島