AGA治療で後悔しないために【医師監修】

 AGA(男性型脱毛症:Androgenetic Alopecia)の治療において、中にはAGA治療を実施したことに後悔を感じてしまうという方もいらっしゃいます(ここでのAGA治療とは、AGAを改善する為に実施する医学的アプローチのことですので、本記事では、かつらや増毛パウダーなどは省きます)。ご自身の状況や選択肢によっては後悔してしまう可能性もあります。今回は代表的な後悔や気を付けるべき点などをご紹介させて頂きますので、本記事が後悔をなくすためのお役に立てましたら幸甚です。

AGA治療で後悔することとは?

 AGA治療を受けて後悔をしてしまう、または後悔する可能性があることとはどの様な事象なのでしょうか。

1)治療効果

 AGA治療(例えばAGA治療薬や植毛など)を受けても期待した効果が得られなかったり、満足のいく結果が得られない、又は得られないと感じる場合があります。つまり実際に生えない、あるいは生えてはいるが期待したほどには生えなかった、といったパターンです。

2)副作用やその他リスク

 AGA治療では、副作用やその他リスクを伴う場合があります。例えば、AGA治療薬では性的機能障害、植毛であれば傷痕など、治療方法によって異なる副作用やリスクがあります。

3)コスト

 AGA治療は治療方法によっては継続的に実施する必要があり、長期的にみるとその費用負担が、思いの外大きくなってしまう場合があります。

AGA治療で後悔しないための対策 

1)専門の医師との相談

 AGA治療を検討する際は、まずは医師との相談が重要となります。毛髪専門の経験豊富な医師による診断は、個々人の状況の理解と、その状況に合った治療法を見つける上において非常に有益といえます。医師は、脱毛パターンや健康状態、治療に対する希望などを総合的に評価し、個々人に合わせた治療法を提案しますので、治療の選択肢も広がり、より自身の症状やご希望に合った治療法を探す事ができます。

2)AGA治療法の理解

 AGA治療にはさまざまな選択肢がございます(※詳細は男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版でご確認いただけます)。例えば、ミノキシジル外用やフィナステリド、デュタステリド内服などの医薬品や自毛植毛手術というものから、低出力レーザー照射などの方法もございます。相談に行った医療機関にて医師より、それぞれの治療法の「治療効果」やメリットとデメリットはもちろん、「副作用やその他リスク」に関しても説明を受けて、自身の症状や状況、ご希望に合ったものを選択することが重要です。少しでも不明点や疑問点などがございましたら、必ず質問をして、医師に分かり易く説明をしてもらい、ご自身が納得した上で治療を進めるよう心掛けておきましょう。

3)治療ごとに期待できる効果を認識する

 AGA治療は、個人の体質や状況などによって効果には差があります。またその治療効果を実感するためには時間がかかります。治療ごとに適切な期待を持ち、忍耐強く治療を継続することが重要となります。また治療法によって効果がでやすい部位が異なったりしますので、「自分がどこの部分に効果を出したいのか」を明確にしておくことで後悔のない治療が選択できると思います。AGA治療では代表的なAGA治療薬と植毛を例に挙げて、それぞれ留意点を紹介します。

AGA治療薬

 ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドのようなAGA治療薬は、薄毛の体質そのものを改善して髪の毛をフサフサにする治療薬ということではなく、基本的には既存の髪の毛を健康にして、細くなった毛を太くしたり、抜け毛を予防したり、薄毛の進行を遅らせるというものになります。効果には個人差がありますが、一般的に頭頂部によく効果が出て、生え際には効果が乏しいことが多いです。また、上述のように既存の髪の毛に作用することから、元々生えていない部分に髪が生えてくることはありません。効果を実感するまでだいたい半年~1年くらいの時間がかかります。

・植毛(自毛植毛)

 植毛は、AGAに強い自分の髪の毛を、薄毛が気になる部分に移植する方法です。この方法であれば生え際の髪を増やすことや、既存毛がない部分に髪を生やすことができます。例えば「生来額が広いので、狭くしたい」「ヘアラインの形を変えたい」といった場合や、ヒゲや眉毛を濃くしたいといった場合などでも対応ができます。もちろん既存の髪の毛のボリュームアップにも対応できます。
 一方、移植可能な髪の毛には限りがあり、無制限で移植が可能なわけではありません。そのため、AGAが今後どのように進行しそうか、進行した場合にどのような対処をするか、といったことを考えつつ治療計画をプランニングしていく必要があります。こちらも生え揃うまでは術後1年ほどかかります。

4)継続的なケアとフォローアップ

 AGA治療は、継続的なケアとフォローアップが必要です。以下に幾つか例を挙げさせて頂きます。医師の指示に従い、定期的な診察や治療法の調整を行うことが重要です。また、治療中に何か問題や懸念があれば、すぐに医師に相談をしましょう。

AGA治療薬

 ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドなどは継続的な使用が必要です。効果を得る為にまずは少なくとも6ヶ月以上、効果を持続させる為には永続的に使用する必要がございます。また、例えばフィナステリドの効果感じない場合は、医師に相談の上でデュタステリドに切り替える等の選択肢もあります。
 患者さんでよくいらっしゃるのが、「3ヶ月飲んだけど効果が出ないのでやめた。1年したらまた再開したけど効果が出なかった」というパターンで、これはもったいないです。飲むと決めたら最低6ヶ月、できれば1年しっかり飲み続けた上で、ダメならすっぱり止めるといったようにメリハリを付けた方が後悔のない治療に結びつくと思います。

植毛(自毛植毛)

 植毛手術後数日間は、移植毛を定着させる為に注意が必要となる期間です。頭をぶつけたり、移植部をこすったりしないように注意し、治療当日の洗髪は厳禁です。その他にも注意点がありますので、医療機関で確認ください。移植毛が定着した後は、普段通りの生活で良いのですが移植部やドナー採取部で気になる事がありましたら、手術した医療機関に相談をしましょう。

5.)他の治療法の検討

 AGAの対策としては、AGA治療薬、植毛(自毛植毛)、LEDおよび低出力レーザー照射等、様々な方法がありますが、AGA治療が適切でない場合や望ましい結果が得られない場合は、状況に応じて代替の手段を検討することも重要です。他の手段を検討される際は、ご自身の希望やご予算は勿論の事、治療法のメリットやデメリット、副作用やリスクなども考慮しておきましょう。
 AGA治療は適切に選択すればAGAを治療できる有効な手段ですが、適切な選択や医師との十分な相談、情報収集、継続的なケアとフォローアップを通じて、自身が理解・納得の上で、適切な治療法を見つけていくことが後悔をしない為に重要となります。

まとめ

 AGA治療の主な後悔としては、治療効果、副作用・リスク、コスト等が挙げられます。これ等の後悔を避けるためには、専門医との相談、AGA治療法の理解、継続的なケアとフォロー、代替方法の検討などが重要です。もし可能であれば、まずは幾つかの医療機関で医師に相談をするなどされると良いでしょう。その際に、医師より各治療法のメリットやデメリット、副作用やリスク、その他留意点や費用面など、ご自身の中での疑問点がなくなるように説明をしてもらいましょう。
 紀尾井町クリニックでは、医師が無料で薄毛のお悩みをお伺いさせて頂いており、AGA・薄毛治療法のメリットやデメリット、リスクや副作用もしっかりとご案内させていただいた上で、症状やご希望に合う治療法を一緒に考えておりますので、まずはお気軽にご相談下さい。

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック 
医師 中島 陽太(国際毛髪外科学会 会員)