抜け毛がひどい原因や予防、対策・治療法を紹介【医師監修】

 抜け毛(本記事では主に頭部から抜け落ちる毛髪を指す)自体は、何も特別な事では無く、日常生活を送る上では正常なことです。但し、抜け落ちる量が増えてくるとやがて薄毛へと繋がっていきます。薄毛になると見た目の変化だけでなく、心理的な影響や自信の低下にもつながる場合があります。本記事では、どの程度の抜け毛が「普通」であり、どの程度からが「異常(ひどい)」なのか、抜け毛の原因と予防、対策・治療法などについてご紹介させて頂きますので、ひとつの参考にして頂けたらと思います。

抜け毛のメカニズム

 髪の毛は「成長期」「退行期」「休止期」という3つのフェーズを繰り返すサイクル(毛周期/ヘアサイクル)を経て生え変わっています。体質等により個人差はありますが、一般的には毎日50本~100本程度の髪の毛が抜けるとされています。しかし、このサイクルが乱れると異常な抜け毛が発生したり、髪の毛が太く成長する前に抜けてしまったりして、薄毛が目立つ様になっていきます。

抜け毛の正常な範囲と異常な抜け毛

 抜け毛のメカニズムで紹介した通り、抜け毛には正常な範囲と異常な抜け毛があります。これ等をどのように判断していくのかのひとつの目安として以下をご紹介いたします。もし抜け毛が気になるようでしたら、専門の医師に相談をするようにしましょう。

一日の抜け毛の目安量

 体質等により個人差はありますが、健康な頭皮の人でも、1日におよそ50本から100本程度の髪の毛が自然に抜け落ちるのは正常なことです。これは、全体のヘアサイクルの一部であり、髪が生え変わるための自然なプロセスです。髪が抜けるタイミングは洗髪時や整髪時のような髪の毛に触れているシーンに限るというわけではなく、普段の生活の中で自然に抜け落ちています。(お部屋などを掃除していると特に髪に触れる機会が少ない所でも抜けた毛が落ちていると思います)

異常な抜け毛(ひどい抜け毛)の兆候

急激な抜け毛の増加

 1日の抜け毛が正常な抜け毛の目安である100本を大幅に超える場合や、急激に抜け毛の量が増えた場合は、異常な抜け毛の可能性があります。実際に抜け毛を1本ずつ数えるのは現実的でないので、洗髪時などに「普段と比べて明らかに多い」という感覚から分かることが多いです。急激な抜け毛の増加は、体内の変化や生活習慣、ストレスなどが原因であることが多いです。

特定の部位での薄毛

 特定の部位だけが目立って薄くなる場合、例えば額の生え際や分け目、その他特定の箇所で薄毛が進行する場合は、ストレスや外的な要因(かつらや結び付けるタイプの増毛、人工毛植毛、その他牽引制脱毛など)、円形脱毛症などの可能性があります。

髪質の変化

 髪の毛が細くなったり、弱々しくなったりする場合も注意が必要です。AGA進行による軟毛化や、血流低下、栄養不足などで毛根に栄養が十分に届かないで、髪の毛が充分に成長できない状態になっている可能性があります。

抜け毛の主な原因

 抜け毛は、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。一般的な原因には以下のようなものがあります。

遺伝的な要素

 抜け毛は遺伝的な要因によって引き起こされる場合があります。親や祖父母が薄毛である場合、遺伝的な影響によって引き起こされる場合があります。ただし遺伝が全て、というわけでもなく、血縁の方が薄くても自身はそうならないパターンもあれば、その逆もあります。

ジヒドロテストステロン

 体内にはテストステロンというホルモンがあります。これはいわゆる男性ホルモンで、主に精巣で産生されたテストステロンが血液中に流れていき、様々な臓器に運ばれ、それぞれの臓器に影響を与えます。このうち毛包に運ばれたテストステロンが、5α還元酵素という酵素の働きでジヒドロテストステロン(以下DHT)という物質に変換されます。このDHTが毛包に作用する事で髪の毛の周期を早めてしまい、太く成長しきる前に抜けてまた産毛に生え変わるサイクルを起こします。これが男性型脱毛症(AGA)の主な原因と考えられています。

生活習慣やストレスなど

 抜け毛の原因として生活習慣やストレスが関与していると考えらえています。髪の毛にとってマイナスな生活習慣として具体的には、バランスの悪い食生活、運動不足、睡眠不足、喫煙などが挙げられます。髪の発育には血流が必要ですが、前述の生活習慣の結果、血管が硬化してしまい、髪の毛への血流が低下してしまうのです。また、ストレスはホルモンバランスの乱れや、血行不良、自己免疫反応の誘発などのリスクがあります。生活習慣やストレスは、抜け毛だけでなく健康全般に影響を及ぼしますので、気を付けておきましょう。

その他

 脂漏性皮膚炎や頭皮の乾燥、フケなどの頭皮トラブルや、過度なヘアスタイリング、熱や化学薬品を使用した処理も髪にダメージを与える原因となります。また、帽子やヘルメット、かつらの長時間着用、過度の牽引を伴うタイトなヘアスタイルも頭皮や毛根への負担を増加させ、抜け毛に繋がる可能性があります。

抜け毛の予防

食生活

 抜け毛を予防して髪を健康に保つにはバランスの良い食事が重要です。タンパク質、ミネラル(亜鉛、鉄など)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンDなど)などが含まれる食品は髪にも良いとされているいます。魚(特にサバや鮭などの脂質の多い魚)、牛肉(脂質の少ない赤み肉)、緑黄色野菜(にんじんやほうれんそうなど)、鶏肉、卵や乳製品などが上記栄養素を豊富に含んでいるため、バランスよくメニューに取り入れた食事をとるよう心掛けましょう。

睡眠

 睡眠は髪の毛にとって重要な要素の一つです。髪の成長や新陳代謝には成長ホルモンが関わってきますが、この成長ホルモンは睡眠中に分泌されることで知られています。すなわち睡眠不足になると成長ホルモンがうまく分泌されずに髪の毛にとってはマイナスの影響を及ぼします。特に22時~2時頃に成長ホルモンは多く分泌されると言われていますので、その時間に間に合うよう就寝された方が良いかと思います。

ストレス管理

 ストレスは抜け毛だけではなく様々な健康上の問題を引き起こす可能性があるため、極力ストレスを抑えた日常生活を送れるように注意が必要です。適切な休息や適度な運動、趣味などご自身に合った方法でストレスを軽減するよう心掛けましょう。

ヘアケア、頭皮ケア

 頭皮マッサージや育毛剤などで血流を良くすることで、抜け毛を予防する効果が期待できます。とはいえ、過度に強い摩擦、牽引は髪を傷つけ、抜け毛を引き起こし、逆に抜け毛に繋がってしまう可能性があります。頭皮マッサージのやり方としては、育毛剤塗布後に指の腹を頭皮に押し付け、頭蓋骨に沿って頭皮を上下左右に動かすような方法が良いです。

抜け毛の対策・治療法

 抜け毛が増えてきたと感じた際は、下記のような対策・治療法があります。これらを効果的に進める為にも、ご自身の状態を医師に診断してもらい、状態やご希望に合わせた対策・治療を行なっていく事をおすすめいたします。

医師の診断

 実際に抜け毛が気になりだして来たら、まず専門の医師の診断を受ける事をお勧めします。AGA以外の原因でも薄毛が起こることがあるので、自身の状態を診断してもらいましょう。治療が必要な状態だと診断された際は、次にも挙げますが、医師の処方が必要なAGA治療薬や植毛などの医学的な治療も含めた選択肢からご自身の症状や希望等に合わせた治療法を選ぶようにしましょう。

医薬品

 内服薬や外用薬など抜け毛の治療には様々な薬があり、処方には医師の診察が必要なものもあります。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」においては、内服薬ではフィナステリド、デュタステリド、外用薬ではミノキシジルが、A(行うよう強く勧める)として推奨されています。(※ただし、女性は内服薬:フィナステリド、デュタステリドの適応はなく、外用薬:ミノキシジルのみ)

植毛(自毛植毛)

 自身のAGAの影響を受けにくい髪の毛を薄毛が気になる部分に移植する医療技術です。定期的なメンテナンスの必要もなく、移植した髪の毛は他の髪同様に伸びてきます。パーマやカラーリング、散髪や洗髪なども特に気にすることもなく行なう事が出来ます。 「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」においては、自毛植毛は男性型脱毛症はB(行なうよう勧める)、女性型脱毛症にはC1(行なっても良い)となっており、フィナステリド及びデュタステリド内服やミノキシジル外用などの薬にの効果が十分でない症例に対して、他に手段がない状況において、十分な経験と技術を有する医師が施術する場合に限り、男性型脱毛症には自毛植毛術を行うよう勧め、女性型脱毛症には行ってもよいこととする。」とされています。詳しくは紀尾井町クリニック公式サイトの「自毛植毛とは」でもご確認頂けますので興味がある方はご参照ください。

かつら

 かぶるだけですぐに希望の髪型と髪の量が得られ、広い範囲の薄毛をカバーできます。日本皮膚科学会のガイドラインでは、「かつら着用は脱毛症状を改善するものではないが、通常の治療により改善しない場合や、QOLが低下している場合に、行ってもよいことにする」とされています。ただし、定期的なメンテナンスや買い替えといったランニングコストがかかること、一度かぶると外すタイミングが難しいことなどには注意が必要です。詳しくは紀尾井町クリニック公式サイトの「かつらについて」でもご確認頂けますので興味がある方はご参照ください。

その他

 低出力レーザー治療、成長因子導入および細胞移植療法など、上記以外にも様々な治療法があります。専門の医師に相談をして、それぞれの治療法のメリット・デメリット、リスクや副作用等を詳細に説明してもらった上で、ご自身の症状やご予算、ご希望等を踏まえた上で治療法の選択をしていきましょう。

まとめ

 抜け毛は日常生活を送る上において正常なことですが、抜ける量が多くなると薄毛になってしまう可能性があります。抜け毛は多くの要因が絡み合って発生するため、その対策も多岐にわたります。日常生活の中でできる予防や、適切な医療機関での治療を組み合わせることで、過剰な抜け毛を防ぐことを目指しましょう。読者の皆様の抜け毛対策に、このコラムが少しでもお役に立てますと幸いです。
 紀尾井町クリニックでは、AGA治療・植毛専門院として、1998年より皆様のお悩み解決のサポートをしてまいりました。実績のあるノウハウと技術を基に、お悩みに寄り添って一緒に治療プランを考えております。お気軽にご相談下さい。

AGA治療・自毛植毛 | 紀尾井町クリニック
医師 中島 陽太(国際毛髪外科学会 正会員)